ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

つみたてNISAの弱点と銘柄選びの際に考えておくべきこと

こんにちは、らくからちゃです。

年始に、今年はNISAからつみたてNISA(+余ったお金は高配当株orETF)に切り替えるぞ―と色々と調べてみたり、考えてみたりしました。素人なりに調べたこと、考えたことについてまとめておきたいと思います。

NISAからつみたてNISAへの切り替えの方法

切り替えは、前の年までにやっておかないとダメなのかな?と思ったら然に非ず。

投資する当年に入っていても、NISA枠を使っていなくとも、切り替えの申請が可能です。SBI証券の場合、

  1. トップページのNISA・つみたてNISAを選択
  2. NISA→つみたてNISAへの変更を選択
  3. 書類請求を選択

あとは「切りたえたいから書類送ってちょ」という申請をすると、数日内には「ほんまか?」みたいな書類が届きます。あとは名前と日付だけ書いて返送用封筒に送ればOK。免許証のコピー等は不要ですね。

対象銘柄経費率別ランキング

つみたてNISAは、金融庁が『経費率がそれなりに低いやつ』などの基準で事前に選んだ商品の中から投資対象を選びます。

現在のところ、どんな商品が対象になっているのか。あとついでに、どうせなら信託報酬も安いものが良いので、モーニングスターさんのサイトから対象商品を信託報酬低い順で並び替えてみました。その結果がこう。

順位 銘柄名 指数の種類 内外 対象指数 信託報酬
1 SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドSBI 単一指数
(株式型)
海外型 S&P500 0.09%
2 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)三菱UFJ国際 単一指数
(株式型)
海外型 S&P500 0.10%
3 SBI・先進国株式インデックス・ファンドSBI 単一指数
(株式型)
海外型 FTSE Developed All Cap Index 0.10%
4 eMAXIS Slim先進国株式インデックス三菱UFJ国際 単一指数
(株式型)
海外型 MSCI コクサイ・インデックス 0.11%
5 ニッセイ 外国株式インデックスファンドニッセイ 単一指数
(株式型)
海外型 MSCI コクサイ・インデックス 0.11%
6 たわらノーロード先進国株式アセマネOne 単一指数
(株式型)
海外型 MSCI コクサイ・インデックス 0.11%
7 SBI・全世界株式インデックス・ファンドSBI 単一指数
(株式型)
海外型 FTSE Global All Cap Index 0.11%
8 eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)三菱UFJ国際 単一指数
(株式型)
海外型 MSCI ACWI Index 0.11%
9 eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)三菱UFJ国際 複合指数
(バランス型)
内外型 0.11%
10 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)三菱UFJ国際 単一指数
(株式型)
内外型 MSCI ACWI Index 0.11%

最近じゃ、投資信託の信託報酬も0.1%を切るようになったんですねえ。40万円相当のファンドを1年間寝かせて400円。20年間800万円までためても8000円ですか。すごい時代になったもんです。

しかし見事なまでに先進国株、それも米国株一式ですね。上位2つはS&P500で純粋に米国株ですし、4〜6位のMSCIコクサイ・インデックスも6割以上が米国株で組成されたインデックスです。「とにかく安いもの!」と選べば、もれなく米国株に突っ込むことになりますな。

つみたてNISAの弱点

具体的な銘柄選びを考える前に、つみたての制度概要をもう一度振り返っておきましょう。

つみたてNISAは、所定の条件を満たした場合、通常20%かかる分配金や譲渡益に対する課税が0になる制度です。

  1. 対象・・・金融庁が所定の条件により選定した投資信託
  2. 金額・・・年間40万円
  3. 期間・・・最長20年間

この金額というのは、40万円相当分をつみたてNISA分として購入できるってことですね。つみたてNISAは、制度が2037年に終了の予定でしたので、2018年の開始当初から初めていなければ、満額40万円*20年間=800万円分までしか購入できませんでした。

ただこの部分については、現在「いつからはじめても800万円分は投資OK」にするように、税制改正中になります。

つみたてNISAは、iDeCoやジュニアNISA等と異なり、途中解約&現金化はOKです。

ただどうせ使うならば、税制メリットを活かすために、満期20年間保有したいと思いますよね。たいていのひとが、「万が一でなければ手を付けないお金」のつもりで、積立をしているんじゃないでしょうか。

つみたてNISAでは、20年間という非常に長い期間を運用する商品を選ぶことになります。

iDeCoでは、「なんか失敗した気がする」「もっと良いものが出た」「投資方針を変更したい」と思った場合は、スイッチングの仕組みを利用して商品を乗り換えることが出来ます。その際には、スイッチング元商品の含み益部分も含んで、次の商品に移し替えられます。

