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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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日本銀行の財務諸表分析

経済・社会


こんにちは、らくからちゃです。

今日もまたぶらぶらネットサーフィンをしていたら、こんな記事を発見いたしました。

借金が多い会社ランキング!ということみたいですね。厳密に言うと、有利子負債から現預金を差し引いた、ネットキャッシュで比較したみたいですが、中々面白いですね。

首位は、ソフトバンクグループが2位以下を大きく引き離し、8.3兆円でランクイン。2位以下を見ても、誰もが知っているような大企業ばかりですね。さて、一個人の感覚としては『借金が多い=危ない』というふうに思ってしまいます。しかし、経営者の視点としては、借金をしても利息分以上に儲けを出せばいいわけで、どんどんビジネスチャンスを探して借金してでも挑戦していくのは正しい姿勢ですね。

首位となったソフトバンクグループも米国の携帯会社スプリントを1.8兆円で買収する積極的な投資をすすめるなかで、借入金を増やしてきました。まあお金を貸す側も、帰ってくる見込があるからこそ貸すわけで、借金が多いということはそれなりに信用されていると言えるかもしれませんね。

負債額の分析

 さて、有利子負債のデータを見てみましたが、せっかくなので負債全体でも見てみたいなあと思います。こんな感じ!

順位会社名金額
1 三菱東京UFJ銀行 160.3兆円
2 三井住友銀行 119.3兆円
3 みずほコーポレート銀行 79.3兆円
4 みずほ銀行 74.9兆円
5 住友信託銀行 33.4兆円
6 信金中央金庫 28.9兆円
7 三菱UFJ信託銀行 27.1兆円
8 りそな銀行 26.1兆円
9 日本政策金融公庫 21.2兆円
10 東京電力 13.7兆円

(出典:負債合計ランキング)

連結決算のデータでも良かったのですが、三菱UFJフィナンシャル・グループと三菱東京UFJ銀行など同じグループ企業が出てきてちょっと面倒くさかったので、単体決算の結果にしてみました。

ちょーっとデータは古い(2013年)のですが、見事に銀行まみれですね!『銀行が何をそんなに借金しているんだ?』と思われるかたもいらっしゃるかと思います。

試しに1位の三菱東京UFJ銀行の財務諸表(当時)を見てみると、ある科目が112兆円と断トツで多くなっています。それは、『預金』です。普通の感覚でいうと、預金は負債ではなく資産ですが、銀行から見れば預金は『預金者にいずれ返さなければならないお金』なので負債になります。

その為、負債額だけでみると、大量の預金を受け入れている金融機関がどうしても大きくなってしまうんですね。

ただ実は、ここに載っていない、もっと大きな負債を抱えている会社があります。

日本一負債の多い会社

さて問題です。その会社はどこでしょうか?皆さん、必ず知っている会社ですよ。なぜなら、日本国民のほぼ全員がその会社の『借用書』を持っているからです。

 

あれ?ご存じない?そんなことはないと思うんだけどなあ。

 

じゃあ大ヒント。その会社の『借用書』の画像を載せてみましょう。

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もう、ここまで言えばおわかりですね?日本の銀行の親玉、中央銀行である『日本銀行』です。まー、厳密に言うと認可法人であっていわゆる『会社』ではないのですが、普通の会社と同じように、資本金を持ち、似たような財務諸表を出しています。それがこちらです。

貸借対照表

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(出典:第131回事業年度(平成27年度)上半期財務諸表等について)

日本銀行の財務諸表において、『銀行券』は負債として計上されます。その額、直近で91兆円。あんまりピンときませんね(笑)。その他に大きなものは、『預金』勘定ですね。これは、金融機関や政府から預かったお金のことを意味します。これらを合わせると、負債の部は総額で362兆円にも及びます。おそらく、直近だと2位になるのは『日本郵政株式会社』だと思いますが、こちらは連結で281兆円です。他にも似たような政府系の組織で負債額が大きいとなると、GPIFなんかもありますが、こちらの負債総額は100兆円くらいです。 

