ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

高校生の扶養控除廃止で本当にキツいのは年収380万円以下の世帯では?

こんにちは、らくからちゃです。

先週の日曜日は、FP試験が行われたそうで弊TLにもいろんな人の受験報告が流れてきました。皆様、合格されていると良いですね!

そういや私も2級を持っているのですが、こうも色んな制度が変わる世の中ですと、ファイナンシャル・プランニングなんてできる自信はありませんね。そういや制度の変更といえば、最近こんなニュースが話題になりました。

news.yahoo.co.jp

ざっくりまとめると

  • 高校生(16歳~18歳)の扶養控除38万円(住民税は33万円)を廃止
  • 代わりに月1万円の子ども手当を給付
  • 税率の高い850万円以上の世帯では、給付額より税額アップが大きくなる

って感じかな。

世間の反応を見ていると「世帯収入850万円は十分貰っているんだし、控除から給付に一本化したほうが良いじゃないか」だったり「いやいや子育て世帯で850万円は富裕層ではないし、子育て罰みたいなことは辞めろ」だったり、主に年収850万円以上の人への影響が論点になっているように思います。

幸か不幸か、今の年収だと私は「儲かる」側にいるみたいですが、うちの子が高校生になるころにはそれくらいは超えているはず・・・!

かどうかはさておき、こうした政策は個人の損得だけじゃなく、社会全体の便益も考えるのが有権者としての責務じゃないかなーと思うのですが、これ「年収850万円以上」の世帯への影響よりも「年収380万円以下の世帯」への影響を考えたほうが良い気がするんすよ。

キーワードになるのが、前回も記事にした「大学の無償化」です。

大学無償化の基準のおさらい

あまり話題になっている気がしないのですが、低所得の世帯を対象とした大学の学費の大幅な減免&返済不要の奨学金の給付を組み合わせた「高等教育の修学支援制度(※)」が2020年度から始まっています。

※前回同様「高校無償化」と紛らわしいので「大学無償化」と書いておきます。

www.yutorism.jp

はいはい、どうせいつもの住民税非課税世帯限定で、うちは貰えないんでしょ。と思っていたら、案外貰える幅は広く、一番貰える額の少ない1/3であれば、

  • きょうだいがいない→年収380万円
  • 高校生のきょうだいがいる→年収430万円
  • 高校生+大学生のきょうだいがいる→年収520万円

くらいまで貰えます。

前回の記事のコメントを眺めていると「年収400万円前後で資産2000万ってどんな人やねん」的なものがチラホラありました。

大学生の父親の平均年齢は54歳くらいだそうなので、60歳を過ぎて再雇用で働いているひとも多いでしょう。60代前半の再雇用者の賃金が423万円という記事がありましたが、その層でコツコツ老後資金を貯めていたケースの場合は対象になりそうですね。

大学無償化の基準となる所得は、例のごとく市町村民税の所得割額で判断されます。

  • 満額・・・住民税非課税世帯
  • 2/3・・・2万5600円(課税所得:42万6,666円)
  • 1/3・・・5万1300円(課税所得:85万5000円)

が給付の境目になります。

弊ブログの読者にはお馴染みだと思いますが、住民税=課税所得の10%、市町村民税=住民税の60%なので、6%で割戻すと基準となる課税所得が分かるってわけですね。

この課税所得42万6000円や85万5000円って年収でいうといくらなんでしょ?

年収でどれくらいの人に影響が出るのか

以前、年収から税金を早見する表を作ってみましたが、今回はコレをもとに所得から年収を逆引きしてみましょう。

www.yutorism.jp

この表は、単身者を前提に作っています。ですので専業主婦がいる前提の場合、(ややこしいのですが)配偶者控除33万円分は所得に加算して計算できます。

また所得要件の判断は大学入学の前年に行われ、住民税の計算は前年の所得で行われる。というこで対象になるかは入学の2年前の収入で決まるっぽいですね。

2年前だとお子さんはまだ高校2年生ですよね。ということは、”いまの仕組みであれば"、33万円の所得控除も加味できます。

つまりこれで単身者であれば151.5万円程度の所得、ということになり、早見表で151.5万円のあたりを探すと、約380万円収入であれば1/3対象になりますね。文科省の試算ともおおむね一致します。

で、高校生の扶養控除の廃止が来たらどうなるのか。33万円分の所得控除が無くなるため、それに伴いボーダーとなる課税所得も下がり、対応する年収も下がる。

先ほどの早見表をベースに計算すると

  • 2/3基準・・・課税所得75.6万円 年収230万円(▲70万円)
  • 1/3基準・・・課税所得118.5万円 年収310万円(▲70万円)

1/3基準に掛かる年収は380万円から310万円に70万円ダウン、2/3基準に掛かる年収は300万円から230万円にこちらも70万円ダウンです。

余談ですが、33万円所得が減るんだから、年収の基準も33万円減るんじゃないの?と思われるかもしれませんが、このレンジの給与所得は給与所得控除が約30%、社会保険料控除も15%ほどつきますので、年収でいうとだいたい倍くらい基準が厳しくなります。

年収の要件が70万円も厳しくなれば、かなり多くの人が大学無償化の対象から外れるか、一段下の区分に変わるんじゃないでしょうか?

