ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

結婚したけりゃ相手は学生のうちに見つけろ?(特に地方・中小企業・非正規で就職するなら)

こんにちは、らくからちゃです。

統計調査の結果というのは、全く思ってもみなかった事実を教えてくれることもあれば、「そんなもん知っとるわい!」と言いたくなるような現実を改めて突きつけてくることもあります。内閣府の出している少子化白書を見ていると、「お、おう・・・。」となかなか突きつけてくるような事実がありました。

結婚に至った出会いの経緯

若者がなかなか結婚しなくなった。その背景として、まず真っ先にあげられるのが、見合い結婚の減少ですね。確かに戦前は、7割近い男女が、お見合いを通して結ばれていました。ある種、無理矢理にでも男女をくっつけて、夫婦を作り出してきたんですね。

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このデータですが、もう少し「恋愛結婚」の内訳を掘り下げたものも見てみると、なお興味深い事実がわかります。

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出会ったきっかけのうち、「職場・仕事」の占める比率は、1992年をピークに下落の一方で、7ポイント分も下げています。アルバイトも含めると8ポイント近くの減少です。一方で増加したのは、「友人・兄弟姉妹を通して」が8ポイント、更に「学校で」も4ポイントほど増加しています。

あともう一つ興味深い結果として、「見合い結婚」がここに来て反発し1ポイント近く増えています。そういや昔「幼なじみ・隣人」が爆増しているのを見て、こんな記事も書いていましたが、今回また下落しているのを見ると、一時的な誤差だった可能性が高いですね。ですので「見合い結婚」の増加もそうかもしれません。

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 結婚したけりゃ学生のうちに相手は見つけろ

近年、若者の平均初婚年齢は、一貫して上がり続けています。直近の調査結果では、とうとう男性の初婚年齢は30歳を超えました。その数字だけ聞くと「結婚を焦る必要はないかな?」と思ってしまいそうですが、その一方交際期間が長期化した結果、「平均出会い年齢」も大きく上昇しており、平均で4.34年、交際期間の短いお見合い結婚を除外し恋愛結婚に絞った場合は、4.59年にもなっています。

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その結果、恋愛結婚での平均出会い年齢は、男性で24歳から25歳、女性で22歳から24歳と、それほど大きく変わっていません。更に、出会った年齢に関する内訳をみるとなお興味深い結果が出ています。

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男性の場合、25歳までに出会った相手と結婚している割合はほぼ50%前半で推移しており、むしろ1987年時点の43.9%と比べても直近では49.6%と上昇しています。つまりこれ、男性で結婚した人の大半は25.5歳までに相手を見つけている。残りのたまたま遅く結婚した人の年齢が後ろ倒しになった結果平均を押し上げている状況ですね。

女性の場合、もう少し全体的に相手を見つける時期は後ろ倒しになっています。それでも女性で結婚した人の24.4%は20歳になる前に相手を見つけており、半数の人は24.3歳までに相手を見つけています

これには、恋愛結婚の中でも「職場での出会い」が減少している影響がかなり大きそうです。

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少し古い2002年実施のデータにはなりますが、学校で出会う場合、男女ともに18歳くらいから交際をスタートさせ、24歳前に婚約し、25歳ごろに結婚するというケースが平均的です。また友人・兄弟を通じての場合も、男女差はありますが、24・25歳ごろに交際を開始し27・28歳ごろに結婚するというケースになります。

こうしたデータを元に計算したところ、過去30年間の初婚率の低下の5割は見合い結婚の減少で、4割は職場結婚の減少で説明できる。なんて分析結果も出ています。

地方・中小企業・非正規には出会いが無い

古き悪しき時代、職場は、男女の出会いを生み出す場としても機能していました。多くの女性が一般職として採用され、結婚や出産を機会に退職し、抜けた分を別の若い女性が入ってくることで、一定数の未婚女性が職場内に居るような状況が保たれていました。

しかし近年女性の社会進出が進んだ結果、結婚後も働き続ける場合が多くなりました。仕事とは別の人間関係を職場に持ち込む「社内恋愛」「社内結婚」は忌避されるようになりました。それと合わせて、他社の男性と結婚した場合でも、職場内での女性の既婚比率が上がれば、出会いの機会も減少します。

