こんにちは、らくからちゃです。
先日、去年発売の『初巻もの』のまとめを書いてみました。"オタク"を名乗るほど漫画を読んでいるわけじゃないのですが、いろんなひとから『読んだこと無かった!』と言ってもらえて、書いてよかったです。色々大変でしたけどねw
あ、もし良かったら読んでみて下さい。知らない作品との出会いがあるかも。
まだ紹介しきれなかったここ最近になって発売された良い本も色々ございますので、ご紹介してみたいと思います!
いっくぞー( ・`д・´)
ニーナさんの魔法生活
魔法学校をトップの成績で卒業したアイリスは、『世界最強の魔女』の二つ名を持つニーナの元へ、魔法使い見習いとして住み込みの実習にやってくる。しかし『師匠』はちょっと変わった人で。
構築式とは、すべての力の源である『地脈エネルギー』を魔法へと変換するための術式である。あるものは"呪文"に、あるものは"魔法陣"に。魔法使いひとりひとり式は違えど、構築式なしでは魔法は使えない。
ところがこの人、初歩的なことすら知らない上に、魔法は全部感覚でやってるいい加減っぷり。天才の"それ"なのかなとも思ったけど・・・魔法どころか日常生活もいい加減だった。
秀才型の超優等生が、天才型の『全然わからない。全部雰囲気でやってる。』系の師匠のところに弟子入りするストーリーですね。小むづかしいことを考えすぎて、前に進めなくなっている主人公が、頭空っぽなお師匠さまと、彼女の親しい人たちとの交流の中で成長していくお話。
若者の修行ものという視点で見れば、ストーリー自体は、そこまで珍しいお話ではありません。『魔法系ファンタジー』としても、王道ど真ん中を攻めてきた作品といえます。(まあハイファンタジーって、神話や民間伝承がベースになってるので、トールキンの時代から似た世界観の作品が多いのは仕方ないかもですけど)
じゃあ、この作品の『面白いところ』ってどこなんだろうなあと思うと、"乗り越えるべき壁"が目の前にいるってところなのかな。目標となるべきもの、解くべき謎が、魔王だの高度な呪いだのではなく、何の変哲もないだらしない女性。彼女への『この人への周囲からの圧倒的な評価はなんなんだ...!?』という謎が物語の中心にあり、それを紐解いていくところが面白い作品ですねえ。
あと作画の趣味は人それぞれあると思いますけど、この作品『コマ割りの線』が手書きなんですよね。物語の小道具にも"こだわり"が感じられ、手作りの温かみがあります。変化球が多いこのご時世に、直球ストレートをぶち込んできた点も含めて、今後を期待したい一作。
とんがり帽子のアトリエ
『魔法使いになれるのは生まれ持った才能を持った人だけ』。そう教えられながらも、魔法を使うことに憧れを捨てきれない少女ココ。そんな彼女の日常は、ある日を境に大きく変わることに。
遠い昔 魔法は特別なものじゃなかった。決まった図形の組み合わせと 特殊な製法の墨があればどこの誰にでも使える・・・ もっと身近なものだったんだ
だけどそのせいで何度も何度も争いが起きた。なんでも出来る力があれば何でもするのが人間だ。おぞましい魔法がいくつも描かれた。
わずかに残った良識ある人達は争いを拒み『魔法使い』として結託し人々から魔法の記憶を奪って 秘密を守れる弟子にだけ教え伝えることにした
ネット上では『コマが全て繋がっている!!』と上のシーンがすごく有名になりましたよね。ただこのカットだけ流れてしまい、タイトルやストーリーについてはあまり知られて無いんじゃないかしら?