不思議ですよね。お金を刷っているのは日本銀行のはずなのに、それとは別に『預金』なるものが存在する。しかも、『借用書』とはいうものの、何を貸しているのか。まさに、信用経済の真髄がここにありますが、この辺の話もまたどこかでさせて貰えたらなあと思います。

さてお次は純資産を見てみましょう。日本銀行の純資産は3兆7,600億円です。一方、総資産は367兆円もありますので、いわゆる一般的な『自己資本比率』(総資産÷純資産)は1%程度です。なお、中央銀行の自己資本比率は、銀行券発行高÷純資産で求めるそうなので、その場合8%位になるらしいですね。いずれにせよ、『資本金』はたったの1億円しか有りません。

随分と大きな図体をしていますが、その内訳をみていると、資産の8割方は『国債』に割り振られています。前年同期比でみると35%の増です。これは、国債を刷って日本銀行に持たせ、市場の資金流通量を増やす異次元金融緩和の結果ですが、こうやってみると随分と増えたものですねえ。総資産の推移を示したグラフがありますが、大変なことになってますね。

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これはかなり乱暴に説明すると、『お金をじゃんじゃん刷って、国債を買って、世の中に出回るお金の量をどんどん増やす』という計画のもとに行われたのですが、その割には当初掲げた2%のインフレ目標とやらには響いてませんね。

一市民の感覚としては、いくら貨幣の供給量を増やしたとしても、『貯金の必要性』が高いと感じられているうちはあまりお金も動かないんじゃないのかなあと思うんですよねえ。以前このへんで書きましたが、最低賃金の目標ターゲットを定め、毎年確実に100円ずつあげていくとかしないと、動かないような気はするんですよね。

いかがでしょう、塩崎厚生労働大臣!

損益計算書

そういや、中央銀行の財務諸表については、たいてい貸借対照表の議論がメインで、損益計算書の話は出てこないような気がします。そういや『日本銀行って儲かってるの?』ってちょっと気になりません?(笑)。だって、あなたもわたしもお金を貸している(という表現が適切か微妙ですが)わけなので、儲かり具合は気になりますよね。

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年間で1兆円くらい儲かっているようです。結構おもしろいのが、日本銀行もきっちり税金を収めているんですよね。結構な額です。ただまあ、利益の源泉が『国債』なので、もう『これって財政ファイナンスなんじゃね?』と言われかねない現段階においては、国に利息分をキャッシュバックしただけといえばそうなのでしょうが。

豆知識

普通の会社と財務諸表を同じように比べるのは、かなり困難だとは思いますが、財務諸表については結構おなじような感じで作られているんですよね。他の会社と同じ、といえば日本銀行って上場企業って知ってました?しかも、資本金が1億円しかないのでJASDAQに上場しています。

ただ、普通の株と違って『出資証券』という形になり、

  • 議決権はない
  • 配当金の上限は1株0.05円

という制約があります。先日の終値が41,700円でしたので、配当利回りは0.0001%くらいですかね。時価総額は417億円なので、PRBでいうと9000%くらいになります。なんだか、とんでもないベンチャー企業みたいですね(笑)

まあ常識的に考えれば買う必要のない銘柄ですが、皇族など高貴なお方もお持ちの銘柄ですし、いまどき電子化されていないので現物を取り寄せて額縁にでも入れて飾っておくのが良いのかもしれません。100単元での取引になるため、最低購入単位が417万円ですので、お金に余裕があればトライ出来るかもしれません。

さて、中央銀行の財務状況の話は、書けば書くほどふかーい話になるのですが、今日はちょっとした余談程度にさせて頂きます。新年会のネタにでも、ぜひご活用下さいませ。真面目に勉強されたい方は、この辺の本が良いかもしれませんね。

ではでは、今日はこの辺で。