今更というべきか、やっとと言うべきか、こんな話が上がってきたんですね。
いわゆる、院内処方が禁止されたのは、私が小学生の頃だったと思います。
片田舎の一件だけある小児科によくお世話になっておりましたが、今では信じられないことですが看護師兼薬剤師兼会計担当の院長夫人が、上皿天秤と分度器を使って調剤していたのを良く覚えております。それがある日、医院から500メートルほどはある薬局に行かなければならないとなり、『不便になったもんだなあ』と思ったものです。
医薬分業は本当に必要か?
そもそも、この医薬分業ですが、元々は欧州で医師による暗殺を防ぐために始まったとか。(処方箋を書く人と、実際に調剤する人が別々ならば安心、ってことでしょうか。)
現代の日本では、そんな心配をする必要は無いと思いますので主な目的としては、
- 薬のプロである薬剤師を通すことで二重チェックが図れる
- 医師が大量に薬を処方するインセンティブを抑えられる
- 複数の医院を受信していても、ひとつの薬局とすることで薬歴管理が出来る
- 医院の混雑緩和に繋がる
などが上げられています。
1に関しては、薬剤師から医師への内容の確認(疑義照会)は概ね3%程発生しているようです。お医者さんも、流石に薬にまで詳しくは無いので、そういった面での投薬ミスを予防する効果はあるようです。ただ、2〜3%の中で、本当に薬学的観点からの問い合わせ以外のもの(日数の変更や記載不備の確認)も多く、実際の『薬剤師が居たからこそ得られた効果』は更に小さくなります。(参照:https://www.vdrug.co.jp/cgi-bin/upload/_gakkai/e_10.pdf )
2に関しても、昔は薬の利益が大きかったものの、ジェネリックの普及等により、むしろ院内処方を行うと割高な状況となっており、下手に院内処方をすると赤字につながり兼ねない状況のようです。また、処方日数の制限等でも管理できる項目なので、わざわざ強調するポイントかというと、正直微妙なところも多いかと思います。(参考:http://www.asahi-net.or.jp/~mf4n-nmr/iyakubungyou.html)
3も良く分からないメリットですね・・・。風邪を引いて体調が悪い時、わざわざ『かかりつけ薬局』まで行くでしょうか?なるべく動きたくない状況であれば、大抵の人が病院の近所の薬局に行ってしまいます。『登録済み薬局でなければ500円徴収』とかしない限り、その動きを制御するのは無理でしょう。
4については、確かに病院の負担軽減には繋がるでしょう。一方、患者としては、混雑が緩和されても移動時間が追加され、支払時間は2回分になるため、結局のところ余り代わりません。
常備薬は医院で処方してもらいたいのが本音
結局のところ、『医薬分業』にメリットを感じている人は、少なくとも患者サイドでは少ないのでは無いでしょうか?珍しい薬ならいざしらず、使用頻度の高い薬であれば、その場で処方して貰えたほうが患者にとっては有難いのは事実です。薬も、昔と違って錠剤やカプセルも増えていますので、専門性の高い人が居てもらわなくても大丈夫なものであれば、なるべくその場で出して貰えるよう、精度調整して頂ければ有難いなあと思う今日このごろです。