こんにちは、らくからちゃです。
我が家では、週刊東洋経済を定期購読しているのですが、本日届いた最新号の特集が、なかなか興味深いテーマのものでした。
ずばり、タイトルがこれ。
「子なし」の真実
うわー、ぶっ込んできたな〜(;´Д`) と思いながらもページをめくっていきましたが、なかなか『子どもを産むということと社会』という重たいテーマについて、しっかりまとめられていて、中々読み応えのある特集でした。
まずは目次から上げてみます
- "子がいないの"は罪なのか
- INTERVIEW |エッセイスト 酒井順子
- 読者アンケートから浮かび上がった子どもの居ない夫婦の告白
- データが物語る「子なし」の真実
- 大学卒業までかかる費用は2400万円以上
- 子なしに引け目を感じる
- 2人目のハードルが高い
- 重圧を感じる子育て層
- 子育て社員への不満は根強い
- 出費はかさむ一方2人目なんて無理 子持ち夫婦の実態
- 安倍首相の肝いり3世代同居は的外れ
- これでは子どもも持てない男性の育休を阻む「パタハラ」の恐怖
- 「子あり」も幸せとは限らない「夫に死んで欲しい・・・」妻たちの本音
- 割を食う意気地のない社員 資生堂ショックが問う 子育て優遇の是非
- 不妊は男性にも原因有り 時間と治療費で心身ともに限界
- 不妊治療保険は課題が山積み
- 男性不妊を早期に発見 精液セルフチェックで男性も妊活
- 新制度は改悪?不妊女性制限に患者は悲鳴
- 関心をもつ夫婦が急増問われる「子を持つ覚悟」特別養子縁組の厳しさ
- 健康、介護、相続・・・子どもが居ないシニアの現実
- INTERVIEW |作家 下重暁子
- 日本とは前提条件が違う 少子化体側の手本?フランス礼賛の盲点
と、かなり幅広いテーマを取り上げた気合の入った特集です。
様々な少子化問題
かなり色々なテーマが網羅されていることで、改めて思ったのですがこの『少子化』って問題は、それぞれの立場から、かなり問題の性質が変わってきますよね。ざっと記事を眺めながらまとめてみると、こんな感じの構図でしょうか。
まずは、子どもが居ない側から見てみると、やはりいちばん大きいのは『経済的な理由』でしょうか。大学卒業まで子どもを育てるには2,400万円というコストが係ると言われています。
またそれだけでなく、不妊などの問題もあります。先天的なケースもありますが、晩婚化の影響で40歳を越えてから結婚するひとも増えており、それに伴い仮にお金があったとしても子どもを産むことが大変困難になっていく。
更に、折角手に入れたキャリアも、子どもを持つと失わざるを得ないか、または働きながらの『子育て』となると子どもと接する時間も少なくなり、子どもを持つことに意義が見いだせなくなるひとも多いんだとか。単純に『子どもを育てるのが嫌い』と解釈するのもちょっと違うような気がするんですよね。
そういった状況にもかかわらず、同世代からは『子どもが生まれて大変だから』と面倒な仕事を押し付けられ、前時代的な上司からは『子どもが居ないやつには重要な仕事は任せられないな』などと差別され、同世代向けの情報はどんどん『子どもがあること』が前提のものとなり、フェイスブックには子供の写真が溢れていく。
全ての背景にある経済問題
でもまあ、結局すべての背景にあるのって『経済問題』なんですよね。
勿論、経済的な理由でそもそも結婚出来ない、というところもそうなんですけれど、いわゆる『晩婚化』も、高校や専門学校卒業じゃあろくな仕事が無いから、みんな大学に行くから社会に出るタイミングが遅くなる。その結果、結婚のタイミングも遅くなる上、『適齢期』の女性も総合職正社員としてフルタイムで深夜まで働いている状況。
また、結婚した後も、夫婦ふたりだけでの分でもひとりの給料だけでは難しいご時世。これにさらに子どもも・・・となると、夫婦共に正社員の共働きじゃないと生活が成り立たないんですよね。でも、保育園に空きもなければ『小1の壁』問題もあって、結局『産んだところで育てられないよね』となってしまう。
ざっとまとめるとこんな感じでしょうか。
拡大する未婚サイクル
更に、子どもの居る層と居ない層では、近年どんどんその『溝』のようなものが拡大しているような気がするんですよね。
少子化対策への意識啓発もあって、大企業を中心に『子育てをする人を応援しよう!』という動きは広がっています。しかしその一報で、『応援されない人たち』が割を食う構図となりつつあります。
資生堂に何が起こったのか。同社には勤務時間を一日最大2時間短縮出来る制度がある。一万人いる美容部員のうち1割超が利用しているが、そのシワ寄せとして独身者や子どもの居ない既婚者などに土日勤務や遅番シフトが集中し、「プライベートの時間が取れない」といった不満が続出した。
(中略)
子育て社員に対する支援や配慮が必要なことは言うまでもない。しかし制度を充実させることによって、育児をしていない社員にシワ寄せが行き、社員間で溝が深まるという自体が顕在化している。厚生労働書の調査によると、育児休業などのいる職場で不満を感じている人が2割超いる。
(中略)
そういった状況を憂慮し、資生堂のように子育て支援の体制を見直す会社も出てきました。
「子どもが出来ると『遅番は出来ません。日曜日は保育園が休みなので出勤できません』と言ってきます。その分を私たちがカバーすることになりますが、それでも給料が同じというのは不公平ではないですか」
本社の人事部に匿名のメールで訴えてくる社員も居た。
人事部長は経営上層部に掛け合い、休日・深夜mお営業している無認可の保育園に係る費用の差額分を会社が支払うことになった。産休や育休で抜けた穴をカバーするために本社の社員を店舗に派遣する仕組みを作るなどして沈静化を図った。
それでも不満は完全に解消したわけではない。全湖国の店舗に足を運んでは店長たちに「わたしたちのブランドは子育て中の人を含めた多くのお客様で成り立っている。子育て中の社員への配慮は社会のために果たすべき役割でもある」と説得するのだが、それでも「私にはできません」と反論してくる人もいるという。
(出典:東洋経済 2016/07/09 p62)
よく『資生堂ショック』といわれる自体ですが、この意見からは、ひとつの大きな問題が透けて見える気がします。それが、『未婚サイクル』です。つまり、子どもが居ないため、仕事のシワ寄せが来て、 プライベートの時間が削られてしまい、ますます結婚のチャンスが減っていってします。
図にまとめるとこんな感じでしょうか。その結果、子どもを居ないことがまるで罪であり、長時間労働がその罰であるかのような社会が広がりつつある。なんだかこれ、結構身近なところでもあるような気がします。
戦うべき相手は低賃金と長時間労働
なにやら記事のタイトルにもあるように、『子どもが居ないことは罪なのか?』とでもいいたくなる世の中になりつつあるような気がします。
でもさー、読めば読むほど思うのは、子持ち・子無しで対立するんじゃなくて、『誰もが8時間働けば、普通に結婚して子どもを産むことが出来る』社会を目指さないかんなあと思うんですね。
経済は成長し、社会は進歩しているにもかかわらず、どんどん生活実態は悪くなっている。賃金は下がっているのに長時間労働は是正される気配がない。この事実こそ戦うべき相手であって、同世代で足を引っ張り合っている場合ではないと思うんですよね。。。
まあ私にできることは、率先してさっさと定時で帰ることくらいですが、地道にがんばていきたいとおもう今日このごろです。
ではでは、今日はこの辺で。