この時期になると、株をやっていると各企業の決算報告と株主総会の招待状で郵便受けが溢れ変えるようになります。邪魔くさいなあと思いつつも、普段放置プレイの会社がどうなったんだろうなあと見てみるのは、それはそれで中々楽しい作業でもあります。
総会に来てくれる株主は、大事な出資者様ですので、様々な『おもてなし』をしている会社があります。以前、avexが自社のアーティストを使った『株主総会ライブ』を行っていることで有名になりました。しかし、あまりに有名になりすぎてしまい、コストがかかりすぎたり、議決権行使書がオークションで売買されるといった自体になってしまったため止めてしまったそうです。ちょっと残念。
さすがにそういった大々的なことを行っている会社は多くありませんが、食品系メーカーを中心に自社製品を『お土産』として頂ける会社なら多くあります。
東洋経済新報社が、そんなお土産を金額換算にしたランキングまで作っています。
まあ、交通費もかかりますし、これだけを目当てに行くのも・・・とは思いますが、眺めていると中々おもしろいですよね。
そうそう『お土産』では無いのですが、株主総会に行ったら、なんだか面白そうな体験が出来る会社を一社みつけてしまいましたので書いてみたいと思います。
社長のチーズケーキがいただける株主総会
その会社がこちらです。
せんだって、株主総会の招集通知書がWEB上で公開されましたが、それがこちら。
前半に書いていることは、まあ普通の内容です。
今年は、昨年行わなかった株主総会後の懇親会を復活します。懇親会で株主の皆様といろいろとお話できるのを役員一同楽しみにしています。
おー、懇親会するんか、ええんやないの。
今年も早起きして手作りのチーズケーキを焼いていきますので、よろしければ召し上がってください。
社長さんが作るんかい!
こちらの会社、社名を見ていただいても分かる通り、『システム屋』であって決してケーキ屋では有りません。しかも、IT業界の中では、かなりお世話になっているひとも多い会社です。
システムインテグレータ社の業績動向
とはいえ『システムインテグレータ』という社名に聞き覚えがあるひとは少ないかもしれません。ただ、この製品名でしたらいかがでしょうか?
同社では、主力製品として『Object Browser』というパッケージソフトを作っています。同ソフトは、Oracleなどのデータベースを用いた開発環境では、かなりの広く使われているソフトです。 これがないと仕事にならない、という人も多いんじゃないでしょうか。
また複数社の企業で合同し、GRANDITと呼ばれるERPソフトをコンソーシアム形式で開発することを主導するなど、先進的な取り組みを行ってきました。同ソフトは、現在同社の主力製品のひとつにまで成長しています。
また存じ上げていませんでしたが、ECサイトの構築パッケージなんかも提供しているみたいですね。
それぞれの事業の構造を比較してみると、ECはあんまり儲かっていなさそうですが、他は順調に稼げているように見えます。しかしObject Browser事業、本社費抜きとはいえ、営業利益率67%は凄いなあ・・・。
また売上・経常利益の推移でみても,昨年度の不採算を事業を乗り越え、順調に成長していることが見て取れます。
(出典:決算説明会資料)
社長と株主の距離が近い会社
同社は、従業員数138名(平成28年2月末時点)と、決して大きな会社では有りません。それでも、同社がここまで成長してこれたのは、同社を率いてきたオーナー社長の梅田氏の力が大きかったのかもしれません。
同氏は、東芝に入社しプラント系の業務に従事した後、住商情報システム(現SCSK)に転職します。そこで、国産としては初のERPパッケージとなる『ProActive』の企画・開発に携わります。そして独立後も、新しい製品を生み出し続けてきました。
著書も多数ありますが、いずれも現場の業務に直結するような内容ばかりで、弊社では新入社員研修の教材としても使われていました。
パッケージから学ぶ4大分野の業務知識 (開発の現場セレクション)
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業務システム関連の業界の中では、かなりの『著名人』と言える方であるのは間違いないと思います。株主総会の懇親会で、同氏に直接いろんなことが聞けるのであれば、エンジニアとしてもマネージャーとしても、非常に参考になることが多いんじゃないでしょうか。
また、面白いなあと思ったのが、同社の株主優待。内容そのものは、『保有数に応じたお米』と、若干平凡なものなのですが、そのお米へのコダワリが凄いんですよね。
社長自ら生産者へインタビューし、成長過程をしっかりまとめている。ただ、送って終わり、ではないところが、非常に面白いですね。
株主総会の開催も平日の夜とするなど、参加しやすいようになっています。きちんとした説明の場を設け、社長自ら率先してコミュニケーションを取っていく会社が増えていけば、NISAなんかより、よっぽど個人投資家が投資してみたいと思える環境になるのになあ、なんて思うんですよね。
これからのシーズン、株主総会の開催は増えていきますので、投資の指標として『経営者が株主とどういったコミュニケーションを取っているのか?』は注目してみてもいいポイントかもしれません。