ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

グローバル5.5倍爆誕!乱立するレバレッジ型バランスファンドを整理してみる

こんにちは、らくからちゃです。

投信ブロガーの選ぶファンドオブザイヤーでは、グローバル3倍3分法ファンド(グロ3)が7位に食い込むなど、去年はレバレッジ型バランスファンドが大きく注目を集めた一年でした。

www.fundoftheyear.jp

乱高下の激しい時期もあった相場環境でしたが、グロ3は株式・債券単体のパフォーマンスを上回りつつ、比較的安定しながら価値形成をすすめていけたんじゃないかなーと思います。

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グロ3の成功にあやかってか(?)、各社から多数の商品が乱立するようになってまいりました。ただのインデックスファンドと比べると、どこに重点を置くかで味付けの工夫ができるタイプの商品ですので、切磋琢磨が進んでいくのは消費者としてはありがたい限りです。

当初3倍ほどのレバレッジの商品が多かったのですが、更に高いレバレッジをかける商品も出てきました。そんな中、グロ3を開発した本家本元の日興アセットマネジメントからも「グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)」が発表されました。

レバレッジ型バランスファンド概要

知っている人には説明不要かと思いますが、本ファンドはレバレッジ型ファンドというカテゴリのファンドになります。呼び名が決まっているワケではありませんので、人によってはバランスレバレッジファンドなどなど、若干の表記のゆらぎはありますが、「株式や債券に対してレバレッジをかけたパッシブ運用を行う」というコンセプトには相違ありません。

近年、インデックスによる運用は広く一般にも普及して参りました。もしインデックスでの運用が非常に良いものであれば、普通に買い付けるだけでなく、先物取引の仕組みを上手に使って値動きを増幅させたれ!というコンセプトで設計された投信(&ETF)が、いわゆるレバレッジファンドと呼ばれているものです。 例えば、こういうものですねー。

www.yutorism.jp

 よくあるベア・ブル型ファンドと呼ばれているものは、1日物の先物取引をかけることで、1日ごとに値動きを3倍させる設計となっています。よってファンドそのものに対して設定されている経費とは別に、先物価格内部に織り込まれる名目金利を負担することになります。これはあくまで名目なのでその金額を目論見書に書くことはできません。素人目線で書いてみた記事がありますので、ご興味があればぜひ!

www.yutorism.jp

経費自体もそこそこ高い(1%前後)ですし、金利(今だとだいたい2~3%くらいになるそうです)も負担せねばなりませんので、すっぴんのインデックスに対するETFと比べるとリターンに対するコストは良くありません。

でも投入資金に対する期待リターンは大きく引き上げることができます。特にこれは、買付額の上限のあるNISAや、為替コストの掛かるドル建て資産に投資する際には大きな武器になります。

ただ株式だけに全力投球してしまうと、ボロ儲けすることもあれば素寒貧になることもあります。そこでレイ・ダリオ氏のオールウェザー戦略などを参考に、株式が値下がりした際にその落ち込みをカバーするために債券のレバレッジファンド(TMFとか)を組み合わせる「レバレッジ&バランス戦略」にチャレンジするひとが多く出てきました。

「どんな局面でも大きく損を出すことはなく、かつ高いリターンを追求する」ことをコンセプトに、過去のバックテストをしながら、みんなで一生懸命「ぼくの考えた最強のポートフォリオ」をブレンドしてミックスしたりしていました。米株口座が必要ですい、定期的なリバランスの手間もかかるのでオタクにしか手が出しにくい運用戦略でしたが、それを代行してくれる有り難い商品がレバレッジ型バランスファンドです。

グローバル5.5倍ファンドの商品設計

ゴーゴー・バランスなんて悪ノリとしか思えない愛称がつけられるようですが、個人的には流石にダサすぎるので、ひとまずグロ5と呼ぶことにしてみます(笑)。

本商品に関する詳細な情報は、まだ運用を行う日興アセットマネジメントからも出ておりません。現在出ている情報はすべて、1月24日にEDINETにて報告されている内容になります。ご興味がある方は、この辺を御覧ください。

