ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

大企業のプログラマーの年収は中小企業の1.5倍くらいあるそうな

こんにちは、らくからちゃです。

先日、マネ会さんに一本記事を寄稿させて頂きました。色んな業種別の賃金の推移をざっくりまとめて見たのですが、思った以上に思った通りだったり、思っても見なかったりして、書いていてなかなか楽しめました(๑•̀ㅂ•́)و✧

わたしが籍を置いている会社は『情報サービス業』になるはずですが、統計上はここ6年間でお給料が1割も上がっていることになっているようです。ほんまかいな、と思いながら、少し角度を変えたデータも見てみました。

職種別賃金ランキング

 前掲の記事では、『産業(業種)』を切り口に賃金のデータをまとめました。ですので、間接部門のスタッフも現場のエンジニアも関係なく、会社で行っている事業の種類をベースに分類されます。ただ実際には、同じ企業の中でも色んな職種がありますよね。そういった『職業別』の分類で年収額を整理してみるとこんな感じ。

ド―――(゚д゚)―――ン!

順位職種企業規模計(10人以上)1000人以上100〜999人10〜99人
1 医師 1130 883 1406 1626
2 航空機操縦士 1315 1508 1008 824
3 大学教授 1091 1145 1002 795
4 弁護士 982 872 668 1050
5 大学准教授 854 883 801 672
6 公認会計士、税理士 739 917 777 625
7 記者 798 956 668 469
8 高等学校教員 693 834 700 609
9 大学講師 724 778 635 576
10 不動産鑑定士 674 691 774 577
11 歯科医師 670 549 618 731
12 一級建築士 602 779 562 536
13 獣医師 604 582 675 583
14 自然科学系研究者 634 668 585 525
15 システム・エンジニア 564 651 535 477
16 電車運転士 635 660 464 377
17 技術士 531 613 521 469
18 各種学校・専修学校教員 507 611 522 470
19 薬剤師 524 517 487 578
20 診療放射線・診療エックス線技師 520 558 490 533
21 発電・変電工 559 597 501 442
22 社会保険労務士 565 458 422 574
23 港湾荷役作業員 497 528 506 452
24 圧延伸張工 514 558 471 417
25 電車車掌 563 566 482 330
26 化学分析員 485 558 445 451
27 掘削・発破工 466 506 505 437
28 自動車外交販売員 473 530 466 423
29 測量技術者 432 529 505 422
30 型鍛造工 453 558 447 427
31 クレーン運転工 465 498 458 461
32 看護師 473 505 458 441
33 一般化学工 470 524 453 430
34 機械製図工 458 524 439 452
35 臨床検査技師 468 529 435 429
36 電気工 447 537 453 418
37 機械修理工 458 509 453 426
38 製鋼工 466 499 453 409
39 鉄鋼熱処理工 464 517 464 380
40 製紙工 446 566 425 368
41 非鉄金属精錬工 440 515 440 397
42 オフセット印刷工 427 504 466 388
43 自動車組立工 493 517 379 384
44 プログラマー 424 551 422 376
45 鋳物工 433 536 424 370
46 デザイナー 415 532 422 391
47 歯科技工士 413 549 399 393
48 配管工 416 503 419 413
49 営業用大型貨物自動車運転者 417 481 439 398
50 旋盤工 408 515 424 386
51 営業用バス運転者 436 523 412 361
52 航空機客室乗務員 464 504 389 288
53 金属・建築塗装工 410 522 387 375
54 溶接工 405 509 397 381
55 板金工 394 535 372 386
56 保険外交員 400 398 418 468
57 旅客掛 476 514 371 323
58 ガラス製品工 422 500 397 352
59 半導体チップ製造工 459 521 370 319
60 金属検査工 401 505 381 379
61 玉掛け作業員 392 492 396 379
62 化繊紡糸工 421 473 414 345
63 フライス盤工 397 462 399 392
64 准看護師 402 452 407 385
65 電気めっき工 393 493 385 373
66 家庭用品外交販売員 405 453 384 401