魔法使いの弟子入り奮闘記という意味では、前掲の作品と同じです。ただ『ニーナさんの魔法生活』は、望んで弟子入りした話で、作品全体としても"明るく軽い"方向性。一方本作は、主人公は正体不明の陰謀に巻き込まれる結果での弟子入りで、作品全体としても"暗く重たい"方向性。
ただこういう『陰謀うごめく世界の上で踊らされる人々』というのもまたファンタジーの王道感ありますよね〜。今後ひとつひとつ謎を説いていくのが楽しみな作品です。
インコンニウスの城砦
南球軍のスパイとして北球軍の軍事工場に潜入したカロと、彼の監視役のニネット。スパイであることがバレる危険と隣合わせの中であっても、黙々と諜報活動に従事するカロであったが、彼には隠された目的が。
この星は氷期を迎えようとしている
北半球と南半球の人々は比較的温暖な赤道地帯を得るために争いを続けていた
核戦争後のような雰囲気の作品。北球軍の主力は火の力で動くスチームパンクな移動城砦(ラクス)。一方、南球軍が駆使するのは、神人の作り出した戦略巨像(ゴレム)という、対象的な組み合わせが中々面白い。機械的なるものと魔法的なるものが合わさった世界観ですね。
物語の中で舞台背景となる要素についての説明がほとんどなく『行間は自分で好きに埋めちゃってね!』という箇所が多くて想像力を膨らませて読む必要のある作品ですね。ファンタジー的な要素と同時に『スパイ潜入物』としても楽しめる作品。なんか四季賞受賞作によく見る感じですね。
寡作の作家さんですが、ここまで描き切りお値段はKindleでたったの390円。しかも今なら、Unlimited対象になっていますので、ここはひとつ騙されたと思って如何でしょうか?
いま『ファンタジー漫画』が熱いワケ
さて今月は、お正月休みもあったので、その他30冊くらい買っていたけど、特に気になるものは以上の3冊でした。完全に個人の主観なんだけど、
最近ファンタジー漫画が熱い
随分、大人が読んでも楽しめる作品がよく出ている気がするんだよね。皮切りになったのは、『魔法使いの嫁』『ダンジョン飯』あたりかなあ。去年初巻が発売されたものでも『空挺ドラゴンズ』や『わたしのカイロス』など、ファンタジーもので今後に期待したい新作が多かった気がする。
その背景には『週刊漫画雑誌の衰退』と『ウェブ漫画の隆盛』の影響が大きいんじゃないだろうか。もう随分前から言われているけど、三大マンガ週刊誌の発行部数はずーっとだだ下がり。
(出典:『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』、三大マンガ週刊誌の発行部数推移〔1994年〜2016年〕 | まんがseek(漫画データベース))
これも個人の主観だけど、週刊誌で連載するとなると、
- 当該誌の読者に広く受け入れられること
- 週刊連載できる分量にストーリーを切り分けられること
- 途中から参加する読者にも分かりやすい仕掛けにすること
の方向性に向かってしまい、どうしても『努力』『友情』『勝利』をベースとした『割りと良くあるバトルものの何か』に落ち着かない?それが週刊誌のビジネスモデル。
ところが連載自体を(ほぼ)無料のウェブ漫画として、単行本で費用を回収するビジネスモデルの場合、凡庸な作品だと数多とある作品の中に埋もれてしまう。よって、マスを意識するよりもニッチをしっかり抑えて行ったほうが確実性があがる。
そういや近頃、随分とグルメ漫画が人気になったけど、あれも『マス』から『ニッチ』へと切り替わった影響なんじゃないかな。生活密着型で比較的普段マンガを手に取らない層へ向けた作品が多い印象。
でも失礼を承知で言えば、グルメ漫画は『構想力』や『表現力』が一段低くとも成立してしまう。そこで舌が肥えてきた読者から『物語』へのニーズが高まってきたという感じなのかな。あとは、空想の世界を愉しむことが出来るくらい、経済環境が良くなりつつある・・・だといいんだけどなあ。どうなんでしょうねw
とまあ定期的に、こんな感じで書いていきたいと思いますので、今後共おつきあい頂ければ幸いです。
ではでは、今日はこのへんで。