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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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主婦と会社員のための年金の基礎と基本 ~106万円の壁って何だ!?~

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こんにちは、らくからちゃです。

先日、給与明細を見ていたところ、こんな紙切れが入っていました。

ちゃお!
今月から厚生年金の保険料が上がるよ!
8.914%から9.091%になるからよろしくね★
人事部 

なんということでしょう。

既に、随分引かれている気がするのですが、更に手取りが少なくなるらしいのです。普段あまり意識しませんが、給与明細から天引きされているものを見ると、随分『年金』の額は大きいような気がします。試しに給与明細を見てみたらこんな感じでした。(数値はだいぶ丸めています)

  • 厚生年金保険料 ・・・ 35,000
  • 住民税     ・・・ 30,000
  • 健康保険料   ・・・ 10,000
  • 所得税     ・・・   5,000
  • 雇用保険料   ・・・   1,500

トップやんけ。しかも来年には9.150%になるので更に値上がりします。

そういや最近、専業主婦の130万円の壁が106万円の壁になるとかなんとか、そんなことも話題になりましたね。自分の将来に関わることでもありますので、今一度知識の整理も兼ねてまとめてみたいと思います。もし誰かのお役に経てば幸いです。

※本稿は、記事が書かれた時点での情報を元に記載致しましたが、正確性・完全性を担保するものでは有りません。詳細については、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご確認下さい。

年金とは保険である

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年金って『給料から勝手にひかれて、お年寄りになったら貰えるお金』くらいの認識の人も多いのかなあと思いますが、その正体は何でしょうか。

唐突ですが、皆様は何歳まで生きる予定でしょうか?日本人の平均寿命は、80歳くらいだそうですが、何が起きるか分からないのが人生です。経済学の世界では『何が分かるか起こらないこと=不確実なこと』を『リスク』と呼びます

働き盛りの頃に死んでしまうリスクだってあります。そのとき残された家族は路頭に迷わないよう、仮にいつ死んでもいいように1000万円準備しようとしても大変です。

でもそのリスクが1%なら、100人で10万円ずつ出し合って、遺族に渡す仕組みがあれば、1000万円貯金したのと同じ効果があります。こういった『働き盛りの頃に死んでしてしまうリスク』に備える保険が生命保険ですね。

しかし人間には『早死』だけでなく『長寿』のリスクもあります。

長生きはお目出度いことですが、働けなくなった後に必要なお金は、長生きすればするほど多くなります。ちょうど貯金がなくなった頃にタイミングよく死ねる人はそんなに居ないでしょう。

そこで、保険料を払っておいて、死ぬまで一定額の『保険金』を受け取れる仕組み、『長生きのリスク』に備えるのが年金保険です。ですので給与明細から引かれる項目には、『厚生年金保険とあるわけですね。

年金の加入対象

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年金は大きく分けて、『国民年金』と『厚生年金』に分かれます。いわゆる『2階建て制度』ってやつですね。

国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人であれば全員が『国民年金』に加入することが法律で義務付けられています。つまり日本国籍を持っていなくても年金の加入する義務がありますし、海外に住んでいる場合は年金に加入する義務は有りません(任意加入は出来ます)。

老後に貯金が尽きてしまうと生活保護などの社会保障制度に頼らざるを得なくなります。放っておく訳にもいきませんが、全員救済してしまうと、真面目に将来の準備をするひとがいなくなっちゃいますよね。

そのため国民年金は、全国民が強制的に加入するルールになっています。だったら全額税金でやれば?という意見もあるのですが、今のところ我が国では『年金保険』という別の制度の中で運用するルールとなっています。(個人的には税負担率をもう少し上げても・・・と思うのですが。)

また、人をひとりでも雇っている法人であれば、労働者を『厚生年金』に加入させる義務があります。売上も人数も関係ありません。また法人でなく個人事業でも、5人以上であれば同様です。

『国民年金』は定額制で一ヶ月約1万5,000円くらいになりますが、『厚生年金』は定率制でだいたい18%くらいです。このうち半分は会社負担ですので、直接給与明細から差し引かれるのは9%程度となります。

『会社員だけど厚生年金しか払ってないぞ!?』という方もご安心を。厚生年金加入者の国民年金部分は、厚生年金の中から自動的に振り替える仕組みになっています。また厚生年金加入者の配偶者で会社員でない人(専業主婦)の分も、配偶者の厚生年金から支払われます。

この公的年金加入者の種類は、『1号・2号・3号』と呼ばれますが、整理すると下記のようになります。

  • 1号被保険者・・・自営業者・フリーター・学生
  • 2号被保険者・・・会社員・公務員
  • 3号被保険者・・・2号被保険者の配偶者(専業主婦)