67 金属プレス工 394 495 392 355
68 自動車整備工 402 458 400 374
69 プロセス製版工 394 469 419 352
70 鉄工 387 465 399 373
71 機械組立工 406 476 366 373
72 仕上工 380 493 380 365
73 とび工 387 489 356 388
74 理学療法士、作業療法士 395 406 389 411
75 建設機械運転工 389 430 393 386
76 機械検査工 394 499 358 340
77 合成樹脂製品成形工 386 460 390 351
78 バフ研磨工 356 486 407 332
79 重電機器組立工 385 444 374 361
80 木型工 390 405 368 393
81 自家用貨物自動車運転者 376 424 382 364
82 営業用普通・小型貨物自動車運転者 383 447 360 352
83 土工 343 488 388 340
84 ボイラー工 380 406 375 360
85 陶磁器工 339 537 333 309
86 幼稚園教諭 338 480 365 334
87 大工 384 337 401 384
88 個人教師、塾・予備校講師 374 396 381 361
89 電子計算機オペレーター 366 447 365 333
90 紙器工 361 439 374 335
91 介護支援専門員(ケアマネージャー) 372 390 372 369
92 型枠大工 348 463 408 348
93 左官 353 624 354 353
94 歯科衛生士 345 405 360 335
95 ワープロ・オペレーター 351 421 334 313
96 プリント配線工 329 428 334 299
97 鉄筋工 344 319 345 342
98 通信機器組立工 330 411 323 297
99 建具製造工 322 388 330 317
100 調理士 332 361 320 330
101 家具工 308 396 335 299
102 栄養士 332 349 335 321
103 製材工 317 370 338 300
104 保育士(保母・保父) 319 373 314 318
105 守衛 325 413 313 270
106 織布工 322 339 350 311
107 精紡工 316 404 311 294
108 娯楽接客員 321 353 313 309
109 販売店員(百貨店店員を除く。) 323 341 301 314
110 軽電機器検査工 301 384 297 273
111 自家用乗用自動車運転者 314 298 323 316
112 福祉施設介護員 309 320 310 306
113 タクシー運転者 295 349 311 257
114 パン・洋生菓子製造工 305 343 284 278
115 キーパンチャー 293 320 297 271
116 ホームヘルパー 291 305 288 290
117 百貨店店員 327 340 264 230
118 警備員 289 353 283 225
119 理容・美容師 273 334 273 269
120 看護補助者 284 299 283 277
121 用務員 278 327 270 264
122 給仕従事者 278 312 275 262
123 洗たく工 243 263 231 252
124 調理士見習 240 248 238 238
125 スーパー店チェッカー 246 265 229 220
126 ビル清掃員 232 249 219 239
127 洋裁工 206 205 254 198
128 ミシン縫製工 197 225 211 189

 他の職種でも、中小企業より大企業の方がお給料が高くなる傾向にあります。システムエンジニアは、どんな規模の企業であっても、その規模の企業の中で高い順位となっています。しかしプログラマーは、大企業で働いているのであれば、他の職種よりも高い賃金ですが、中小企業であれば平均順位よりも下のお給料しか貰えません

ちなみに、企業規模別の格差(1000人以上の賃金÷100人未満の賃金)の順位で言うと、プログラマーは128職種中16位となり、かなり企業規模による格差の大きい職種となりました。ちなみにベスト3はこんな感じ。

  1. 記者・・・2.03倍
  2. 航空機操縦士・・・1.83倍
  3. 左官 ・・・ 1.76倍

新聞記者になるなら大企業に行ったほうが良さそうですなあ( ゚Д゚)y─┛~~ 逆に、お医者さんなんかは、大病院よりも中小病院のほうがお給料が良いようです。

企業規模別の賃金構造

更に細かく内訳レベルでも見てみたいと思います。お給料を

  1. 基本給・・・通勤手当・家族手当等も含む。決まって支給される部分。
  2. 残業手当・・・深夜勤務手当・休日出勤手当等も含む。超過勤務で生じる部分。
  3. 賞与・・・支給額が決まってないか、決まっていても毎月支払われない部分。