運用開始は2020年2月12日から、SBI証券とマネックス証券あたりから売り明日みたいですね。

さてグロ5の商品設計についてですが、下記のような按分となっています。

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  • 株式 18.2% → 100%
  • 不動産 4.5% → 25%
  • 債券 72.7% → 400%
  • 金 4.5% → 25%

なお信託報酬は合計0.99%(委託会社0.36%、販売会社0.60%、受託会社0.03%)となります。

レバレッジ型バランスファンド比較

とまあ数字だけ並べられても、ピンとこない人も多いでしょう。他のファンドと比べてどうなの?というところを整理するために、銘柄別の情報を整理してみました。

ド―――(゚д゚)―――ン!

銘柄 タイプ 会社 時価総額 経費率 株式 不動産 債券 商品 合計
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) 固定 日興 3973億円 0.48% 59% 39% 200% 0% 298%
楽天・米国レバレッジバランス・ファンド 固定 楽天 201億円 0.49% 90% 0% 270% 0% 360%
ウルトラバランス 世界株式 固定 アストマックス 48億円 0.74% 80% 0% 175% 35% 290%
マンAHLスマート・レバレッジ戦略ファンド 可変 大和 706億円 2.10% 91% 0% 148% 0% 239%
米国分散投資戦略ファンド(3倍コース) 可変 三井住友 222億円 1.88% 3% 24% 245% 18% 289%
米国分散投資戦略ファンド(5倍コース) 可変 三井住友 678億円 1.60% 4% 39% 407% 30% 480%
米国3倍4資産リスク分散(年2回決算型) 可変 大和 0億円 1.13% 51% 0% 159% 56% 266%
グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型) 固定 日興 新規 0.99% 100% 25% 400% 25% 550%

レバレッジ型ファンドには、予め資産の比率を固定して定めているタイプのものと、相場状況に応じて比率の変わる可変型のものがあります。可変型のものは、直近の運用データから比率を持ってきました。

経費率を眺めてみると、グロ3と楽天の360が0.48・0.49と良い勝負していますね。レバレッジが2割ほど高いため楽天のほうがややお得感がありますが、米国株・米国債オンリーですので、そこら辺をどう考えるかですね。またウルトラバランスは、債券の4割をフランス国債にまわしているのが特徴的ですが、商品(金)を入れているのもまた面白いですね。

今回設定のグロ5は、株式をベースに、どーんと債券が4倍突っ込まれています。これは、三井住友の5倍レバレッジとほぼ同じ比率です。これだけレバレッジをかけるのであれば、値動きの激しい株式ではなく、債券の比重が上がるのも分からんでもないですが、ここまで比重を偏らせて良いんだろうか?と疑問に思っちゃいますね。

債券バブルはいつまで続く?

ちょっと分かりにくいのですが、債券の価格は金利が下がれば上がります。ざっくりしたイメージとしては、発行済債券の金額は新しく発行された債券のほうが金利が高ければ下がります。逆に、新しく発行された債券の金利が低ければ、元々の債券のほうが価値が高い。

ここ最近、米国ではリーマン・ショック後に引き上げてきた金利を引き下げる決定を行って以来、金利の下げ予測が強まってきました。

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 (出典:米FRB、10年7カ月ぶりに政策金利の引き下げを決定(米国) | ビジネス短信 - ジェトロ)

米長期国債へ投資するETFは、一年で2割近く上昇するなど、2019年の債券は非常に強い状態でした。

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ただ怖いなあと思うのが、日々マーケットで世界中の経済状況を取り入れて決まる株式とは異なり、債券は12人しかいないFOMCメンバーの動向に大きく左右されます。また全世界の政治状況の影響も非常に強く受けます。

2020年は大統領選もありますし、当面は強気で見て良いのかもしれませんが、ここまで債券に賭けるのはちょっと怖いなあというのが正直なところです。

まあでも株式インデックスばかり追っかけていると、金融に関する勉強がおろそかになりがちです。実際にその影響をダイレクトに受ける資産の比重が上がれば、勉強にも身が入りますので、一生モノの知識を得るチャンスと考えれば良い選択かもしれません。

なにかのご参考になれば幸いです。

ではでは、今日はこのへんで。