※専業主夫も対象になりますが、本稿では分かりやすく『専業主婦』で統一します。

加入分類と106万円の壁

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1号・2号・3号のどれに当てはまるのかは、年収などの条件によって決まります。圧倒的におトクなのは、一切自己負担の無い『3号』ですよね。よく『会社員の専業主婦はズルい』と言われるわけです。

ただ専業主婦でも、一定の所得があれば『3号』からは除外されます。これがよく言う『130万円の壁』です。越えてしまうとどうなるのか。ざっくり言うと、

  • 1号被保険者・・・国民年金
  • 2号被保険者・・・厚生年金

のどちらかとなります。先程『すべての法人は厚生年金に加入させる義務がある』といいましたが、例外もあります。正社員の3/4未満(例:1日6時間未満・週4日)の時間で働く前提の場合、厚生年金の加入義務は有りません。これが『3/4ルール』です

さて最近『新しく106万円・20時間の壁が出来た』というニュースを耳にしたことがある人も多いかと思います。これは、

  1. 勤務時間が週20時間以上
  2. 1カ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
  3. 勤務期間が1年以上見込み
  4. 勤務先が従業員501人以上の企業
  5. 学生以外

の人を『企業が厚生年金に加入させなければならない条件』に含めるというものですね。130万円の壁や3/4ルールがなくなったわけではありません。例えばダブルワークをしていて、各企業の勤務時間が20時間の場合130万円の壁は有効ですし、500人以下の中小企業では3/4ルールも健在です。

年金を直接払っていない『3号』から『2号』に切り替わると、厚生年金の個人負担は、月収が最低ラインの8.8万円場合、約9%を掛けた約8000円が追加の負担となります。一方『1号』(フリーター・自営業の妻など)から『2号』になった場合、国民年金自己負担15,000円の国民年金が8,000の厚生年金になるため、むしろプラスになります。

ただ、元が『1号』であれ『3号』であれ、『2号』になって厚生年金の対象となると会社折半の負担が生じるため、雇う側から見れば負担増です。よって基本的に会社は『2号』にしたくありません。そのため、雇用や労働時間の調整のため、働ける時間が減ってしまう可能性があることは注意が必要です。

年金の受給条件 

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たくさん支払ったとしても、その分たくさん沢山貰えるのであればいいですよね。どれくらい貰えるのか?の話の前に『どんな時に貰えるのか?』から整理したいと思います。受給資格はかなり細かく定められておりますが、『何らかの理由で収入がなくなった時』に貰えるのが年金です。

  • 老齢年金・・・年を取って働けなくなった
  • 遺族年金・・・死んでしまった
  • 障害年金・・・障害を負ってしまった

とき、基礎年金・厚生年金のそれぞれから年金が支給されます。それぞれについて受給条件の重要なポイントを整理します。(繰返しになりますが、素人のまとめなので詳しくは専門家の方にご相談下さい)

 老齢年金

基礎年金・厚生年金ともに、65歳以上*1になったときから年金を受け取れます。厚生年金は1ヶ月でも支払っていれば受給資格がありますが、基礎年金は最低10年間*2払っていないと受け取ることが出来ません。

遺族年金

基礎年金は、18歳未満の子供がいる場合に限って、妻か子供に対して支給されます。厚生年金は、子供が居ない妻や、父母や孫なども受給資格があります。原則850万円未満であれば、働いていても受け取れますが、再婚すると停止になる場合があります。

障害年金

対象となる障害を追っているひとが対象になります。基礎年金・厚生年金ともに、年金を受ける原因の初診日が、年金の加入期間内であることが条件になります。ただし初診日が年金に入っていない20歳未満の場合も基礎年金は受給資格があります。

年金の受給額

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そして一番気になる『いくら貰えるのか?』をまとめてみます。

基礎年金の支払額は月額固定制ですが、受け取るときも固定になります。ただ人によって加入期間が違いますので、長く払った人ほど沢山受け取れる仕組みになります。満額支給を受けられる480ヶ月(40年間)の加入期間に対して、うち何ヶ月分払ったかを掛けて計算します。なお厚生年金等で40年間以上加入した場合、その期間は切り捨てられてしまいます。

遺族年金・障害年金も基本的に同じ考え方ですが、加入期間が短かったとしても、全期間加入した想定で受け取ることが出来ます。また、子供1人につき224,500円、3人目以降は74,800円の『子の加算』が受けられます。障害年金は、程度の重い1級の場合1.25倍になります。

厚生年金の支払額は給料に比例して増えますので、受け取るときも支払った給料の額が反映されます。たくさん給料を貰っていて、たくさん年金を払った人ほどたくさん貰えるということです。

遺族年金は、老齢年金の3/4の金額を受給出来ます。障害年金については、1級が1.25倍になるのは基礎年金と同じですが、1級・2級ともに配偶者がいる場合『配偶者加給』として224,500円が追加されます。より障害の程度の軽い3級でも年金が支給されます。また基礎年金は支給されないものの、3級でも535,100円が下限として設定されます。

なお障害年金については、下記の記事にもまとめてみましたので、合わせてご参照下さい。

3号被保険者が2号となって元が取れるのか?

