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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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ギリシャ人は怠け者?

経済・社会


こんにちは。らくからちゃです。

ここ暫く暑い日が続きますね。市場もこの前の雨模様から一転、久々の晴れ間を見ることが出来ました。わたしのポートフォリオも、駅探(3646)がストップ高を果たしてくれ、久々の含み益に転換しました。なんといってもギリシャ問題に見通しが立ったことが大きいですね。

さて、ギリシャといえば、以前こんな画像が出回っていました。

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優雅な暮らしですねヽ(`Д´)ノ!!

とてもとても、世界から金融支援をしてもらっている国の働きっぷりとは思えませんね。でもこれ、本当なんでしょうか?非常に残念なことに、日本のマスコミは、ギリシャの問題について『国民投票してるよ』『可決されたよ』『でも議会は別のこと言ってるよ』『なんか支援継続されるらしいよ』といった程度の報道しかありません。

そして、掘り下げてみようにも、ニュースサイトも個人のブログも、マスコミが情報源なので、ろくな情報がありません。そこで、自分なりにもう少し掘り下げて調べてみることにしました。

ギリシャはどれだけヤバいのか

 検索キーワードに、『ギリシャ』と入れても、ろくな情報は出てきませんので、こういった時は日本語の情報に期待せず、"greece"とか"greek"とか入れて検索してみると、色々と面白いものが出てきます。統計やニュースくらいであれば、日本で普通に義務教育を受けた人であれば簡単に読み解くことは出来ると思います。まずは、海外サイトの情報を見てみましょう。

ギリシャの公的債務残高は、15年3月末の時点で3100億ユーロと言われています。うーん。いまいちぴんと来ませんね。というわけで、可視化してみましょう!というサイトがありましたのでご紹介します。

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まずは、みんなが大好きな100ユーロ札。計算が面倒なので、日本の諭吉さんとみなして考えてみましょう。

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で、100枚集まるとこんな感じ。だいたい、この星に生きる人間の年収相当、だそうです。ここまでなら、まだ想像は付きますよね。

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さて、これをもう少し集めるとこんな感じ。日本円で1億円くらい。こうなると、物量のボリュームがすごい。

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 うん・・・、これを見たことのある人は少ないでしょうね。日本円で100億円くらい。

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で、これをトラックに満載すると、2兆円。ダイハツとか東北電力とかの1年の売上がこんなもんですね。

前置きが長くなりました。ちなみに、ギリシャの借金はというと・・・

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どーん!

逆にわけが分かりません(笑)でも、この数字は2012年のものです。すごいなあと思うのは、ここからギリシャは頑張ってトラックを15台分ほど減らしたんです。

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歳出も、3割カットする大改革を行いました。日本でやったら暴動がおきますよね。

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プライマリーバランスだって、なんとか黒字にしたんです。ちなみに、日本の財政収支がプラスだったのって、何年前かご存知です?1993年(22年前)ですからね。(参考:赤字国債 - Wikipedia)

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まず、ギリシャとギリシャ人について考えるのであれば、この数値を頭に入れておいて損はないと思います。

ギリシャ人は怠け者?

どうです?少しはギリシャ人に同情する気持ちも出てきました?そこで、もうひとつ面白い資料を提供しましょう。

これは、OECDが出している、各国の労働時間についてのグラフです。上から順番に見ていくと、

  1. メキシコ 2237時間
  2. 韓国 2163時間
  3. ギリシャ 2060時間

ギリシャ人は、世界で3番目に働くことが好きなお国柄のようですね。ちなみにワーカーホリックを自認する日本は21位で1734時間。うーん。報道と随分イメージが違いますね。

しかし、これをもって『これだからマスゴミは!m9(^Д^)』とするのも、早計かなとは思います。日本人のサービス残業と、ギリシャの統計が信用できないことは、世界的にも有名な話です。ただ、テレビで流れていた出所不明の情報よりかは信頼は出来るんじゃない?と思うところです。

プレイバッグ・ギリシャ危機

そういや、ギリシャってどうしてこんなに困っているんでしたっけ?まずはそのあたりから振り返ってみましょう。

ギリシャが色々と苦しくなり始めたのは、2008年から。当時3,540億ユーロあった国内総生産は、2013年には2,420億ユーロまで減少してしまいました。30%近くGDPが減少したことになります。

2008年に世界経済で何が起こったのか?そんなこと言うまでも有りませんよね。リーマン・ショックです。ギリシャ経済も、相当大きな打撃を受けることになりますが、ちょうどこの時期ギリシャの『粉飾財政』がバレます。

ユーロへの加入は、財政赤字が3%以内にが達成できることが条件です。誰だって、赤字垂れ流しの人たちとは一緒になりたくありませんもんね。金融危機後、ギリシャは4%程度の赤字、アウトなんだけどまだ見逃して貰える水準であると自称していました。

それが、2009年10月のはじめ、野党第一党のギリシャ社会主義運動によるパパンドレウ政権が発足した歳の調査に酔って、実際には13%の赤字であることが判明します。

どのような粉飾が行われたかについては、諸説ありますが、

外資系金融の終わり

外資系金融の終わり

 

 によれば、ゴールドマン・サックスが一枚噛んだ、デリバティブ取引での『トバし』が行われたのでは?という説があります。

その真偽はさておき、このことでギリシャの国債の信用は急落します。

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(出典:http://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000264/greece_zaisei.pdf)

