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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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三角関数もいいけど簿記も教えてあげて欲しい

経済・社会


こんにちは、らくからちゃです。

どうも、鹿児島県の知事さんが『余計なこと』を言ったお陰で色々と大盛り上がりになっているようですね。

ちなみに、こんなことを仰られたようです。

知事は、全国学力テストの結果を受け、「サイン、コサイン、タンジェントを社会で使ったことがあるか女性に問うと、10分の9は使ったことがないと答える」と述べ、「社会の事象とか、植物の花とか草の名前を教えたほうが良い」と主張した。

その後、『女性だけじゃくて、私もサイン、コサインは使っていない』と語るなど、記念受験したセンター数学で、ひと桁台を弾き出したわたしにとっては、随分と親近感の湧く発言で有ります。さすがに対象を女性に絞った部分は頂けないと思いますが、概ね同意できるところも多いような気がします。

三角関数と学習指導要領

 ところで皆さん、三角関数って高校数学のどの教科に入るか覚えています?わたしは、さっぱり忘れてしまったので、改めて調べてみました。どうも、わたしが高校生の時からは、いろいろと変わっているようですが、『三角関数』については、いまだに数学Ⅱでやるみたいですね。

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(出典:理数の科目編成の変更点)

へー、と思ったのは、『数学C』って無くなっちゃったんですね。そして、『数学基礎』という名の中学数学の復習用科目がなくなり、データの分析が数学Iに追加された模様。この『数学Iに』っていうのが重要ですね。何故なら、『数学I』は必修科目だからです。逆に言うと、『三角関数』を学ぶ数学Ⅱは全ての高校生が履修するわけでは有りません。

『履修漏れ』が問題になった世界史と異なり、別に『三角関数』は勉強しなくても問題有りません。ちなみに、最新の『必修科目』の一覧はこんなかんじですね。

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(出典:高等学校教育の現状)

確かに『三角関数』は、非常に応用範囲の広い分野ですし、仮にきちんと覚えていなくとも、『そういうものがあるんだ』ということを知っておくことは重要なことです。ただ、今の学習指導要領としては、『誰もが学ぶべき内容』として設定されてはいない内容なんですね。

高校で習うような科目は、たとえ自分の専門外だったとしても、知っておけば可能性の広がる内容が多いように思われます。とはいえ、時間は有限なので、取捨選択は必要になってくるわけですね。そして、教養として知っておくべきことは重要ではありますが、社会に出てからより役に立つような知識を修得することも重要ではないのでしょうか。

わたしみたいな、会計畑の人間には、是非とも『使わない』三角関数より、簿記でもお勉強しておいて欲しいなあとおもうところなのですが・・・。

何を学ぶべきか

高校で学ばせるべき内容として、『科学の基礎となるような知識』と『実学として卒業後すぐ役に立つ知識』のどちらが相応しいのかについては議論の余地はあると思いますが、主に『普通科』が前者を、『職業学科』を後者が担ってきました。

基本的に普通科のカリキュラムは、進学を前提としたものとなります。その為、『即戦力』となることを期待されている職業学科と比べ、卒業後の進路は下記のようになります。

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ちなみに、『三角関数』を含む『数学Ⅱ』については、普通科高校では、2年次には9割の学校で開講されます。一方、職業学科については、その比率は63.4%まで減少します。あくまでこれは、『開設状況』です。選択科目に設定している場合、実際の履修率はこの数値を下回ります。

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※全日制課程における科目の開設状況について、学科ごとの割合
(出典:高等学校の教育課程等に関連する資料)

実際に、商業高校のカリキュラムを見てみると、数学Ⅰのみが必修となっており、数学Ⅱは選択という例も何校か見られました。彼らはその代わりに『簿記』や『ビジネス』、『情報処理』といった科目を必修として学ぶんですね。
(参考:東京都立第四商業高等学校 | カリキュラム)

知事の真意はよく分かりませんが、こういった専門学科を増やしていきたいということなのでしょうか?確かに、すべての人が三角関数を学ぶ必要も、すべての人が大学へ進学する必要も無いと思いますので、すぐに社会に出て働きたいと思っている子どもたちのためにも、そういった選択肢を増やすことは良いことではないんでしょうか。

特に鹿児島県は、女性を中心に大学進学率が低いようなので、そういったニーズが強いのかもしれませんね。

 

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

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専門学科を巡る状況

知事の、『三角関数より勉強することがあるんじゃない?』という思いとは裏腹に(?)職業学科の高校とその生徒数の割合は減り続けています。

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変わって現れたのが『総合学科』。入学時に『学科』を選ぶのではなく、入学後に複数の科目・コースの中から自分の学びたいものを選んでいくといった形態の学校ですね。

専門学科の高校から転換した学校も有り、かなり『商業』『工業』よりの総合学科もありますが、結局やりたいことが見当たらなかった人のために、『国際』とか『人文』とか何だか良くわからない進学用のコースを設けている学校も多くあるようです。

ということは、みんな大学に行くために、『三角関数』とかが勉強出来るような学校のほうが需要が大きいんでしょうか。ただ、そこもちょっと違うんじゃないのかなあって思うんですよね。以前ちょこっとだけ書いてみましたが、 我が国の新規学卒就職市場では、いまだに『大卒学部問わず』なんていう意味不明の『学歴フィルター』を掲げている会社が多数見られます。

『電気学科卒業者募集』とか『国文学専攻募集』みたいなフィルターであれば分かるのですが、『大卒学部問わず』なんて意味不明の学歴フィルターをかけるのって、学生から『将来のキャリアのための学習意欲』を凄く奪っているような気がするんですけどねえ。それって、まわり回って経済活動にとってマイナスの影響はならないんでしょうか。

  1. 大学に行かないと雇ってもらえない
  2. 職業的な内容を学べる高校が減る
  3. ますます高校生を採用するモチベーションが減る

って悪循環にはなってないといいなあと思うんですけどね。

何度も言いますが、大学は職業訓練校では有りませんので、『費用対効果』だけでは測れないところは有ります。ただ、『奨学金の返済』で苦しんでいる人を見ると、もっと高卒で就職をするための学習機会が増えてもいいんじゃないかなあと思うんですよね。

また以前、こんな記事も書かせて頂きました。

女性はライフサイクル上、一旦就職した後、子育て期間中に『再教育』として大学に行ってみる選択肢は?とちょっと過激なことを書いてみました。でも、そういった選択肢も提供するのであれば、ますます『即戦力』として役に立つための技術が必要になります。

勿論、『三角関数』のような科学的な基礎教養となる科目も大事です。しかし、実務に直結するような科目も、もっと教えていったほうが、いいんじゃないのかなって思うんですよね。それは、『役に立つ/立たない』の話だけじゃなくて、『働くために必要な知識』を持ったうえで大学に行ったほうが、より将来のために何を学んでいきたいのか?が見えやすくなり、勉強も捗ると思うんですよね。

そして、高校時代に『何を学ぶべきか?』が分からなかった人は、ひとまず大学に送り込むよりも、最低限の知識を持たせて社会に放り込んだうえで、就職してから『学問』の必要性に目覚めた人を、学費を貯めさせてから大学に行かせたほうが、社会の効率としてもより良いんじゃないでしょうか。

そのほうが、『若者』にしても『社会』にしても『学問』にしても、よりハッピーになれるんじゃないのかな、と思う今日このごろです。

ではでは、今日はこのへんで