こんにちは、らくからちゃです。
やっとこさ重い腰を上げ、提出期限ギリギリにて確定申告書を郵送にて提出してまいりました。大したことのない金額ですが、頂いている広告収入もありますし、あと今年は医療費控除にもトライしてみました。
医療費控除と言えば、以前弊ブログで『確定申告のためにわざわざ領収書とっておかせんなよ(゚д゚)ゴルァ それくらい健保組合からのデータでよしなにやれや!(#^ω^)』とキレておりました。
出来るようになったみたいですヽ(=´▽`=)ノ
詳しくは、下記等ご参照。
平成29年分の確定申告から、医療費控除を受ける場合に「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付しなければならないこととされていますが、医療保険者から交付を受けた医療費通知(注)がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略することができます。
今回は初挑戦なので、受理して貰えるかドキドキしていますが、領収書をかき集めずに済むのであれば、かなり申告のハードルが下がりますね!
ただまあ、帰ってくるとはいえ、支払額から見れば微々たるもんです。なんとか安く抑えられないかなーと思い、ここ最近の医療制度の変更点を眺めていると、『かかりつけ薬剤師』なる危ない香りのするものを見つけました。
かかりつけ薬剤師とは
かかりつけ薬剤師って、そもそも何やねん!?に関しては、調剤薬局大手の日本調剤の解説がコンパクトで分かりやすかったので、紹介・引用させて貰いますね。
特定の薬剤師を"かかりつけ薬剤師"として指名を行い、どの医療機関を受診しても、薬の管理は、自身のかかりつけ薬剤師に一元管理してもらおう!といった趣旨の制度です。
この制度のメリットとして
- いつも同じ薬剤師が薬のことをまとめて把握
- 体調の変化の確認や薬の管理も万全に
- いつでも相談でき、夜間・休日の対応も
があげられています。かかりつけ薬剤師を指名することについては費用はかかりません。かかりつけ薬剤師に処方をしてもらうと、一回あたり60円〜100円を『かかりつけ薬剤師指導料』が発生します。
高いと思うか安いと思うか人次第でしょう。いち消費者としては、いざとなったら夜間休日も対応してくれるのは有り難いなあとは思うんですけど、いち労働者としては、地獄のような仕組みだとしか思えないんですよね。
ここがヘンだよかかりつけ薬剤師
下記は厚生労働省資料からの抜粋です。
専任の担当者を置くことで、細かな生活状況が把握できたり、相談しやすい環境づくりに繋がるってことはあるんでしょうねー。でもそれ、個人依存の状況になっちゃいません?
お国の出している『かかりつけ薬剤師の業務』には下記のようなものが列挙されてます。
⑤ 担当患者に対して以下の業務を実施すること。
ア 薬剤服用歴管理指導料に係る業務
イ 患者が受診している全ての保険医療機関、服用薬等の情報を把握
ウ 担当患者から24時間相談に応じる体制をとり、患者に開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を交付(やむを得ない場合は当該薬局の別の薬剤師でも可)
エ 調剤後も患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案
オ 必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を実施
(´ε`;)ウーン…専門家じゃないのでよくわかりませんが、処方や服薬の状況については、お薬手帳など誰が見ても分かるもので管理しておくべきなんじゃない?『いやそれだけじゃ足らない。記録に残せない、きめ細やかな人間関係が重要なんだ』とすると、薬剤師個人の記憶力と人間性に依存する仕組みになってしまう。
だいたい『閉局時間外でも電話相談を実施』とか『夜間・休日も調剤を実施』を、求めるなんて、昨今の『働き方改革』に真っ向からケンカを売ってますよね。"やむを得ない理由"に、何がどこまで含まれるのかわかりませんが、下手すりゃ旅行にもいけないっちゅーことでしょうか。
また『専任』を決めてしまうと、自分のかかりつけ薬剤師が別の患者さんの応対をしている間は待ち時間が伸びる可能性もある一方で、担当の患者さんがいらっしゃらないときは手が空いてしまって稼働率が下がる可能性があります。
