ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

「選択制DC」と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を組み合わせるマネーハック

こんにちは、らくからちゃです。

10月の頭に子どもの生まれた同僚が、育児休業から帰って来ました。

弊社では父親が1ヶ月以上の育児休業を取るのが当たり前になってきましたが、世間では中々まだ厳しいようで、その理由についてはこんな感じ。

(出典:男性育休「取得せず」4割、職場理解が壁に 内閣府調査 - 日本経済新聞

「職場に迷惑をかけたくない」「認めない雰囲気」に続いて「収入の減少」が3トップの状況です。

育児休業中の収入は、雇用保険から出る給付金でかなりの部分はカバーされます。

しかし、子育てにどれくらいお金がかかるのかわからない中、給付金は賞与分までカバーされませんし、休んでいた期間は昇給が止まったり、仕事でスキルが磨けないぶん昇格等も遅れる可能性があります。

育休周りのお金に関わる仕組みは色々と調べていましたが、「選択制DC」と「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」の組み合わせが、"悪いラフレシアとポルターガイスト"くらい強そうなコンボになりそうやなと思ったので、整理したいと思います。

選択制DCを使っている人は育休取得時に注意

最初に、選択制DCとはなんぞや。というところからおさらいしておきましょう。

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知らないひと向けにざっくりいうと給料天引きで使えるiDeCoみたいなものです。

会社側が対応する必要がありますが、自分で金額を決めて給料から直接投資信託を買い付けて、所定の年齢になるまで運用を行います。

iDeCoとの最大の違いは、iDeCoが積立額を課税所得から差し引くのに対して、選択制DCの場合は額面給料そのものを減らした扱いで諸々の計算を行います。そのため、iDeCoが所得税・住民税しか減らないのに対し、選択制DCの場合は年金・健康保険料などの社会保険料に払う金額も減ります

年金や健康保険料に対して払うお金が減るという意味ではプラスですが、将来の年金の受取額や、入院して働けなくなったときに支給される疾病手当金が減るかもね、という意味ではマイナスです。

年金はさておき、健康保険料についてはたいていの人で損することも無いと思うのですが、育児休業を取得するひとにとって重要なのは、選択制DCで掛け金を払っていた場合、育児休業給付金も減らされてしまうというところです。

育児休業期間中は、会社からお給料は支払われません。その代わりに「赤ちゃん都合で働けないなら仕方ないよね」と雇用保険から給付金が支給されます。その額はざっくり

  • 子供が生後半年まで・・・給料の2/3
  • 子供が生後半年以降・・・給料の1/2

となります。

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ちょっと少なくない!?と思うかもしれませんが、計算対象となる給料には残業代等も含まれますし、非課税で社会保険料もかかりません。 我が家の場合、手取りベースで4万円減くらいでしたね。

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ただし、選択制DCで支払った掛け金分は差し引かれて計算します。例えば、満額の月額5.5万円まで拠出していた場合、1ヶ月あたりの給付金が3.7万円も減ります

長期的に見てガッツリ運用益が上回れば回収可能なのかもしれませんし、保育料の計算に使う課税所得も引き下げられるので、そのあたりとのバランスかなーとも思いますが、覚えておいて損はないでしょう。

養育期間の従前報酬月額のみなし措置ってなんだ

育児休業を取得して年金が免除になるのはよいけど、将来もらえる年金がそのぶん減っちゃうの?と思う人もご安心ください。年金については「払っていない」扱いではなく「払ってないけど払ったことにする」扱いになります。

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また加えて「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という仕組みもあります。

これは「育休から復帰したものの時短勤務で働くことになり、それに応じて社会保険の支払額も減り、将来の年金受取額も減ってしまう」という人などを対象に「子供が3歳になるまでは出産前と同じだけの年金を払ったことにしてあげるよ」という制度です。

年金の労働者負担分は、ざっくり額面給料の1割くらいです。

もともと月給30万円で年金を3万円払っていたが、時短勤務で20万円になり年金も2万円しか払わない事になった。それでも3万円払ったことになる!という感じになります。

ただこれ「給料が下がった理由」まで問われません。まあ時短にはならなくとも、残業の少ない部門や負荷の低い職種に異動になるケースとかもあるかもしれませんしね。

というわけで「育休から復帰後に確定拠出年金を開始して年金保険料が下がった」ケースも対象になリます。

満額の5.5万円まで拠出すると、またざっくり年金を1割と計算すると、子供が3歳になるまで年金保険料の支払いが5500円減ったのに年金はそのままというコンボ技が成立します。

この「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」ですが、申請しないと適用されません。また事業者にもアナウンスの義務も無いそうなので、知らない人も多いかもしれません。

基本的な想定としては、必要な人が使ってね、ということなのかもしれませんが、一応人事の担当の人にも確認しましたが「別に理由を問われるものじゃないし良いんじゃね」とのことなので、さくっと提出&掛け金満額に変更してみました。

ただ幸い全社賃上げのおこぼれを与り、そもそもの月額額面給与自体が5万円くらいあがったため、これをやる意味は殆どありませんでしたが。

法律に反するような話は一切有りませんが、制度の抜け道的な使い方をすることに違和感を覚えるひともいるかもしれませんし、まーた余計なことを書きおってと言われれるかもしれませんが「おもしれえな」と思ったので書いてみた次第です。

ではでは、今日はこのへんで。