こんにちは、らくからちゃです。
私事ですが、先日31歳になりました。なんやかんや貯金も(株だの投信だの込みで)1000万円溜まったし、ポストに『マンションいかがっすか?』みたいなチラシが入っているのを見ると、そういうのも考えても良いのかなあと思うお年頃です。
いま家を買うのがおトクかはさておき、欲しいと思ったときに準備が出来ていなくて損をするのは悔しいですよね。というわけで、住宅取得に関するアレコレを勉強しているのですが、住宅ローン減税って結構大きいですよね。住宅購入に全く興味が無い人でも
10年間で最大400万円税金が戻ってくる
と聞けば、ソソられない人は居ないでしょう(笑)。
まあ節税の為に家を買うのは本末転倒ですが、どうせなら賢く使いこなしたいもんです。というわけで、個人的に調べてみた内容について整理も兼ねてまとめておきたいと思います。
※なお本稿はあくまで個人的なまとめであり、記載内容の正確性や網羅性を保証するものではありません。また当然ですが住宅購入を薦めるものでもありませんのであしからず。
控除の仕組み
『節税』と聞いて思い浮かべるものってどういうものでしょうか?
例えば、配偶者控除とか、医療費控除とか、◯◯控除って名前のキーワードが上がってくるかなあと思います。住宅ローン減税の正式名称は『住宅借入金等特別控除』になります。ただ他の制度との一番の違いは、直接税金が減ることなんですよね。
例えば、医療費がかさみ、10万円の医療費控除を申告したとするじゃないですか。これで幾ら税金が返ってくるのか?
基本的に、◯◯控除と呼ばれているシリーズは、その金額だけ税金が減るわけではありません。税金を計算する対象となる『課税所得』を差し引きます。
皆様の給料から天引きされている税金には、『所得税』と『住民税』の2種類があります。住民税は、一律10%、所得税は所得が上がるにつれ徐々に上がっていきます。(全体の税率が上がるわけではなくて、超えたレンジの部分が・・・ってヤツですね)
所得税の税率早見表を上げておくとこんな感じ。
ここに書かれている『課税される所得金額』は、社会保険料など諸々差っ引いたあとの金額ですので、年収700万円くらいでも20%くらい。住民税の10%を加えても、30%にしかなりません。10万円の医療費控除といっても、減税額は3万円程度だったりします。
iDeco vs 住宅ローン減税
いまいちまだピンと来ない人も多いかもしれませんので、最近"iDeco"というかわいい名前をつけてもらった個人型確定拠出年金との比較をしてみましょう。今回は、以下の条件のもと最大限節税をしたらどれくらい減るのか?を試算してみます。
- 額面年収600万円のサラリーマン
- 社会保険の負担率は15%
- 配偶者・子供はなし
何もしない | iDeCo | 住宅ローン減税 | |
---|---|---|---|
給与所得 | ¥6,000,000 | ¥6,000,000 | ¥6,000,000 |
給与所得控除 | ¥-1,740,000 | ¥-1,740,000 | ¥-1,740,000 |
基礎控除 | ¥-380,000 | ¥-380,000 | ¥-380,000 |
社会保険料控除 | ¥-900,000 | ¥-900,000 | ¥-900,000 |
小規模企業共済等掛金控除 | ¥-276,000 | ||
課税所得 | ¥2,980,000 | ¥2,704,000 | ¥2,980,000 |
所得税 | ¥200,500 | ¥172,900 | ¥0 |
住民税 | ¥305,500 | ¥277,800 | ¥169,000 |
減税額 | ¥0 | ¥55,300 | ¥337,000 |
特になにもしない場合、課税所得は298万円となります。所得税・住民税合わせると約50万円ですね。
ここで個人型確定拠出年金に、限度額いっぱいの27万6,000円を突っ込んでみると、所得税・住民税が約45万円となり、年間5万5,300円の節税になります。
住宅ローン減税は、住宅ローン残高の1%分を直接所得税から、使いきれなかった分は13万6,500円を限度額に差し引けます。所得税はなんとゼロ、住民税もほぼ半額近くの16万9,000円となります。年間33万7,000円の節税になります。
凄くね?
