こんにちは、らくからちゃです。
先日、所用のため市役所まで行ってきました。その際、こんなポスターが目に留まりました。
なんでも、国からお金がもらえる話のようです。妻が、障害年金の受給者ですので、『これってうちも貰えるんですかね〜?』と窓口の方に聞いてみたところ、担当の方が複数名いる『専用窓口』となっている部屋に案内して頂きました。
妻の氏名・生年月日・住所等を伝えた所、何やら奥のほうにて資料を調べられ、戻ってきたところ『はい(^o^)。3万円分の支給対象となりますので、書類記載の上ご送付下さい』と書類を手渡されました。
いや、ほんまありがとうございます。
銀行預金残高とクレジットカードの引落し高を見比べる生活をしている者としては、大変助かります。もう納税者各位には五体投地で御礼申し上げます。
ただね、これでもわたしも納税者の端くれ。毎月お給料から差っ引かれ、お上にお納めさせて頂いている額は、一ヶ月分の住民税だけでそれくらいはあります。
いち納税者の視点から考えると、この『臨時福祉給付金』ってどうなのよ?と思ったところがありましたので、ぼやかせて下さい。
臨時福祉給付金の対象者と金額
まず今回の給付金の金額と対象者について簡単に整理すると下記条件を満たすことが支給の条件となります。
- 生活保護の受給者ではない
- 平成28(2016)年度の住民税が非課税である or 課税対象者の扶養親族でない
- 『障害基礎年金』『遺族年金』の受給者 and 高齢者向け給付金未受給
以上の条件のうち、
- 臨時福祉給付金:1,2を満たすことが条件。3,000円支給。
- 障害・遺族基礎年金受給者向け給付金:全て満たすことが条件。30,000円支給。
となります。1月1日の段階では籍を入れていませんでしたので、どうやら我が家は3つとも満たしていることになるようです。なお正確な条件等については、市区町村が窓口になりますので、お住いの地域の役所までご確認ください。
厚生労働省の資料を見ると、3,000円の『臨時福祉給付金』は2,200万人、30,000円の『障害・遺族基礎年金受給者向け給付金』は150万人が対象となるそうです。ご自身だけでなく、ご家族の方の中に対象となっている人も多いかもしれませんね。
ただ申請しないと貰えないそうなので、ご注意下さい。
660億円配るのに373億円かかるそうな
こういった『現金給付』については、いろいろな批判が出ることもあります。わたし個人の想いとしては、現金給付を行うことそのものを否定する気はありません。むしろ積極的に負の所得税やベーシックインカムの導入を検討しては?と思う立場です。
ですので今回は、『臨時福祉給付金』そのもの是非を問うつもりはありません。個人的に気になっているのは、配る金額に比べて事務経費がかかりすぎることなんです。
(出典:厚生労働省資料)
臨時福祉給付金は、ここ最近、何度か実施されました。その都度、400億円近い事務費が計算されています。その内訳は、同資料によると下記のようになるそうです。
事務費の予算計上の考え方は以下のとおりであり、平成26~27年度の簡素な給付措置とほぼ同様である。内訳としては、下記のような項目が挙げられています。
(ア)市町村分
・ 審査事務等に要する人件費[申請の勧奨、支給対象者リスト作成、申請書審査、入力・集計など]
・ 申請書等の発送費用[申請書送付料、支給決定通知送付料など]
・ システム改修費[既存システムの改修など]
・ 電話照会対応に要する経費[電話応対要員の賃金又はコールセンター設置費用など]
・ 口座振込手数料
・ 広報経費[広報誌掲載費、チラシ等作成費など]
・ その他[支給事務に係る旅費、消耗品費、電話代、事務機器借料など]
などの経費を見込んだもの。
(イ)都道府県分
・ 市町村への伝達会議開催に要する経費
・ 全国説明会への出席旅費
・ 補助金執行事務に要する人件費
・ 広報経費
などの経費を見込んだもの。(引用元:厚生労働省資料)
金額の妥当性はわかりませんが、私が市役所に行った際にも、4−5名が専用担当者として作業していました。かなり人件費もかかっているでしょう。
これを、一人あたりのコストに計算していくと、
3,000円給付 * 2,200万人 = 660億円
30,00円給付 * 150万人 = 450億円
合計 1,110億円
これを373億円の事業費で配るんですね。一人あたりでいえば、
ひとり3,000円配るのに1,587円かかる。
計算になります。*1・・・いや、ぶっちゃけそれってどーなのよ、と。今回は一人あたりの金額が6,000円から3,000円に減ったので、1円を配るのに係るコストが更に上がってしまいました。
また受取にあたっては、
- 申請書
- 本人確認書類
- キャッシュカードのコピー
等々の提出が必要になります。今回の対象者には、目や手の不自由な障害者も居ます。そういったひとたちの作業負担も考えると、随分割に合わないなあという印象です。
抜本的な仕組みから変えないと駄目だよね
また本当に給付金を必要とする人たちに情報がきちんと行き届くか?についても疑問が残ります。下記は、東京都板橋区での過去行われた給付金の申請状況です。
臨時福祉給付金 64.05%
子育て世帯臨時特例給付金 91.26%
高い税金をかけて行っているわりには、随分と低い結果です。特に今回は、 いままでよりも更に金額が低くなるもの、障害者が対象になるものとなりますので、きめ細やかな対応しなければ、更に申請率は下がるでしょう。
こんな『臨時措置』を、何度行うんでしょう。『◯◯さんが頑張ってくれたお陰で、お金が貰えた』とでも国民に思わせたいのでしょうか。
消費税を増やして、庶民からも集めた税金を、高い経費を払って配り歩いて、誰が得をするんだろう。振込手数料で銀行を儲けさせたいのか、それとも実は雇用対策かなにかだったりするのでしょうか...
繰り返しになりますが、個人的には『現金給付』そのものには反対ではありません。もちろん臨時福祉給付金そのものについても、丁寧な議論が必要だと思います。ただ行うのなら、もっと効率的・効果的に行わなきゃいかんのとちゃうの?と思うんですね。
消費・物価が上がらないと政府は嘆きますが、煩雑な上に、先の見通しの立たないことを繰返していることも、その一因ではないのでしょうか。
もちろん、いま救いが必要な人たちを助けることを重要です。ですが、恒常的な仕組みづくりにむけてしっかり議論が出来る人に、政治の舵取りを担ってほしいなあと思う今日このごろでございます。
ではでは、今日はこのへんで。
*1:30,000円のほうとミックスなのでちょっと計算的にアレですけど