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一方、つみたてNISAの場合そうした「スイッチング」の仕組みは無いので、あちゃー失敗したなあ、別の商品に乗り換えたいなあと思ったときには、一度売却して再購入することになるため、その年の枠が使えなくなります。また含み益が乗っていたとしても、一旦再購入するので含み益分は非課税対象から除外されてしまいますわな。

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無印NISAの場合は最長5年間と比較的短期間でしたし、枠も120万円もありましたので「まずはやってみる」で修正もしやすい仕組みでした。iDeCoのようなやり直しも出来ない分、つみたてNISAのほうが、より慎重な銘柄選びが求められるんだろうなーと思うんですね。

米国株一神教の是非

さてそう考えると「とりあえず経費の安い米国株を買うべきか否か」というのは、思案のしどころでしょう。

米国株インデックスは、少なくともいまの段階では、間違いのない投資対象でしょう。

米国株へ投資するのは、何もアメリカ合衆国という地域への投資を意味するわけではありません。世界で最も資金を集めているニューヨーク証券取引所を中心とする米国市場に上場する銘柄へ投資することです。

アップルの製品やマイクロソフトのOSなんかは世界中で売れていますし、コカコーラやジョンソン・エンド・ジョンソンといった身近な製品を世界中に売っている会社も多数上場しています。

上場している会社だけでなく、そこで売買を行う人たちも世界中のトップオブトップが集まっており、資金量や法制などのルール面でも最も洗練された市場であるわけで、欧州株だの新興国だの気にしなくてOK!全部S&P500にぶっこんでおけ!!

みたいなのが「米国株一神教」と呼ばれるものの教義です。

確かに、ここ最近は米国株パフォーマンス良かったですし、そんな教えに帰依するきもちは分からんでもありません。でもそれ、つみたてNISAでも同じ教えを引き継いで良いものなんだろうか?というところはやや疑問です。

そもそも資本市場が適切に機能しているのであれば、本来どこの市場で投資しようとパフォーマンスには大きな差が出ないはずです。たとえ日本株がクズの寄せ集めだったとしても、そのぶん株価は安めに評価されるはずです。

会社の経営成績についてはさておき、株式投資については、元値がやすかった分、イケてる米国企業と同等のリターンを生んで然るべきです。

さらに言えば、政治的リスクや地政学的リスクを伴う場合、そのリスクも加味して期待リターンよりも割安に評価されるのが市場の常道です。たった5年間しか運用できない無印NISAならさておき、運用期間が20年間あることを考えれば、多少怪しげでも新興国や国内株の比率を上げても良いんじゃねえんでしょうか。

弱点の補い方

個別に、米株と他の資産とミックスしながら運用するのも良いでしょうけど、いわゆるバランスファンドの信託報酬も随分下がっていますので、この辺を組み入れていくのも良いかなあと思うんですよね。

順位 銘柄名 指数の種類 内外 対象指数 信託報酬
1 DCニッセイワールドセレクトF(標準型)ニッセイ 複合指数
(バランス型)
内外型 0.15%
2 eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)三菱UFJ国際 複合指数
(バランス型)
内外型 0.15%
3 ニッセイ・インデックスバランスF(4資産均等)ニッセイ 複合指数
(バランス型)
内外型 0.15%
4 たわらノーロード バランス(8資産均等型)アセマネOne 複合指数
(バランス型)
内外型 0.15%
5 DCニッセイワールドセレクトF(株式重視型)ニッセイ 複合指数
(バランス型)
内外型 0.15%
6 ニッセイ・インデックスバランスF(6資産均等)ニッセイ 複合指数
(バランス型)
内外型 0.17%
7 Smart-i 8資産バランス 安定成長型りそな 複合指数
(バランス型)
内外型 0.20%
8 ダイワ・ライフ・バランス50大和 複合指数
(バランス型)
内外型 0.22%
9 Smart-i 8資産バランス 成長型りそな 複合指数
(バランス型)
内外型 0.22%
10 三井住友・DCつみたてNISA・世界分散ファンド三井住友 複合指数
(バランス型)
内外型 0.23%

債券をどれくらい組み入れるかや、不動産はいるかどうかなど、諸々「味付け」は異なるので、何が良いかは各位にて要検討でしょうけども、この辺もしっかり検討対象に入れてあげても良いかもですね。手数料もどうせ年間数百円の差ですし、今後の動向次第では引き下げられるかもしれませんしね。

また何か気がついたことがあったら整理してみたいと思います。

ではでは、今日はこのへんで。