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じゃあ最後に、主婦が厚生年金に加入した場合、『お得なのかどうか?』を計算してみたと思います。やや無理がある数値ですが、所得が最低ラインの月額8.8万円の人が40年間厚生年金に加入してみたとします。

40年間の年金支払額は3,840,000円。それで1年間に貰える金額は240,000円増えるそうですので、概ね16年以上生きれば『元が取れる』計算になります。

ただ夫の死後は、遺族厚生年金の受給権があります。その場合、

  • 夫の遺族厚生年金
  • 自分の老齢厚生年金
  • 夫の遺族厚生年金の2/3 + 自分の老齢厚生年金の2/1

の中から一番大きなものを選ぶことが出来ます。とすると、夫の死後については、よっぽど夫の厚生年金が少ないか、夫が自営業の場合くらいしかメリットが無いような気がします。夫婦で長生き出来れば良いんですけどねえ。

なお金額の試算はこちらを参考にしました。

年金はお得か

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(参考:年金特別会計|厚生労働省より、主だった動きを記載)

ただこれはあくまで『今まで3号だった専業主婦が2号になった場合』について起こることについて整理したものであって、基本的に年金は『得をする』ように出来ています

例えば『国民年金』について整理すると、以下のような計算になります。

  • 支払額・・・40年で7,483,200円
  • 受給額・・・年間780,100円
  • 7,478,200÷780,100円 = 約9.5年

65歳から9.5年経つと、74.5歳になります。日本人の平均寿命から考えると、更に10年間くらいは生きることになりますので、お得な仕組みになっています。

普通の保険というのは、保険料(加入者の支払額)>保険金(保険会社の支払額)とならないと保険会社が倒産してしまいますので、基本的には必ず損をします。もちろん『リスクを分散させる』という効果に対してお金を払うものですが、確率的には払った額の半分も帰ってこないものも少なくありません。

ですが国民年金は、平均的には払った額の倍の金額が貰える計算になります。

なぜならば、基礎年金相当部分については、自分の払った年金に加え、半額が政府から補填されて支払われます。これは、強制加入を促すための仕組みであると共に、年金が『所得再分配』の役割も担うことになります。

ただしこういった機会も、年金を納めていないと得ることは出来ません。障害年金や遺族年金の仕組みもありますし、また今回は触れませんでしたが、物価の調整効果もあります。

正直なところ、将来に渡ってどうなるのかまでは誰も保証することは出来ませんが、原則として『入った人が損をしない』ように維持されていくでしょう。(財源がアレしても税制をソレして入っていないひとがもっと損をする仕組みになるでしょうね・・・)

社会保険はもっと義務教育で教えるべき

思いついた順に色々と調べて書き連ねてきましたが、年金って案外自分でも知らないことが多いなーと改めて感じましたね。三度目になりますが、本稿は素人が本やネットの内容を自己解釈して書いた内容ですので、詳細につきましては専門家にご確認ください。

なお色んな書籍を見ていましたが、この本が『色んなタイプ別のシミュレーション結果』や『Q&A』があり、大変わかりやすくて良かったです。結構、『そんな細かく言われても・・・』って本が多かったのですが、具体的なイメージがつきやすくて良かったです。

そしてポイントは、今ならKindle Unlimitedの対象に入っています!1,382円の本ですので、Unlimetdは月額980円ですので、これ一冊で元がとれますね!!(宣伝)

その他にも色んな本読みながら思ったのですが、『国民全員が強制加入』の割りに、義務教育の中で教わった記憶は殆どありません。健康保険や雇用保険もそうです。だから年金が未加入になるんじゃねーのん?と思えて仕方ありません。

また『金融リテラシーを高める為に株式のことについても教えよう!』なんて意見も定期的に耳にしますが、そんなことより社会保険の制度を教えたほうが有用なんじゃねーの?と思う今日このごろでございます。

ではでは、今日はこのへんで。

*1:現在経過措置として厚生年金は60歳から受け取れるのですが、ややこしいので65歳として記載します

*2:最近25年から短縮されました