住宅ローン減税の仕組み
いやでも、これだけ強力な減税なんだから対象条件はかなり厳しいのでは?と思いきや、そうでもないんですよね。細かい条件は色々と有りますが、主な条件は
- 10年以上のローンを利用すること
- 自分で住むこと
- 面積が50㎡以上あること
中古の場合や、更に最大限税額のあがる『長期優良住宅』の場合は、もっと色々ありますが、一般の新築物件の場合はざっとこんなもんです。で、いくら帰ってくるのかというと、
- 住宅ローン残高の1%
- 所得税から直接差し引き、住民税は最大13万6,500円
- 上限額は40万円
となります。この3条件の中で、最も安い金額が減税額になると考えれば分かりやすいですね!
住宅ローン減税を利用している世帯では、その減税効果が強力的過ぎて、所得税に対しては他の節税対策がほぼ無意味になります。ただ住民税については限度額が低めに設定されてますので、(私はおすすめしませんが)ふるさと納税とは組み合わせやすいかもしれませんね。
ではこの金額から、上限額40万円を使い切れる金額を逆算してみましょう。住民税からは最大13万6,500円しか減らすことが出来ません。ということは、所得税で26万3,500円減らす必要があります。それって、だいたい年収で言うとどれくらいなのかと言うと、
- 独身・・・671万3,300円
- 夫婦・・・722万円(専業主婦の場合)
となります。
最大限減税したけりゃ年収700万で5400万の家を買え
どうでしょう。
これくらいなら、限度額いっぱいまで使えるかも!?と思う方も多いかもしれません。ただ忘れちゃいけないのは、限度額まで使うには、年末にローン残高が4000万円必要です。
更に、10年間で合計400万円ゲットしようとすると、10年後の時点でも、4000万円の残高が必要です。もし20年ローンで金利を一切無視して考えた場合、10年で半分返済し終えることになりますので、この時点で残債4000万円ということは、元々の借り入れが8000万円(!!)でなければフル活用できません。
逆に言えば、ローン返済期間を伸ばせば、10年経過時点での残債を多くできます。我が国で利用できる一般的なローンの最長期間である35年で、価格コムの住宅ローン減税シミュレーションに記載されていた都市銀行一般金利で設定すると
- 変動金利 0.639%・・・ 5430万円
- 固定金利 1.405%・・・ 5252万円
であれば、10年後も4000万円の残高を維持できます。
・・・が、結構高いっすねー。多分、手取り年収の10倍くらいになっちゃうんじゃないのかな。いくら節税になるとしても、そのために無駄に高い家を買うのは本末転倒ですし。何も一生懸命使い切ろうとするようなもんではないですね。
ただ試しに、変動金利・固定金利でそれぞれ、上記金額を借りれた上、400万円を10年後に一括で繰り上げ返済した場合の結果をシミュレーションしてみました。
変動金利の場合、いまの金利が35年間続くというやや無茶な前提のもとですが、10年後に途中400万円の返済が出来れば、実質金利は0.1%になります。また固定の1.383%でも0.49%です。びっくり低金利ですね。
最後にそれぞれの年収(額面)別に、10年間での最大控除額と、それを得るために必要となる当初の借入額(=10年後に最大控除額*100倍の残高になる金額)を整理してみました。
独身で扶養控除がないことを前提として計算していますので、扶養控除の対象が存在する場合、少し控除額も借入額も少なめになります。またこれより金利が小さい場合、早く残高が減るので、借入額は小さくなっていきますので、もう少し高めの物件でも使い切れますね。
マイナス金利を使いこなそう!
さてさて、持ち家派 vs 賃貸派の間には、長く深い溝がありますし、住宅を買うことそのものがおトクといえるかどうかは何ともいえないでしょう。減税のために家を買うようなことを行うのであれば、本末転倒です。
とはいえ昨今の金利状況を見ていると、変動では1%を割り込む状況が続いています。住宅ローン減税が、ローン残高の1%分を直接税金から控除できることを考えれば、借り入れ当初の時点にて、住宅ローンはマイナス金利とも言える状況です。
このような状況が、いつまで続くのかもまた見えないところではありますが、ライフプランを考えていく中で、住宅ローン減税の仕組みについても、頭の片隅にくらいは入れておいても良いかもしれませんね。
ではでは、今日はこのへんで。