こんにちは、らくからちゃです。
今月も支払額に怯えながら、クレジットカードのマイページにログインしてみると、中々興味深いキャンペーンがはじまっていました。
なんでも
- ビックカメラ
- コジマ
- ヤマダ電機
- ヨドバシカメラ
の家電量販店で、1万円以上決済すると20%キャッシュバックだそうです。キャッシュバック上限が1万円ってことは、5万円分ほどのお買い物までが対象っちゅーことですなあ。
あまり表には出てきませんが、アメックス(スカイトラベラー)は1万円の年会費がかかるものの、この手のキャンペーンが豊富なので案外面白かったりします。(この規模のものは、中々見ませんが)
ただ今更5万円分も家電量販店で買いたいものが有るかと聞かれたら、ビミョーですよね。paypayに始まる昨年末からの大還元祭りで欲しいものは既に買い尽くしてしまいました。ギフトカードを転売するくらいしか使いみちが思いつきません(笑)。何か良いアイデアがあれば是非コメント下さい!!
そういや政府は「消費税上がるのに駆け込み需要がねえなあ」とボヤいてるそうですが、そりゃ20%もの還元祭りを見た後に2%消費税上がる程度で刺激されるほど物欲は残って無い人が大半じゃないでしょうか。
そういや、内閣府御自ら音頭を取って「25%還元プレミアム付商品券祭り」を始めるそうです。
プレミア付商品券概要
色々とツッコミどころ満載ですが、あれこれ言う前に概要を確認しておきましょう。
目的
まあ一応、目的なんてものも有るようなので目だけ通しておきましょう。
消費税率の10%への引上げに伴い、家計の負担緩和や地域の消費下支えのため、プレミアム付商品券事業を実施します。
対象者
次に対象者です。
まず本商品券は全員が買えるわけではありません。
- 住民税非課税者(被扶養者、生活保護受給者除く)
- 3歳未満の子供のいる家庭
が対象となります。
購入方法
購入フローはこんな感じです。
住民税非課税者は申請が必要です。そして両者ともに販売場所まで
- 購入引換券
- 本人確認書類
- 代金
を持っていくことで購入できます。
使用方法
最後に使い方も見ておきましょう。
1枚あたり500円券でお釣りは出ず、現金との組み合わせはOKとのことです。
さて皆様いかがでしたでしょうか。
もう笑うところしかないでしょう
せっかくなので一個一個丁寧にダメ出ししてみましょう。
1.そもそも困窮世帯がひとり2万円も払えるのか
対象となっている住民税非課税世帯ですが、生活保護世帯は除外されるとのことですので、該当する主な対象者は
- 低年金の高齢者
- 自立支援医療制度のために世帯分離した障害者
などが、ざっと思いつきますね。本当に生活が困窮しているのならば、2万円分買えば5000円おトクやで!なんて言われて、出せるもんなんでしょうか?明日の食べるものにも困ってる人じゃ無いの?
そもそも生活保護は必要ない(受けられない)ということは、収入は少なくても資産はそれなりに有る人ってことじゃあないでしょうか。
例えば配当金生活者とかね。
本当に困っているひとは買えない可能性があるし、行政からは収入がなくて困っているように見えたとしても実際には殆ど困っていない人しか買えないとすると、住民税非課税者を対象に絞った意味ってどこにあるんでしょう?
2.なぜ3歳未満なのか
もう一つの対象者である3歳未満の子供が居る家庭ってのも、ちょっとシックリ来ません。
新しいシステムで恩恵を受けられるひとと、そうでないひととの対立を煽るのは良くないよなーとは重々承知の上で敢えて言いますが、その年代の子供を抱えている人は、保育無償化の恩恵(弊害もあるでしょうけど)を受けられるんですよね?
また、食費も衣服費もお稽古代も相対的に掛からない乳幼児よりも、小学生以上の子供を抱える世帯のほうが増税のインパクトは大きいでしょうに、なぜにこの年令で区切ったのでしょうか?
