わかったのは随分前の話ですが、来年の1月に家族がひとり増える事になりました。
もうお互い良い歳(当時32歳&28歳)だし、ライフプランを考えるにあたって検査だけでもしておくべと思って調べてみたら、中々ビミョーな結果。
先のことはどうなるか分からんしと、外出自粛仲良くしてたら「なんや面白そうやな」と思ってくれたのかどうかやってきてくれました。我が家を選んだ理由については生まれてからヒアリングしてみたいと思います。
そうした背景もあり、当初は喜びより驚きのほうが大きかったのですが、互いに実家には頼れない&妻は障害者手帳持ちであることも踏まえ「使える制度はガンガン使って行こうぜ」と考え、育児休業も半年間は取ることを前提に社内調整を進めさせて頂いております。
育児休業あれこれ
育児休業は、お勤めの会社が「制度に対応しているかどうか」なんて関係なく、有給休暇と同じく労働者の権利として取得できるものです。もっとも有給休暇と異なり、お金は健康保険組合が出るものです。なんなら取得させれば会社には助成金が入ります(条件を満たせばですが)。
育児休業給付金は、男性であれ女性であれ、相手が共働きであれ専業主婦or主夫であれ、半年間は働かなくとも額面給与の2/3を非課税・社会保険対象外でいただける大変ありがたい制度です。
額面給与の計算には残業代・定期代が含められるので、わたしの場合ざっくり39万円。その2/3なので約26万円。普段の手取りが諸々9万円ほど引かれて約30万円。
4万円分はカバーせねばなりませんし、お勤めの会社によって違うかもしれませんが弊社の場合は休業期間は賞与支給の計算に含まれないため半年分のボーナスが飛びます。
あわせて軽く100万円分くらいの収入減にはなります。安い金額ではありませんが、生まれたての赤ちゃんを日中妻一人に押し付けずに済むことと、家族で過ごせる時間は天秤にかけるまでも無いですな。(そういうときのために貯金してたんですもん)
世間ではまだまだ男性の育休取得は少ないようですが、弊社周辺では、協力会社の人たちむ含めて子供が生まれたら父親も育児休業を取るのがわりと当たり前になる感じになってきました。
いまどき出世だなんだもないでしょうし、下手に集中できない状態で仕事するよりキッパリ休んでくれって風潮になってきたような気がします。
ただインターネットの声に耳を傾けてみると、こうした手厚い子育て支援は「産まない人との不平等感が広がる」とか、逆に「まだまだ全然足らない」などなど、色んな声があるようです。
子育ては「義務」か「権利」か「道楽」か
意見が割れるのは、子供を生んで育てることに対する価値観の違いみたいなものもあるんでしょうねえ。
最近では減ってきたものの、一部では「子供を生んで育てることは義務だ」みたいな風に考えている人種がいるわけです。
その内訳も多彩で、生物として遺伝子を残すのは生物として残す本能であるみたいなひとから、育てて貰った国や社会を維持していく恩義がある的な右寄り思想から、若えもんが子供さ産まねば、経済成長やおらの年金はどうなるんだみたいなゼニの心配しかしてない人まで百花繚乱です。
実際に育てる本人たちの都合はお構い無しなので積極的に仲良くしたくはありませんが、逆に本人たちの都合に左右されてはイケナイと考えてくれるためか子育て支援については積極的に考えてくれるのは有り難いことです。(まあ実際に行動するかどうかはさておき)
ただライフスタイルの多様化の時流にも押され、最近では声高にこうした主張をする人は少なくなってきたように思います。
一方で増えてきたのが「子供を生んで育てることは権利だ」みたいな声ですね。
こちらも内訳をみると、子供を産み育てることは全国民に保証された権利であって相手が居ないのならば出会いの場を作るところから支援せねばといった積極的なスタンスから、性格や収入や見た目に難があるのは本人の問題なんだから社会的合理性のあるところだけに絞って支援しようぜといった消極的なものまで濃淡にバラツキがあります。
中には、社会全体のマインドセットを変えて権利を行使しやすくして行こうぜ!といったものまであるわけです。例えば育児休業制度の会社向けの取得支援なんかは、かなり積極的なものですよね。
そうなると困っている人を支援するのはとにかく社会のカラーまで変えたりする必要はあるのか。多様化する社会の中で、特定のライフスタイルを政府が賛美するような行為にズレを感じる「子供を生んで育てることは道楽だ」みたいな声も増えてくるわけです。
これも、やるのは結構だが俺らの目に触れないところでやってくれといった穏健派から、子育てが出来るほどの余力があるやつに与えられた不当利益を糾弾するぞといった過激派まで濃淡は様々です。
確かに社会の価値観は多様になる一方で、特定の層の権利だけをエンパワメントすればそこに入らない人との溝は広がります。でも社会が多様化していく以上、こうした層が増えていくのは致し方ない。
だからこそ溝の埋めかたは真剣に考えていかねばならない。
誰が為の子育て支援か
コロナ禍は、これから出産する人にとっても色々と制約の増える事象でした。
全回制覇してやるぜ!!と思っていたパパママ学級は、結局行われることはありませんでした。ただその代替えとして、市役所の子育て支援課の方が、直接訪問してアレコレ教えてくれました。
いろんな支援に触れながら思ったのが「これって親のための支援ってだけじゃなくて、生まれてくる子供のための支援でもあるんだな」ということです。
育児で困ったときのホットダイヤルや緊急一時預かりなんかは、両親にとっても大変助かるものですが、その先にいる赤ちゃんにとっても生命線です。
もとより人間は、夫婦2人だけで赤ちゃんを育てるのは難しい生き物です。にも関わらず、社会構造が世帯や地域を軸としたものから、個人や夫婦を軸としたものに変わってきた以上、制度面の改修も必要となります。
例えば公的年金制度は、両親の経済的な面倒を子供が見る必要が無いようにと出来た側面もあります。同様に、祖父母や叔父叔母の支援を得られにくい世の中になったのであれば、そこを埋める仕組みが必要です。
育児休業制度などは、新しい国民がどこのお家に生まれてきても適切に育ててもらえる権利を保証するもののひとつと考えることも出来るでしょう。
義務だの権利だの道楽だのといった見方は、親を対象とした考え方です。両親側としては、色んな状況の人が居ますし、多くのケースで自ら望んだものでしょうから、どの程度の支援が必要かに関しては意見が割れるでしょう。
実際に産んで育てるのは親ですし、その考え方自体が間違っているんだよ!!なんて言うつもりは有りません。でも一方で、その支援が必要なのって、その先にいる子どもたちであるということは忘れちゃダメなんだろうなあとも思うんですよね。
子育て支援をより拡充していくのであれば、お上もその辺を意識した情報発信をしていっていただいたほうが、使う側としては嬉しいなあと思うんですよね。
育児休業は、自分のためじゃなくて子供のために取るものですから。
ではでは、今日はこのへんで。