もちろん何も悪いことではないのですが、その影響はかなり大きい。それも地方・中小企業・非正規の場合、更に大きいんですね。(個人的には「非正規」という呼称は好きじゃないので使いたくないのですが、各種記載との整合性を取るためこのまま使わせていただきます。)

下記は、職場内で日常的に接する独身の異性ってどれくらいいるかを調査したものなのですが、「そんなもんいねえよ!」と答えた人は男性38.1%、女性37.4%だったそうです。そりゃまあ職場内での出会いもなくなりますわな。

更にその人数について、各属性別に調べた結果が下記の通り。

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こうしてみると

  • 地方
  • 中小企業
  • 非正規雇用

だと、有意に職場恋愛のきっかけとなる異性の人数が少ないことがわかります。この数値は、男女ともに「交際相手の有無」にものすごく大きなインパクトがあります。「職場の異性の人数」が直接影響しているのか、それとも背景にある別の因子が影響しているのかの議論は必要でしょう。

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ただ直接・間接ともに、職場での人間関係を通した出会いの機会を得られるかどうかはかなり大きいのやもしれません。そしてそれは、交際相手の有無だけでなく、最終的な結婚へのモチベーションにもかなり影響してくるようです。

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若者の非正規雇用が結婚を遠ざけていく

特にこうしてデータを眺めていると、いわゆる非正規雇用が結婚を遠ざけてきた部分はかなり強いように思います。

もちろん「収入が少ない」「不安定」「時間がない」という点は大きいのでしょう。しかし非正規雇用の場合、社内でのネットワークに入れて貰えなかったり、あるいは社外との窓口となる仕事をやらせて貰えなかったりする例も多いのかもしれません。

非正規雇用と交際の有無・希望に関するデータを見てみると、かなり極端な数値の差が出ています。

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非正規である場合、男性で9.8ポイント、女性で7.8ポイントも恋人の居る割合が低い。更に男性で19.6ポイント、女性で11.6ポイントもの人が、交際を望んでいないと回答している。まさか生まれつき恋愛感情がない人が非正規雇用で働くわけでもなし、非正規雇用は恋人ができないだけでなく、作る意欲すら奪っている状況なわけです。

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「交際を望んでいる」人をみても厳しい結果が出ています。非正規の場合、友人や知人に紹介をお願いした人は少なく、恋人はほしいけど結局何もしていない・できていない人が有意に多い

結婚をするのか?子供を生むのか?という判断については、ライフスタイルや価値観が多様化している現在において、個人の自由であるべきでしょう。しかしながら、望んでいてもそれができないという状況については、もう少し真剣に考えたほうが良いのかもしれません。

まだ希望を持っている人が居るうちが救いなのかもしれません。こうした状況が続くと、そもそも異性と付き合うことや結婚することに、イメージすらつかめない若者が確実に増えていくような気もします。

唐突に関係あるような無いような話をいたしますと、最近新婚ホヤホヤの中新連載をされた畑先生の新連載を拝読いたしました。

 いきなり何の脈絡もなく男女が、男女の生活や考え方の違いについて知っていくなどなどな感じのザ・ラブコメなんですけど、なかなか良いですね(笑)。もちろん、フィクションでありファンタジーなワケなんですけど、ともに暮らして生きていくと、色んな方向に世界が広がっていく感じがジワジワ伝わってきて良いですね。

 交際して12年、同棲して6年、結婚して2年ほど経ちましたが、ともに生きる相手がいるのは良いもんです。多くの人に、良い相手が見つかることを心から祈念しつつ、まとめとさせて頂きたいと思います。

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ではでは、今日はこのへんで

参考文献・図表出展

  1. 少子化と未婚女性の生活環境に関する分析
  2. 職縁結婚の盛衰と未婚化の進展
  3. 第 15 回出生動向基本調査結果の概要
  4. 未婚者の交際や結婚意欲に影響を与える“職場独身異性ネットワーク”について
  5. 職場における出会いと結婚意欲の関係
  6. 少子化白書(2018)