ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

角上魚類に行ったらスーパーの刺身が食べられなくなった

こんにちは、らくからちゃです。

結婚3ヶ月記念日は、出張のため一人寂しくFC2動画アダルトを見ながら過ごすこととなってしまいました。

その埋め合わせをすべく、先日おうちでごちそうを作って頂いておりましたヽ(=´▽`=)ノさて皆様のおうちで特別な日に食べる『ごちそう』と言えばなんでしょうか??我が家では、お刺身を頂くことが多いような気がします。

というのも、所のお魚屋さんがそこそこのお値段で大変美味しいことを知ったから。それがこちら、角上魚類津田沼店さん。

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毎度『かくうえ?かくあげ?』と読み方が分からなくなりますが、『かくじょう』魚類さんのようです。全国に20店舗くらいしかない鮮魚店専門のチェーン店なのですが、断言します。

近所にあるなら行かないのは勿体無い!

こちらのお店では、スーパーのお刺身コーナーのように既にさばいたお魚も並んでいますが、商店街の魚屋さんのように、『釣り上げられたままの姿』のお魚も取り扱っているんいます。

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(出典:津田沼店|千葉エリア|角上魚類 鮮魚専門チェーンストア

店員さん(若いお兄ちゃんとおばちゃんが多い)に言えば捌いて貰えますが、どーもその辺りのお作法(?)が分からず敬遠していましたが、一度店員さんと会話できるようになれば、全くなんてことはございません。

今日はこちらのお店の話をしたいと思います。

角上魚類の凄さ

もともと同社は、新潟県長岡市にて魚の卸売業からスーパーに対抗するべく小売店の経営にも転進した企業です。その後、関越自動車道開通を機に関東にも進出。現在ものすごい速度で成長しています。

そういや最近は、新装開店した船橋シャポーにも出店してましたねー。

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(出典:企業・採用データ | 採用情報 | 角上魚類)

小売店が波に乗って急成長することは珍しいことではありません。しかしその場合、店舗数の増加と連動することが多いのですが、同社は店舗数が5年前と殆ど変わっていないのに、売上高は37%も増加しています。

挑戦する市場の規模が増えていないのに、売上高は伸びる。それは、顧客からの信頼が厚く、一度ファンになったひとを離さないからに違い有りません。

おまけにこの会社、直近で

  • ROE:21.9%
  • ROA:19.0%

と、財務体質も抜群で経営効率も非常に良い。

売れる商品ではなく売りたい商品を売る

その秘訣は何なのかと調べてみると、仕入を行う『バイヤー』に権限が大きく委譲されているのがポイントのようです。多くのスーパーマーケットでは、店からの要望に応じて商品が仕入れられます。一方、角上魚類の場合、バイヤーがその日に水揚げされた商品を見て、『売りたい商品』を仕入れます。

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(出典:TBS「がっちりマンデー!!」)

魚は、スケジュールに沿って生産される工業製品ではありません。また生鮮食品の中でも、野菜や肉類よりも遥かに『仕入のタイミング』の重要な食材です。じゃあ何故、普通のスーパーで同じことが出来ないのかというと、『売場の維持』という考え方が強いからじゃないのかなあと思います。

多種多様な商品を取り扱い、たくさんの人を集めるスーパーでは、『ほしい商品があるか?』は非常に重要な課題です。『お客さんが欲しいと思うもの』を欠品させてしまうことは、他のスーパーに人を奪われることになるため、避けようとします。そこで、

  1. 売れ線の商品を数には余裕を持って仕入れておく
  2. そのため余計に在庫を抱えることになり廃棄のロスが増える
  3. ロスを避けるため『確実に売れそうな売れ筋』に仕入が集中する
  4. 仕入時の品質への考慮が下がる

といった状況にあります。

一方この角上魚類、『欠品』を恐れず『売りたいものを売り切れればそれで良い』というスタイルを貫いています。うちの近所のお店でも午後6時をすぎれば商品が無くなってきて、だいたい7時半くらいまでにはお店を閉めてしまいます。

『不便さ』はあるものの『ここで買う商品は絶対に美味しい』と思わせることが出来れば、経営もある程度自分たちの裁量を持ってコントロール出来るようになります。通常の鮮魚店では、4〜5%くらいの廃棄が出るそうですが、同店の廃棄率はなんと0.05%。また、スーパーでありがちな値下げシールも有りませんので、その分も考えるとそうとうな高収益になっているはずです。

