こんにちは、らくからちゃです。
せっかくの華金なので、18時前には会社を出たいなあと思っていましたが、いつものごとくトラブルに巻き込まれて結局退社したのは19時半過ぎでした。とほほ。それはさておき、先日労働環境に関する中々興味深い車内広告を見つけたのでツイートしてみたところ、バズりました。
勘違いではないと思うで。 pic.twitter.com/jhI7AFbf66
— らくからちゃ (@lacucaracha) June 9, 2019
ちょw俺のツイート伸びすぎww有名人じゃんwwwまじ通知止まらんwww
何か新事実を発見したわけでも、気の利いた一言を言ったわけでもなく、広告にツッコミを入れただけなので、賢くも偉くもありゃしません。しかし1万を超えるリツイートをいただきますと、FF外の皆様から色んなガヤクソリプもいただけましたので、色々と思うところを書いてみようかなーなんて思います。
月40時間残業&有給取得率50%ってブラック企業だよね
今回なんでやねんと思ったのが、オープンワーク(旧Vorkers)さんが、ずっと「ブラック」だと勘違いしていてすみません・・・!なんてコメントともに出していた自社サイトに登録された某企業のデータです。
頂いたコメントの中に「リクルートじゃね?」とのものがありました。実際見てみますと、確かに数値的には近い感じです。
(出典:リクルートホールディングス)
これが確かだとすると、同業他社に向かって熱い啖呵を切ったところにはチャレンジ精神を感じますが、世間一般からの目線も同じようなもんでしょう。口コミのコメントを斜め読みしてもパッションあふれるものも多い一方で、
- 残業時間(月間)・・・37.1h
- 有給休暇消化率 ・・・57.7%
ってのは、思っていたよりも悪くない。もしかして弊社よりマシじゃね?と思ってしまったのも事実でございます。
でもね。やっぱり改めて思うのですが、どんなキレイなレーダーチャートでも、月間残業時間40時間、有給消化率50%は勘違いでもなんでもなくて「ブラック」じゃねえの?と。
世の中には、超ブラック企業が溢れているので、感覚が麻痺しているひとも多いように見受けられます。月間残業時間40時間っつーのは、9時出社・17時半退社の7.5時間労働の人であれば、毎日の退社時間が19時半ってことですよ!?しかも平均ですので、毎日21時を超えている人や、23時を超える日が続くことだって有るってことですよね!?
はい、そこの「なにそれ、天国じゃん」とか思った君。まさに、感覚が壊れてしまっていますね。
2016年度の労働力調査の結果サマリーによると、正社員で残業なしの比率は男性で概ね25%、女性では40%。20時間未満の比率で、男女ともにほぼ半数を占めるイメージです。
(出典:残業時間の平均と統計分布)
労働力調査は企業ではなく個人に対して行われる調査です。よって残業時間を変にごまかされる懸念は低いのですが、回答する余裕がある人に偏りが生じるのは事実です。そのままこの結果を受け入れるのは出来ないと思いますが、「みんながみんな長時間労働に勤しんでいるわけではない」ということは言えそうです。
長時間労働クラスターが出来るまで
この件に関して飛んできたリプライは「これはひどい」というタイプのものと、「ブラック企業ではない」というものに大きく別れました。
頂いたコメントを眺めていると、「長時間労働クラスター」とでも言うようなものが出来上がっており、ずいぶん人によって「働き方の当たり前」みたいなものに大きな差が出ているような気がしたんですよね。
普段から、22時、23時の電車を利用している人たちにとっては、同じような働き方をしている人たちを普段目にし、そういった人たちのTweetが流れてくるタイムラインを見ていると、それが「当たり前」のように見えてきちゃうんですよね。
実際、わたしにもそういう時期はありました。
でもふと「やっぱおかしいよね」と気がついたのは、2週間ほど定時退社をしていたときに、定時の時間帯に電車に乗っているひとたちが思った以上に多いことに気がついたからです。
18時台の電車はぎゅうぎゅう詰めで、学生や事務のお姉さん風の人たちだけでなく、自分と同じような20代のサラリーマンも多く利用しているんですよね。
結局、夜遅くまで働いていると、自分たちの世界が全てで、他の人達も同じような働き方をしているといった思考の偏りみたいなものが生まれがちですが、いざ色んな人に話を聞くと「それ、おかしいよ」っと言ってくれる人も案外たくさんいる。
有給休暇も、殆ど取っていない人もいる一方で、労働者の当然の権利なんだから使い切らなきゃ損でしょ。という人だっている。確かに、年間の労働日数を245日、年収を600万円とすると、1日取りこぼすたびに2.4万円の権利を捨てていることになりますわな。
それでも有給休暇を余らせる人は、「休んだってすることがない」なんて末期的なことを言い始めたりするわけです。ここまで来ると、何のために生きてるの?と哲学的な問いを立てる必要すら出てきちゃいますね。
覚えておきたい労働時間に関するルール
