ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

一生懸命がんばって結果も出しているのにお給料が上がらない人の傾向と対策

『頑張ってるのにお給料が上がらない!』というひとに対して『頑張ってるかどうかじゃなくて、成果が出てるかどうかが大事だよ』と教えてくれるひとは結構います。

手書きの文字、大変読みやすかったのですが、引用のため書き起こさせていただきます。

こんなに頑張っているのに、苦しいのに何かごほうびが欲しい・・・

そんな考えだからいつまでいつまでたっても成長できない

報酬は苦痛の対価として支払われると勘違いしてない?

報酬は生産性の対価として払われるから頑張りや苦労はそれ自身は無価値なんだよ

苦しいのは辛いのはNG

楽して生産性をあげるのが正解!!

あれ、もしかして『生産性をあげればお賃金が上がる』ってお話?じゃあ、一生懸命がんばって結果も出しているのに給料が上がらない俺ってなんなの?って思った人いません?報酬は生産性で決まるワケではないということは、あんまり語られない気もするので、そんな話でも書いてみたいと思います。

何が報酬を決定するのか

例えばここに、超まじめなAさんと、凄くだらしないBさんがいるとしますね。

Aさんは、毎日遅くまで一生懸命働き、寝ても覚めても仕事のことばかり考え続け、限界まで努力をして2000万円の売上をあげました。一方Bさんは、適当にダラダラと仕事をして、特に工夫もせずに1000万円の売上をあげました。

AさんもBさんも年収は500万円。

Aさんは、今までの実績をアピールして、自分がいかに会社に貢献したかを細かく説明し、少しでもお給料を上げて欲しいと切望しました。一方、Bさんは、大した実績があるわけでもないので、伝えた内容は二言三言。にも関わらず、お給料があがったのはBさん。さてBさんは、何と言ったのか?

『ライバル社から、年収600万円のオファーを受けている。』

Aさんは、会社にとって非常に重要な人物です。ただ既に限界まで頑張ってますから、ここからお給料を増やしたところで、それを上回る価値は生み出すのは難しい。また自分の仕事のことばかり考え、たいして自分の市場価値には興味が無いので、お給料を上げなかったとしても、退職するリスクは低い。

Bさんは、相対的な価値では劣りますが、それでも彼を雇うことは500万円の利益があります。それがまるっと失われるよりかは、コストが増えても彼を引き止めておいたほうが、自社の利益には繋がる。

生産性と合理性

これはフィクションの話ですので、複雑怪奇な現実とは大きく異なります。特定個人の生み出す利益を正確に計算する方法もなければ、そんな交渉をしてみたところで給与規定がどうこうと言われてお茶を濁されるだけの場合が多いでしょう。

ただ経営者が合理的な意思決定を行うのであれば、生産性の高さは賃金をあげるための必要条件であっても十分条件ではありません。賃金を上げるメリットも、上げないデメリットも無ければ、そのまんま生産性の改善だけ享受するのが『合理的な判断』です。

もしAさんが高い実績を実現するために、自社の商材に特化した非常にニッチな市場に強く、他社では再現性がなかったとします。そうすると、市場での価値は年収400万円くらいになるかもしれません。じゃあ転職したところで損な結果になりますよね。ならば会社も『あいつは転職できまい』と思い、強気に出てくる。

一方Bさんの生産性が低かったとしても、汎用的な能力から生まれるのであれば、彼のことを欲しがる企業もいるでしょう。そして『いつでも転職できるんだけど』という姿勢を取ることができれば、支払われる賃金は自身の生産性に近づいていく。

ひとりで戦うと負ける

とはいえ、社外で戦っていける汎用性の高い技能を持っているひとばかりではないでしょう。そういう人でも『賃上げしないとデメリットがあるぞ』と主張することは可能です。

もしあなたが会社に貢献している自信があるのであれば『給与明細を社内で公表するぞ。こんなに努力して成果も出しても、うちの会社じゃこの程度しか反映されないぞ』と言ってみることですかねえ。『あれだけ頑張って成果も出しているのにあの程度なのか・・・』ということが若手社員に伝われば、将来有望な若者が退職したりやる気をなくして生産性が下がるリスクが高まれば、あなたの賃金を挙げる理由が生じます。

これは別にお給料に限った話じゃないですど、大切なのは選択肢を持つことと、選択肢を持っていることを相手にきちんと伝えることです。

値下げの交渉をする時もそうですよね。相手に『今日、どうしてもこの製品を買わなきゃいけない』ということを見透かされてしまうと、足下をみられます。 『他の会社の製品ともしっかり比較検討している。別に今日じゃなくても良いので急がない』といったアピールが出来ることは大事ですよね。それと同じ。

ただまー、我が国は、まだまだ雇用の流動性が高くなく『我の賃金をあげよ。さもなくば転職する。』というハッタリがしやすい環境ではありません。そこは、制度的な側面も含めて、政府の支援が必要な箇所だったりするのかな?と思うところです。

もし物価と賃金をあげていきたいのであれば、金融緩和をするよりも、大企業にお願いするよりも、転職しやすい環境を作るほうが効果があるかもなあと思う今日このごろです。