ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

格差より考えなければならないもの

ピケティの本が人気なようですね。

あんな分厚い本でも、『格差』を対象にすると、幅広い層に受け入れるんだなあと関心しているなんちゃって経済学士です。

さて、ピケティは社会の格差が拡大していく図式を、労働生産性と資本の収益性との差を元に主張しているのですが、そこから生まれる『上位1%』とはどんな人なのでしょうか。

 

上位1%の超富裕層と聞くと、プライベート・ジェットに乗っているような大富豪を想像するかもしれません。米国など諸外国の場合にはあながちウソではないのですが、日本の場合、だいぶ様子が異なります。

 

この野村総研の図表を見ても分かる通り、日本のトップ1%は、「THE PAGE」の記事が言っているような年収1,500万円前後どころの話ではなく、少なくとも純金融資産保有額が1億円以上であり、アメリカと同じように、「プライベート・ジェットに乗っているような大富豪を想像」できるものです。

 ピケティの論は、『資本から生まれる所得』と『労働によって得られる所得』について議論しているわけなので、給与所得の額でも資本の額でもなく、『総所得の格差』について比較するのが正しそうですね。

格差と肌感覚

ひとまず、『何の格差なのか?』は置いておいて、『年収1,500万円』・『純金融資産保有額1億円以上』の人が上位1%以上であると聞いて、どう思われるでしょうか?

視点を変えてみましょう。上位1%とは、『100人に1人』ということになります。ざっくりいうと、30人編成のクラスが3クラスぶんの1学年分くらい、ということです。つまり、上位1%とは『学年一番のお金持ち』ということになります。

これを踏まえ、身の回りの100人を思い浮かべてみてください。その中に上記に該当する人は居ましたか?もし居ないとすれば、『社会の上位1%の層が、庶民層とは別のところに富裕層として存在する』ということを意味します。

実は、本当に考えなければならないのは、どれだけ富裕層が庶民層と社会的に分断されているのか?なのです。

分断ではなく、希望と優しさのある格差が必要

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出典:統計局ホームページ/平成21年全国消費実態調査 家計資産に関する結果の要約

上の図は、『二人以上の世帯の1世帯当たり家計資産』について地図上にプロットしたものになります。最も大きいのは東京都の5,909万円、最も小さいのは北海道の1,812万円だそうです。地図を見ても分かる通り、人口密度の高い都市部の一人あたり資産が大きくなっています。

例えば、先ほどあげた『上位1%』の人たちが、都市部では10人に1人、地方では1000人に1人になったりするわけですね。まずは、地理的に富裕層と庶民層とは分断されていることが分かります。その他にも、勤めている会社や卒業した学校など、様々な要因で『金持ちが身近にいる人達』と『周りを見ても貧乏な人ばかりな人』が発生してしまいます。

ある程度、そういった分断が発生するのは仕方がないのですが、この分断があまりにも大きくなると、庶民層が富裕層を目指すことを諦めたり、富裕層が庶民層の生活を省みることが無くなる要因につながります。そして、この社会的な分断は、ひとりひとりの生活圏が社会全体の平均像と一致するのかということによって決まります。その為、実態をつかむには、大量のデータの分析する必要があり、なかなか『分断感』の状況を把握するのは難しいのです。

まとめ

もし、『上位1%の人たちってこういう条件の人たちです』と言われて、『ああ、だいたい100人に1人だったらこんなもんだな』と身の回りの人たちを見て思えるのであれば、それはその金額がいくらであれ、『身近な目標』と成り得るため『良い格差』といえるのではないでしょうか。

そういった観点でデータと『肌感覚』との違いを捉えて貰い、そこに差異があるのであれば、政策に反映していって貰えればなあと思う所存です。