また「ちゃんと残業代が出るんなら良いんじゃない?」「法律に違反しているわけじゃないでしょ」「好きなだけ残業出来るのが真のホワイト企業」なんてご意見も頂戴しました。
わたしの経験上、お仕事相手としては、ぶっちゃけブラック企業のほうが楽なときもあります。
夜中の19時や20時に、質問のメールを投げると、ブラック企業の場合、その日のうちに返事が返ってきて何だか申し訳ない気分になる一方、相手がホワイト企業の場合翌朝に
こんな時間まで仕事してるなんてどんな進捗管理をされているんですか?品質は大丈夫ですか?(意訳)
なんて心温まるメッセージを頂いたこともありました。お客様同士のやり取りをみていても「いやその計画じゃ有給や病欠は対応できないよね」とか「そのボリュームで定時内に収まるの?ちゃんと頭使って仕事しようよ」とか言われているのを見て、大変そうだなあと思ったこともあります。
確かに、残業をゼロにするのも有給休暇取得率を100%にするのも大変です。
とはいえ40時間近くになるのは、残業をすることを前提とした仕事の進め方をしているからであり、有給休暇取得率が50%代なのは有給休暇を取ることが前提として仕事が組まれていないからです。
労働基準法には下記の通りあります。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
○2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
皆さんヌルっと忘れがちなのですが、一日8時間労働・一週間40時間労働というのは、「残業代が出るかどうかの基準」じゃなくて「それを超えて働かせちゃならんよ」という規則です。
いわゆる「36協定」を労働者代表と結んでいる場合、この基準を緩和させることもできます。それでも原則は月45時間、年360時間(週30時間相当)が最大なので、平均で40時間は法令違反の可能性アリです。
あまりに守らないクソ企業が多いから、拡大されたんじゃねえのかよとご理解の方も多いようですが、「臨時的・特別の事情が有る場合は事前に定めた条件の範囲内で限定的に認める」が法律です。
例えば新製品リリース前の時期だからどうしても必要とか、クレーム対応が発生したときのために例外は設けておきたいとか、そういうときにだけ設定できるルールです。取り締まる側の厚生労働省が、強制残業省状態なので余り説得力ありませんけど、ルーチンワークで年平均30時間を超えるような働かせ方をするのはアウトです。
残念ながら、長時間労働ジャンキーにはこういった情報が伝わりにくいのも事実ですが、まさかリクナビを運営するリクルートさんがご存じないことはないですよね?
ブラック企業は労働者が生き延びさせている
どうもホワイト企業に長く努めていると、残業をせず有給を取るための手間暇というのは苦にならず、逆にブラック企業に長く努めていると、残業は苦痛にならずむしろ有給を取ることが苦痛になるように「成長」していくような例を多々見てきました。
毎日ドッタンバッタン大騒ぎ。周囲の人も全員、時間をかけてこなす以外の方法を考えようとは思わない。そんなブラック企業に慣れ親しんできた人から見ると、ホワイト企業的な働き方は、正直「しんどい」と思う点も多いでしょう。
ただ長期的に見て、成長の余地や持続可能性が高いのは、どちらの働き方なのか。組織として機能するのはどちらの働き方なのか。「自由に残業して良い」というのは、一見気ままに思えても、そこに頼れたり守ってもらえたりする相手は居ないということです。短期的には残業代で稼げても、長期的に効率的な仕組みが使えなければ、結局行き詰まるんじゃないでしょうか。
なかなか興味深いデータがあります。
パーソルの行った調査によると、残業時間って45時間を超えると、だんだんハッピーになってきちゃうんですよね。
更になんと、会社への満足感も高まっていくんだそうな。
もう一つ「長時間労働を行っている労働者」に対して上司がどう思っているか考えてみるか想像してみてと聞いたところ
- 長時間労働者:あいつはよく頑張っておるなあと思ってる
- 短時間労働者:なんやあの仕事遅いやつと思われてる
と明確な差が出たんですよね。
わたしも長時間労働に勤しんでいた時期は「いま沢山の仕事を乗り換えて成長している!!」「残業代以上のアウトプットを出して会社に貢献している!!」などと妄想を抱きながらお仕事をしていました。
いま改めて振り返ってみれば、そんなん自己満足でしか無かったわけです。会社もお客様も世の中も求めているのは、さっさとやり方を整理し後輩を指導して、組織全体として仕事が出来る体制を作ることです。そこに向かって汗を流すのではなく、やりたいようにやって勝手に一人で気持ちよくなっていただけです。私自身、ブラック企業化に勝手に加担していたとも言えます。
勝手に「長時間労働は日本全体の問題」と棚上げせずに「ひとりひとりの問題」としてきちんと受け止めることが大事なんじゃないのかなー、なんて思う今日このごろです。
ではでは、今日はこのへんで。