ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

『約束のネバーランド』にみる週刊少年ジャンプの"本領"

こんにちは、らくからちゃです。

ここ最近、Amazon先生に導かれるまま、Kindleコミックをぽちぽちして通勤時間に楽しんでおります。いつもジャストミートな作品を提案して頂き、日々カメレオンくらい舌を巻いております。あんまり一般的でない作品を読んでいることが多く、『まあ分かる人には伝わればいいよね』と紹介記事を書いているのですが、『もっと話題になって欲しい』と思った作品がありましたのでご紹介致します。こちらです。

あらすじ

母と慕う彼女は親ではない
共に暮す彼らは兄弟ではない
ここグレイス=フィールドハウスは孤児院で
私は孤児
そう思っていた

 物語の舞台は、38人の子供たちと1人のママで構成される『グレイス=フィールドハウス』と呼ばれる孤児院。完全に周囲の世界から隔離され、時たま新たな孤児がやってき、そして里親が見つかり出ていく。

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ぴったり6時
施設(ハウス)の朝は鐘の音で始まる
施設の暮らしも10年
気づけば最年長
現在は38人兄弟
性格も年齢も肌の色もさまざま
私達に血の繋がりはない

―でも大好き
大好きなママ
大好きなみんな
血の繋がりはなくても
大切な家族
施設は私の"家"だった

変わらない毎日の中で続けられる穏やかな日々。施設から出ていった子どもたちは、不思議と"誰も連絡を寄越してこず"、きっと施設で過ごした日々を上回る幸せな将来が約束されていることに、誰も疑問を抱くものは誰一人として居ない。

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子どもたちの日課は、『学校代わり』のテストを毎日解くこと。そのテストで、毎回300点満点(フルスコア)を取る最年長の3人がこの話の主人公。事件は、"妹"が施設から出ていく日に起こる。妹の忘れ物を届けようと、後を追う中で、施設の真実を知ってしまう。

真実を知った3人は逃げ出すことを決意する。それも全員で。

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約束のネバーランドという作品が凄い

ざっとあらすじとしてはこんな感じです。第一話はAmazonの『なかみ検索』で読めますので、ここはひとつ、らくからちゃに騙されたと思って眺めてみてください。 

約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 のほほんとした出だしからは信じられないくらいエグい展開です。

大雑把な分類としては『異世界監獄脱出物』とでも言うのでしょうか。有名所としては、『漂流教室』あたりと近いイメージのストーリーです。もうちょっと最近の作品としては『上村ユウカはこういった』なんかと同じカテゴリでしょうか。

全体的な作品のスタイルとしては、伏線が至る所に仕込まれていたり、知能戦があったり、まさかの裏切りやどんでん返しがあったりと、ミステリー物のほうが近い印象かもしれませんね。読後感としては『デスノート』あたりのイメージが近いかもしれません。まあ黒幕だって・・・おっと、これ以上はネタバレになるので辞めておきましょうか(笑)。そうそうデスノートで思い出しましたが、この作品、どこで連載されていると思います?

週刊少年ジャンプなんですよね。

週刊少年ジャンプの本領

ここからは完全に素人の駄文です。

いやー、ここ最近ほんとにウェブ漫画原作作品が増えてきましたよね。先日『去年に第一巻が発売された作品の中で、個人的にグッと来た作品のまとめ』を書いてみましたが、話題になった作品の中にも、かなりの割合で食い込んできています。

特にわたしの好きな、ハイファンタジー系な作品はこの傾向が非常に顕著じゃないでしょうか。『世界観』の重要なファンタジー作品では、ニッチなニーズに食い込んでいくことが重要ですし、マンガ制作自体もIT技術の進化で個人で作成から発表までしやすい環境が揃ってきたことも大きな要因でしょう。

週刊誌で連載するのであれば、マスを狙っていかざるを得ず、ピンポイントにニッチを拾っていくのは難しい。ただでさえ減っている少年少女のスキマ時間を、みんなで奪い合う中でも週刊誌はもうずっと負けっぱなしで売上もだだ下がり。それじゃあ週刊誌に生きる道は無いのか?という問いに対する一つの答えがこの作品のような気がします。

ニッチなニーズをついた世界観先行の作品であれば、作者の個性で勝負が出来ます。でも『お話』を重視するのであれば、複数名の視点が介在することのメリットが出ます。

本作のように、大量の伏線の上を推理していくような作品であれば、豊富なノウハウのある編集者を抱えていることや、アンケートなどの情報分析機能を持っている週刊誌にもチャンスがあるのではないでしょうか?そして、それこそが週刊誌の得意とするところなんじゃないのかなーなんて思う次第です。

これから先も週刊誌には厳しい戦いが続いていくと思いますが、一作でも良い作品との出会いがあることを祈りながら、またAmazonをぶらぶらしたいと思いますのでよろしく頼んます!

ではでは、今日はこのへんで。