にわけたデータが取れましたので、所定内労働・超過労働も合わせて並べてみました。

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 (出典:賃金構造基本統計調査より筆者作図)

黄色が基本給の部分ですが、プログラマー・システムエンジニアともに中堅・中小企業間では差は有りません。一方、赤い部分の残業代は大企業と中小企業で2倍近い差がついています。

サービス残業とかはどうなってんのよ、という疑問もありますが、そこは一旦おいて考えましょう。

少なくとも合計の労働時間では、大企業も中小企業も大きく差がありません。ところが大企業では、中小企業より『所定内労働』の時間が短い傾向にあります。『定時』の時間は会社によって異なります。9時始業で17時半までの7.5時間労働の会社もあれば、法律の上限いっぱいの8時間労働の会社もあります。

一日0.5時間の差ですが、一月で10時間の差になります。残業の単価が3,000円とすると1ヶ月で3万円、1年で36万円の差になります。今回の結果を見ても、だいたいそれくらいの差になっているように思われます。

またボーナスの部分の差も大きいですね。

  • プログラマー:大企業 109万円/中小企業 37万円 = 約3倍
  • システムエンジニア:大企業141万円/中小企業 54万円 = 約2.6倍

とかなり差がついた感じです。

学生は中小にも目を向けろとはいうけれど

昔からIT業は、ゼネコンのような多重受けの体質で、上流工程にあたるコンサルやプリセールスなどは賃金が高く、下流工程であるプログラマーやエンジニアなどは賃金が低いと言われてきました。今回の結果でも、どちらかというと上流工程よりのシステムエンジニアのお給料のほうが100万円ずつくらい高かったので、その傾向に違いはないでしょう。

ただそれとは別に、企業の規模によっても、随分違うことも、改めて見えたかなあという感じがします。ここ最近、学生の就職活動では『中小にもしっかり目を向けて』といったことを言うようですが、この差を見ちゃうとなんだかなーと思っちゃいますね

統計なので、あくまで平均値に過ぎませんが、果たしてこの差は何から生まれるのか・・・。

一口に『プログラマー』といっても、Googleの検索エンジンのような、誰も思いつかないようなものを一から作っている人もいますし、言われた通りにコピペして右から左へ流すだけのような作業をしている人もいます。

企業規模によって請け負える仕事の技術レベルに差が生まれるところから生じるのか、それとも大企業の方がグループ企業から大掛かりな受注が入り易いような産業構造的なところから生じるのか。そんなことを考えてみるのも面白いかもしれませんなあ。

ところで話は変わりますが、職業分類上『プログラマー』と『システムエンジニア』は新しく下記のような括りに変わるようです。

  • 101システムコンサルタント
  • 102 システム設計者
  • 103 情報処理プロジェクトマネージャ
  • 104 ソフトウェア作成者
  • 105 システム運用管理
  • 106 通信ネットワーク技術者
  • 109 その他の情報処理・通信技術者

賃金構造基本統計調査も、標準職業分類を参照するのであれば、この区分になるかもしれませんね。新しい統計がどんな感じで上がってくるのか、ちょっと楽しみです。

ではでは、今日はこのへんで。

追記

大企業のプログラマーの年収は中小企業の1.5倍くらいあるそうな - ゆとりずむ

ヒント:平均年齢、年功序列

2016/11/18 16:37

b.hatena.ne.jp

年齢の影響も結構あるよねーと思っていたのですが、そういやデータの中にありましたので、こちらもちょいちょい平均を弾いてみました。

これもまた興味深い結果が得られました。ヒント、ありがとうございました。