初めて妻とその行為を行ったのは、いまからちょうど10年前の今頃の季節だった。
当時は東京と神戸との間での遠距離恋愛だった。お互いに学生でお金もなく、年に数回程度の会える日を楽しみに、毎日のようにアルバイトに勤しみ旅費を貯めた。片道5,000円の夜行バスに乗り、夜は一泊1,000円ちょっとのネットカフェで過ごしていたが、そんなものは全然苦にはならかった。
ただ切り詰めても資金には限りがあり、一度の旅で会えるのは数日間しかなかった。電話やメールは毎日のようにしていたけれど、この機会を逃せば手を握ったり髪を撫ぜたり出来るのは、何ヶ月も先になってしまう。ひとつでも恋人らしい行為をしてみたかったのだと思う。妻に申し出たとき、何もこんなところで、と困惑されたが、遠くから来てくれたのだし仕方ないかと思われたのか、根負けしたのか、不承不承ながらも体を許してくれた。
まだ肌寒さの残る公園のベンチで、私は明らかに興奮していた。
下半身に掛かる吐息、肌のぬくもり。私も妻も、異性とそうした状況になるのは初めてのことだった。明らかに妻は怯えていた。しかし冷静さを失っていた私は、妻の体が自分のものと異なることを考慮せず、いつも自分で行なう時と同じ感覚で妻の体の中をかき混ぜた。妻は悲鳴をあげ、かなりの量の出血をさせてしまった。
10年経ったいまでも、その時の記憶から妻は私のことを警戒している。
遠距離恋愛から近距離恋愛、そして同棲、結婚したいまとなっては、ぐんと回数も増えた。いまでは週に1回は行っているにもかかわらず、未だに妻は私のことを信じてくれない。
よそのご家庭ではどうかわからないが、我が家ではお風呂上がりに行なうことが多い。髪を乾かした後の、上気した妻の頬に垂れている髪を耳にかけ、溜まってるんじゃない?と囁く。いいよ自分でするもんと言い張る妻に、甘い言葉を囁き拝み倒して、妻の体を押し倒す。
入り口の柔らかい部分を左手で優しくつまんで軽く引っ張り、良く見えるように姿勢を整える。まずは緊張を解きほぐすためにも、外側の部分から攻めていく。右手に手にした棒で、襞の間を刮げていった後、妻の内側を目指す。
ひとこと、中に挿れるよとは言うのだが、何もしないうちから既に妻の体は強張っている。お願いだからゆっくりね!と繰り返す妻の体にゆっくりと挿入していくものの、妻の体は震えている。大丈夫、大丈夫と妻を宥めながら奥を目指す。
そんなに奥はやめて!と妻は言うのだが、実を言うと先の部分しか入っていないことも多い。中までたどり着いた後は、時間にして1分ほど、円を動くように先端を動かす。妻はその都度ひっとしながら目をぎゅっと瞑る。ことが終わったあとは、やれやれ開放されたという表情をしているのをみると、しないほうがいいのかな、なんて思うこともある。
実際、あまり頻繁にしないほうがいい、というか全くしないほうがいいと書かれた記事も読んだ。でもエゴかもしれないが、妻と触れ合うこの時間は私にとって格別なものなのだ。ただ夫婦である以上、自分ひとり気持ちよくなっても仕方ない。だからせめて、多少なりとも上手くなりたいものだと思うのだが、妻以外の女性とそうした行為を行ったこともない。果たしてどうしたら上達するのだろうか。
本当に、耳かきは難しい。
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最後までどうもありがとうございました
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