扶養控除廃止の影響度合いはどれくらい?

所得が低い場合、扶養控除から子供手当に切り替わることで、増える分もあるはずです。じゃあ、増える分と比べてどれくらいの影響があるんでしょうか。

大学無償化で貰えるお金は、私学&下宿で年間150万円、国公立&自宅でも年間90万円くらい。区分が一つ変わると年間で50万円~30万円くらいは負担が増える計算になります。

年収380万円だと、子供手当支給&扶養控除の影響は、

  • 3年間の子供手当=36万円
  • 3年間の税負担増=15万円

となり、3年間で21万円相当のプラス。

文科省のQ&A を読むと、こんな記載がありました。

Q4-2-2 新制度の申込みをしましたが、所得の基準を満たしておらず、支援対象としての認定を受けることができませんでした。もう今後はずっと、本制度による支援を受けることはできないのでしょうか?

A4-2-2 一度、申し込んで認定を受けられなかった人であっても、その後の在学採用で、また申し込むことができます。家計状況に関する要件では、毎年夏頃に最新の所得(住民税情報)を確認し、その判定結果をその年の 10 月以降の支援に反映しますが、前回の申込時より家計の状況が悪化した(収入が減った)場合や、適用される税制上の控除額が増えた場合(例:世帯の構成員の年齢が変わり扶養控除額等が増えた場合など)には、新たに支援対象となる可能性があります。

ええとつまり、大学1年生の段階(高校3年生時点の所得基準)でNGでも、大学2年生の段階でOKなら2年の10月からは貰えるってことっすよね。

(ちなみに扶養控除の対象判定はその年の12月31日時点の年齢で見るはずなので、うちの子たちみたいに早生まれだと更に1年先になりそうですが)

1.5年間分は受け取れなくなることになりそうなので、75~45万円相当貰えていたものがもらえなくなり、この段階ですでにマイナス54万円から24万円

もう一つ言えば入学金の免除もとりっぱぐれますな。

後さらに付け加えると高校生のきょうだいがいる場合にはそちらの分の扶養控除も無くなるので、子供が2人以上いる世帯には更にダメージが大きそうです。

どうする大学無償化

本件に対する個人的なスタンスですが、控除から給付への切り替えは、それで低所得世帯の子供にお金が行き届くのであれば、仮に自分の年収が850万円になりマイナス効果のほうが大きかったとしても賛成です。

あと大学無償化に関しては、そもそも「親の所得での制限」っていうのがイケてない感じがするよね、とは思います。

親が高齢の子供で、仕事量を抑えていたり、年金生活になっていれば貰いやすくなるのはどーなん??と思いますし、そもそも「親が子供の大学の学費を工面する前提」になってるところからしてアレな気がするんすよね。

「医学部でなければ協力せん!!」みたいに進路に介入されるリスクが高まることになりそうですし(それは割と前々から起こっていることですが)、自分でお金を借りて、返済額の何割かを将来所得税・住民税から税額控除、みたいな感じのほうがよさそうな気もするんですが。

それはさておき、この枠組みでやるのであれば、控除削減に伴う各種給付への影響はしっかり検討したほうが良いと思うんすよ。

もちろん850万円以上の世帯だって事情はいろいろですので、安易に「それくらい我慢せえ」とは言いませんが、影響の度合いとしては年収380万円以下の世帯のほうが大きい気がするのですが、どうもそこがあまり議論されていない気がします。

歳の離れたきょうだいが居たら保育料が、、、とか、自立支援医療の基準が、、、とか特に所得が低い人ほど影響度合いが大きな例が色々と出てくると思いますが、とりわけ大学無償化は、進学するつもりのある多くの人に影響する事案な気がします。

何も手を打たないことは無いと思いますが、単純に基準を引き上げるだけだと、きょうだいの控除がなくなった分をどう反映するかなど「そっくり同等」にするのは難しそうですし「制度開始から殆ど経ってないし、ぼた餅拾ったと思ったら腐ってたってな感じであきらめてちょ」ってなことにならなければよいのですが。

ではでは、今日はこの辺で。