生産性と医療の水準を高めるためにも、本来はチームでの対応力をあげることが求められているはずなのに、その真逆を行くようなこの仕組み。どうして生まれたのか?と考えてみると『門前薬局 vs かかりつけ薬局』という構図。もっと言えば、『医薬分業という仕組みそのもの』が背景にすけて見えるんですよね。
医薬分業と門前薬局 vs かかりつけ薬局
地域によってバラつきはありますが、お医者さんで貰った処方箋を薬局に持っていってお薬を出してもらうという『医薬分業』の仕組みは、私が子供のころと比べても、随分社会に定着してきたような気がします。
この医薬分業という仕組みには、大きく以下のようなメリットがあると言われています。
- 医師が利益(薬価差益)を得るために不必要な処方を行うことの予防
- 医師と薬剤師によるダブルチェックを行い安全性を高める
- 病院の混雑緩和と処方に係る時間の短縮
- 病院が薬の在庫管理を行う労力を減らせる
- 薬剤師が複数の医療機関で処方された薬の副作用等の状況を管理できる
それぞれの意義自体は否定しませんが、実際に上手くいっていないモノも多いですよね。なんとか医薬分業を推進すべく、薬局が儲かるように仕組みを調整してみたところ、出来上がったのは病院の前に立ち並ぶ『門前薬局』。
患者負担の医療費はむしろ増えるし、薬局までの移動の分だけ手間も係る。そのくせ『全国の医療機関の処方箋を受け付けます』と張り出しているにも関わらず、最寄りの医療機関以外の少し珍しい薬の処方箋を出すと『そのお薬はあいにく在庫が...』と断られる。
今までより経済性も利便性も下がってんじゃん!との非難の声も上がる中、医薬分業が本来目指していたところに立ち戻るために必要だったのが『かかりつけ薬局』であり、それを更に進化させた『かかりつけ薬剤師』だったのでしょう。
国としても、かかりつけ薬局及びかかりつけ薬剤師の普及を後押しすべく、かかりつけ薬剤師を置いている薬局は高めの調剤報酬が得られるようになっています。
まあ、いち消費者の立場からいうと、本当にやって欲しいのは『医薬分業の範囲の見直し』なんですけどねえ。
ド素人の意見ですけど、リスクの低い薬であれば、もっと院内処方して貰いやすい環境にしたほうが良いんじゃないの?とか。あるいは逆に、わざわざ病院で処方箋を貰わなくとも、薬剤師が保険適用で薬を販売出来るようにするとか、下記記事でもチョロっと触れましたが、リフィル処方箋の導入を検討するとかですね。
話を戻すと、命に関わる問題だけに、こうした仕組みがあることによる安心感はあります。しかしそれ以上に、担当者の負担が重くなり、現場が疲弊することでミスが生まれやすくなったりしないのかなあという不安感のほうが大きいんですよね。
脱『かかりつけ』制度
この話、何も調剤薬局だけでなく、システム業界でも似たような話ってきっと沢山あると思うんですよね。
弊社でも、特定の担当者が、長年と経験と勘を頼りに、緊急時には土日も夜間も厭わずといった働き方をしてきました。しかし新規の契約からは『専属担当者を置く場合は追加料金』などの文言を盛り込んだりと、誰かが『かかりつけ』にならないように仕事の進め方を変えてきました。
属人化しないように、定期的にローテーションを回す。対応方法の標準化を進める。個性豊かなシステムは作らない。小さなことからコツコツ続け、『専用ホットライン』のあるお客様も随分と減らすことが出来てきた気がします。
『命が関わる医療の世界とシステムの世界は違う』のは勿論です。でも逆に、命が関わるからこそ、特定の個人に依存するような仕組みにすることはやめてほしいのです。
きめ細やかなフォローや、24時間緊急対応や、土日夜間も対応してもらえるというのは有り難い話なんだけど、それって特定個人を指名するような仕組みしかないのかなあ。一定の効果が上がっているという調査結果はあるけど、現場の担当者や薬局の負担感はどれくらい変わったのか?もぜひ調べてほしいですね。
以前、某社の社長さんが『本当に広く沢山の人に使って貰いたい商品ならば、きちんと従業員が生活できて、株主にも無理なく利益を還元できるビジネスとして成り立つ仕組みを作らないといけない』といっていたことを思い出しました。果たしてこの仕組み、ビジネスとして成り立つんでしょうか?
働き方改革を進めたいのであれば、民間企業にあれこれ口を出すのも結構ですが、まずは法律で決まっている仕組みについても総点検して欲しいなあと思う今日このごろです。
ではでは、今日はこのへんで。