3.なぜ商品券なのか
またなぜにこんな七面倒臭いことをやってまで商品券を配ろうとするのでしょうか。
行政側の目線から考えましょう。
プレミアム付き商品券は当然ですが印刷に費用もかかります。また一方的に振り込む給付金や送りつけるだけの地域振興券と異なり、お金の往復が発生する分、余計にコストは掛かるでしょう。
かつて行われた臨時福祉給付金は、現金振込でも1110億円を配るのに373億円もかかりました。リーマン・ショック直後で人手不足の時期であれば雇用創出効果もあるのかもしれませんが、ノミの手ですら借りたいこのご時世にやるべきことではないでしょう。
次に事業者側の目線からも考えましょう。
軽減税率でタダでさえてんてこ舞いの時期に、謎の商品券が発生すれば、現場の混乱は必至です。昔コンビニで働いていた時に、ハーゲンダッツの商品券などを扱った経験があるんですけどね。商品券はお釣りとして返せない分、キャッシャーに溜まっていきます。それが頻繁に使われると超面倒くさいです。
また最近ではセミセルフレジなど、現金とクレジットカードしか使えない方式のレジも増えています。そこにどうやって対応させるおつもりなんでしょうか。
最後に消費者側からも厄介です。
本当に困っているひとにとって、お釣りが出ずに500円刻みでしか買い物をできないのって不便じゃない?だいたい、購入までにこんな面倒くさい手続きを、子育てに忙しい人達にやらされるんでしょうか。
というかキャッシュレス推進ってそういう話とちゃうやろ(一番いいたいとこ)
4.本気で地域消費の下支えが出来ると思っているのか
そしてこの金額はいったいどこから出てきたんでしょう。
景気刺激のために、プレミアム付き商品券を発行するというアイデア自体は必ずしも悪い部分だけではないと思います。適切な金額・期間・対象のもとに行えば、少ない行政支出で、より大きな景気刺激効果を得ることは可能です。
これが10万単位の話であれば、貯蓄されないように、現金ではなく敢えて商品券で配るのは一定の合理性があります。ただ、ひとりたった25,000円で、対象者もごく限定的なこんな施策でいったい何が得られるというのか。
これで地域消費の下支えとやらが出来ると思っているのならば、その根拠をお示しいただきたい。
むしろ先にあげたとおり、参加者全員の負担が増えて、億害あって一利なし、三方百両損にしかならんのじゃ無いだろうか。
5.この費用を誰が負担するのか
本プレミアム付き商品券の実施に掛かる予算は、内閣府の予算として1,723億円が計上されています。
以前散々問題になった「公文書管理制度の推進」はたったの26億円、即位の式典に掛かる費用は27億円だそうです。
上記を財源として、各自治体で実施することになるようですが、東京都中央区で下記の予算が計上されています。
- 区民税非課税者(14,000人):2億2132万円
- 3歳未満(3,100人):9067万円
平成31年度 一般会計補正予算(当初同時補正) 中央区ホームページ
えーっと、どこまでがどう含まれているのかわかりませんが、一人あたり1.8万円相当の費用が掛かる想定になっています。5000円のプレミアムを配るのに、2.7倍の費用をかけるおつもりなのでしょうか。
こんな馬鹿げたことにお金を使うくらいなら、まだ即位の式典を64回繰り返したほうがマシな気がしますね。
誰も止めなかったのだろうか
いったいこんな馬鹿げた話、誰か止めるひとは居なかったのだろうかと国会の議事録を検索してみました。
[038/178] 198 - 衆 - 予算委員会 - 14号
平成31年02月28日○西岡委員 消費税に伴う対策として、今総理からもございました。これまで委員会質疑の中で、我が党の玉木代表を始め先輩議員の方から、今回初めて導入される軽減税率について、また、中小小売業においてキャッシュレス決済を行う場合のポイント還元制度について、低所得者や子育て世帯向けのプレミアムつき商品券について、それぞれの問題点を、具体的な例を挙げて議論してまいりました。
(中略)
また、プレミアム商品券については、以前の消費上昇効果が大変低かったこともあり、このことも考慮すべきではなかったかというふうに思っております。
本来、消費税は国民にひとしく負担を求めることができる税として認識をしてまいりましたけれども、今回の施策で極めて不公平なものとなるというふうに考えますけれども、総理の見解をお尋ねいたします○安倍内閣総理大臣 軽減税率制度の実施やプレミアム商品券の発行、販売、さらには教育無償化や低年金者への給付等の社会保障の充実策を実施するとともに、総合的に勘案すれば、政策全体として、所得の低い世帯には手厚く、そして逆進性に対して十分な緩和策になるものと考えております。
(以下省略)
全体的にこんな塩梅ですよ。
表記のゆらぎが大きいので「商品券」とかで検索すれば色々と出てくるんですけど、もうなんか、そこらへんの大学生を捕まえてきて国政を担わせたほうがマシじゃねえの?ってくらい低次元な話しか出てこないんですよね。
プレミアム商品券は、為政者にとっては手っ取り早く、市民の歓心を集めることが出来る手段なのかもしれない。
でもね、流石にここまで馬鹿げた内容だと、国民だっていくらなんでも「おかしい」って気が付きますよ。
商品券のデザインは各自治体に任されるようですが、ちゃんと本件の実施主体である内閣府の主任の大臣たる安倍晋三内閣総理大臣殿の肖像画と「頑張った人が報われる美しい国へ!」みたいなスローガンでもつけておけば、誰がこの件の舵取りをしていたかが分かりやすくて良いんじゃないでしょうか。
ではでは、今日はこのへんで。