今となっては信じられませんが、元々ギリシャの国債はA格の格付けを持つ、超優良債券でした。それが、わずか半年のうちに、『ボロ屑レベル』まで引き下げられます。

さて、ここまで急激に格付けが下げられた要因には 『ドバイ・ショック』が背景にあります。ドバイは、石油王達の国として知られるアラブ首長国連邦の中でも、石油の産出量が少なく、新しい産業に活路を見出そうとしていました。そのため、多くの外国資本を導入していました。そこに、リーマン・ショックによる大規模な信用の収縮のため、資本が引き上げられ、金融活動も縮小した結果、国債がヤバい状態になりました。

この流れを受け、『国債ってもしかして安全って言えないんじゃね?』という動きが広がりました。まさに、最悪なタイミングとバッティングしてしまったわけですね。そして、2010年4月1日、EU諸国によるギリシャへの支援策が合意されます。

ギリシャの年金制度

で、『金は工面してやるから赤字をなくせ』とギリシャが約束させられたのがこんな感じ。

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(出典:在ギリシャ日本国大使館 ギリシャ情報)

消費税の引き上げから、公務員の削減まで、ありとあらゆることが要求されました。ちょっとみていて『ギリシャらしいなあ』と思ったのが、『不法住宅への課税』とか『所得明細の詳細化』とかですね。そういった行政機構の改革も含めて、『しっかりせえや』とお叱りを受けた形です。

そして頑張った結果がこちら。

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2011年までしかデータが無かった(´・ω・`)。eurostatとか探せばあるのかもしれないけど、めんどくさいから、OECDでご勘弁ください。

さて、2011年段階でギリシャの財政の最も大きな費目が『社会保障』。ドイツやIMFからも、『金ないんやから諦めや』と怒られていましたね。全体の39%を占めています。一方2009年からの削減幅で大きいのは経済関連と住宅関連ですね・・・。ここ、一番削っちゃいけないところだったと思うんだけどなあ。

そういや、ギリシャの年金制度は厚遇されているなんて画像も出回っていましたね。

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そこんところどうなんでしょう?と思っていたら、今週の東洋経済に分かりやすいデータが載っていました。

週刊東洋経済 2015年 7/18号[雑誌]

週刊東洋経済 2015年 7/18号[雑誌]

 

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こちらの資料を見ると、92.5%というのは、低所得者層を対象とした年金。高所得者層で見ると、フランスとかとどっこいどっこいですかねえ。そもそも、保険料率も高いし、もともとの平均賃金が低いところを見ると、『貰いすぎ!』って感じはしませんけどね。ただ、低所得者層については、現役時と同等の年金をもらえるとなると、貯蓄のモチベーションは下がりそうですね。

逆にですね、日本が幾らなんでも少なすぎなんですよ。低所得者層から高所得者層まで、今回掲載された五カ国の中で、全て最低をマークしています。日本人は年金が少なすぎて、最初からあてにならないので貯金をするという行動を取らざるを得ず、本来の年金の趣旨から考えたら本末転倒な状況になっています。

また、ギリシャの年金の特徴は、厚生労働省の資料(これ)にも有りますが、『繰上げ受給』のルールがかなり緩いんですよね。普通、規定の年齢より前倒しで年金を受取るとなると、その分受給額を減らされたりするものですが、その辺のルールがゆるく、働かないより年金が貰ったほうがずっといいといった状態になりやすいようです。

何にせよ、これだけ手厚い年金があるわけですから、

  1. 公務員をクビにする
  2. 新規産業への公的投資もないので失業する
  3. 年金受給者が増える
  4. しかもその年金額が高い
  5. オワタ\(^o^)/

というようなルートにハマってしまっているように見えます。というか、幾らなんでもハードランディングしすぎなんですよ。社会の制度を根本的に変えなければならないわけで、『公務員で安泰』『老後は年金があるから蓄えは不要』というところに、いきなりはしごを外したところで、路頭に迷う人が増えるだけです。そこからどうやって経済成長を実現するんでしょう。

これじゃあ、ドイツ・フランス憎しで、第二のワイマール共和国が生まれかねませんよ。

キリギリスは誰だ

さて今回の件、日本は対岸の火事として見ていられるのでしょうか?そもそも、ギリシャがここまで大変なことになった背景には、ギリシャの国債のほとんどが外国債であったことが原因でした。

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(出典:Greek debt crisis: Who has most to lose? - Jan. 28, 2015)

一方、日本の国債と言うと『みんな日本人が買っているから大丈夫』というような言い方をよく聞きます。しかしこれは、経常収支が黒字になっていることが前提です。

経常収支とは、貿易や投資など、海外との全ての取引を集めた一国の黒字額です。これに、自国で生み出した価値を加えた金額がプラスでない限り、国富は減少しつづけます。

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(出典:時事ドットコム:【図解・経済】経常収支の推移(最新))

一時期、経常赤字に転落した時は、冷やっとしてしまいましたが、ここ最近は、何とか持ち直してくれたみたいですね。ただ、日本の債務残高はギリシャよりもずっと多いので、何かあった時には、ギリシャと同じように外国債を発行せざるを得なくなり、内政への口出しを受けるようなことになることだって十分考えられます。

さて、アリとキリギリスと言えば、古代ギリシャから語り継がれてきたイソップ寓話の中でも有名な作品ですね。色んな人のtwitterやブログの投稿を見ると、『ギリシャはキリギリスのように遊んでいたから悲惨な目にあっているのだ』との主張が見え隠れします。声高に叫んでいる人を聞くと、『日本人はアリだから大丈夫なのだ』と裏返しの主張をしているようにも聞こえます。

果たしてそれが正なのかといわれると、考えこまざるを得ない状況です。皆さん、騙されるのがお好きなようなので、日本だって、いつギリシャのようになるかわかりません。今できることは、安易なリツイートをそのまま再リツイートするのではなく、『はてな?』と感じ、自分で情報を分析していく力を身につけることではないのかと思う今日このごろです。

ではでは、今日はこのへんで。