費用対効果は抜群

いつもどおり、写真はアレゲですが、ごちそうの材料です。

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それぞれお値段は下記の通り。

グラム単価でいうと、サーモンが350円、ぶりが220円。左上にいるのは鯛ですね。鯛は、頭付き尻尾付きの泳いでたままの姿で売られています。店員さんに『お刺身用にしてください!』といえば、こんな感じになって出てきます。この写真には載っていませんが、頭の部分(アラ)も別途頂くことが可能です。アラに関しては、妻がお味噌汁にしてくれました。

さてこの状態だといまいち分かりませんが、結構な量があります。

 ひとり1000円未満で、もう『これ以上食べられません!』ってほどの量のお刺身が頂けます。(ほんと、最後の方はフードファイト状態でした)

毎月第四水曜日の角上の日ならば、更に10%OFFになります。

そして何より断言できるのは、

うまい(๑•̀ㅂ•́)و✧

とくにサーモン。ノルウェーから空輸されてきたという、北極海育ちのアトランティックサーモン。ほんと、脂の乗り方が全然違っていて、今までスーパーで食べてきた、『びしょびしょのアレ』は何だったの?となります。

きっと、スーパーにも欠品を起こさないための色々な努力があって、『お刺身食べたいなー』って時に、比較的遅くまで用意してくれているのは良いことだと思います。

ただ、一度こっちを食べちゃうと、もう食べられなくなっちゃうんですよね(笑)。

良い商売をすることが景気回復に繋がる

さて先日、『和食』が世界遺産に登録されました。

ひとくちに『和食』といっても、様々なものがありますが、魚食文化もその中で非常に大きな存在です。ですが、『生鮮魚類』に対する消費額は漸減傾向にあります。

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(統計局ホームページ/家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)を元に筆者作図)

 

しかしながら、鮮魚専門スーパー各社の売上を比較してみると、各社各様です。

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 (各社発表IR資料等を元に筆者作図)

鮮魚は取り扱いが非常に難しく、人件費も係る上に衛生面での負担も大きい。専門店でも苦戦するお店もある中で、スーパーの中では『お荷物』となっているお店もあるんだとか。でも、だからこそ差別化のポイントとなるんですよね。

いろいろ調べていて、すごく面白かったのがこの記事。

 言われてみれば、魚が売れない時代とはいえ、売れている店もある。それは、一生懸命に仕入れ、対面販売をしている店である。不思議なもので、活気があるとそれだけで人は引き寄せられる。話しかけられるとつい、買ってしまう。目利きのいる店の魚は売れ残りが少なく、新鮮でおいしい。だから、リピーターになるのだ。

 

「それにスーパーの場合、魚はある程度、売上や利益を度外視してもいい商品なんです」

 

「どういうことですか?」

 

「魚にこだわるお客様というのは、ほかの商品にもこだわる。それだけ、おいしいものを食べたい、という気持ちがある、いいお客様だ、ってことですよ。そういうお客様が多いスーパーは、一般のスーパーに比べて売り場が奇麗ですから」

 

「え、売り場が汚いのは、人員の問題じゃないんですか?」

 

「違いますね。棚のどこからとっても新鮮だという安心感があれば、お客様は上から順番に商品を取って行きます。売り場を引っ掻き回されるのは、商品が安定してなくてお客様との信頼関係ができていないのです」

 

 スーパーなどの小売店では通常、モノが売れなければ値段を下げる。それでも売れない場合は、やむなく人件費を削る。すると、あちこち手が回らなくなり、お客さんとの信頼関係が損なわれるから、ますます売り場が乱雑になり、モノが売れなくなる。これはまさに悪循環である。

 

スーパーの鮮魚売場は絶滅寸前!?元バイヤーが語る「お魚大国ニッポン没落」の現場|職あれば食あり|ダイヤモンド・オンライン

確かに、『このお店の商品は信頼できる』といったお店であれば、わざわざ商品を見比べたりせずに、並んでいる商品を順番に手に取っていく。お店と顧客の信頼関係ができているからこそ、高いものだって売れるし、食べてみたことのないものにも『このお店がお薦めしてるんだから、ちょっと挑戦してみようかな』なんて気にもなる。

物が売れない時代。そんな風に言われて随分とたちました。スーパーは、利便性や価格面で、これまでありとあらゆる挑戦をしてきたように思われます。しかし、ここはひとつ基本に帰り、売上やサービスを忘れて『良い商品を売って顧客に信頼される』そこからやり直すことを考えてるべき時代になっているのかもしれません。

ではでは、今日はこの辺で。

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