こんにちは、らくからちゃです。ぶらっとTwitterサーフィンしておりますとこんなツイートが目に留まりました。
「なんでもポジティブに考えれば幸せになれる」っての、まるっきりウソだから。現実のネガティブな側面を直視して受け入れることで、不安がなくなり、的確に現実に対処できるようになり、成功確率がぐっと高まり、はるかに幸せになれることなんて、いくらでもある。
— ふろむだ⭐️若い頃知りたかったこと書く (@fromdusktildawn) 2018年2月17日
すげーわかる。
確かに『すごーい』『たーのしー』と言いながらお仕事をしていても、ヤバめな何かを『あれ大丈夫なのかな・・・』『もしかしてヤバくない...?』と不安を抱えながらだと、全く楽しめません。
で、こうした不安を綺麗さっぱりしてお仕事を楽しむため、弊チームでは定期的に『怒らないからヤバいと思っていること全部言う会』を開催しているのですが、めっちゃ有用度は高いと思いますので、ざっとまとめてみます。どこかしらで役に立てば幸いです。
進捗会議はお嫌いですか?
まずはこんなアンケートをとってみました。
進捗会議はお嫌いですか?
— らくからちゃ (@lacucaracha) 2018年2月19日
IT業界では、定期的に進捗状況を確認する"進捗会議"なる神聖な儀式が執り行われます。マネージャによる『進捗どうですか』の祝詞から始まり、以下のようなやり取りに続きます。
うわあ、書いてて胃が痛い。
ここまで極端なやつはそんなに無いんじゃないのかなあと思うけど、ネットじゃよく見る光景です。つーか、スケジュールに間に合うかどうかとか、わざわざ人集めて確認してどうすんの?恥かかせ&責任の押しつけ大会?あとその進捗率90%とかなんの意味があんの?それ、一ヶ月くらい90%ですよね。あと倒しても倒しても復活する不死身の課題があるんだが??
ピリピリムードだけ高め、結局『ガンガンいこうぜ』か『バッチリがんばれ』のどちらかあるいは両方の指令が下るだけじゃねぇの?と。そりゃまあ嫌われるわけだ。
全部言う会3大ルール
で、こんなことやってても、消耗度の割りに得られるものが少ないなあと思ったので、代わりに(?)『怒らないからヤバいと思っていること全部言う会』(以下言う会)を開催することにしました👏
もちろん進捗状況の確認もするんですけど『◯◯日に間に合いそう?』と聞く代わりに『◯◯日に間に合わないとしたらどんな理由?』『なんかヤバめのこと無い?』って聞く感じ。カッコつけていうとプロジェクトの進行を停滞させるリスクファクターを洗い出す会議。
具体的に出てくる内容としては、
- スケジュールにはなんとか間に合わせられるけど調査不十分になるかも
- おもったよりも複雑で対応に時間がかかるかも
- 抱えている別案件の割り込みが入るかも
などなど。もしかすると大丈夫かもしれないけど、なんか嫌な予感がする。みたいなこともバシバシ報告して貰う。でこの会を上手く回すために『キレない』『責めない』『愚痴らない』の3つルールを設けてみました。
1.キレない
『ヤバそうなこと教えて』と言ってみたところで、素直に言ってくれない人もいます。なぜかと言えば、言われたとおりに素直に言ったはずなのに、『なんでそれを早く言わないんだ!』とか『どうしてそれくらいのことが出来ないんだ!』とかキレる人がいるから。
そういう環境だと『たぶん間に合いそうですけど☓☓の部分が不安です』ではなく『進捗率は90%です』みたいな話しか出てこなくなる。なんだよ90%って。それよりその不安な部分を言えよ、とキレてはいけない。あなたがキレるから言い出せないのだ。
2.責めない
もう一つ大事なのが、何かヤバめなことに気がついて言うと、責任の所在のたらい回し大会が始まることがある。グルっと回って自分のところに戻ってくることをおそれて、ヤバそうなことが言い出せなくなる。
また表面上は感情的でなくても、ネチネチと『◯◯は出来るって言いましたよね?』とか『そこ普通は事前に確認しておきますよね?』みたいな、自尊心を傷つけるような発言は禁止。リスクを憎んで人を憎まずが基本。
3.愚痴らない
で『仲間内から攻撃されない』環境が出来上がれば、今度はお客さんや他部門へのバッシング大会が始まる。『毎回だけどさー、◯◯さんの言うことってコロコロ代わるからあてになんないんだよね』とか『つーか営業の根回しが悪いのがすべての元凶だよね』とかね。
ガス抜きの場は必要だけど、こういうのをほうっておくと、どんどんそっち方面でばかり話しが盛り上がっちゃい、本来の目的であるリスクを洗い出すという部分が薄れてしまう。よって、その場に居ない人にキレたり責めたりするのも全部禁止。
怒り・恐れとの付き合い方
あらためて考えると、これってつまり"テーマがネガティブなブレスト"なんだと思う。良く知られているように、ブレインストーミング、いわゆるブレストには、以下の4原則がある
- 判断・結論を出さない(結論厳禁)
- 粗野な考えを歓迎する(自由奔放)
- 量を重視する(質より量)
- アイディアを結合し発展させる(結合改善)
特に"批判厳禁"というルールから、ブレストは新サービスの開発とか、プロモーション方法の検討とか、どちらかというと"ポジティブな議論"に使われがち。でも『批判』とは、あくまで発言者に対する批判であり、議題そのものが批判的な内容ではいけないというワケではないんじゃない?
むしろ、リスクを洗い出す場においては、『こんなヤバいことがあるぞ』『いや、もっとヤバいかもしれない』『そこがヤバいならたぶんここも・・・』と考えうる限りのアイデアをブレスト的に進めていったほうが良いんじゃないのかなあと思う。
ところで、ブレストって楽しいですよね。
実際に、上手くいくかどうかなんて考えずに、誰からも批判される可能性が無い中で、自分の普段抱えている感情をぶつけられるのは爽快に感じるひとのほうが多いでしょ。まーでも、実際に成果に繋がるブレストはごく少数。
この『全部言う会』も、話している内容は超ネガティブな内容の割りに、参加者は"すっきりした"って言うんですよね。
エンジニア:お客様からの返答次第では、作業が遅れる可能性があります。
マネージャ:なるほど、では早めにリマインドを出しておこう
とか
エンジニア:前の案件が炎上しているらしくヘルプが求められるかも
マネージャ:なるほど、じゃあ途中で切り上げやすいものを中心にするね
とかとか、具体的アクションに繋がることが目標だけど『それヤバそうだけど、起こったらなんとかしよう』としか結論が出ないケースもある。それでも、完全に自分だけが抱えているモヤモヤを言ってみたら肩の荷がおりたと言う人が結構多かったんですね。
仕事に怒りの感情は不要です。 怒っている側は、溜まったストレスを放出して、多少スッキリするかもしれませんが、ぶつけられた方や周囲の生産性はだだ下がりです。大人なら、まずはこの『怒り』の感情を抑える努力をすべきです。アンガーマネジメントってやつ?
※約1200円の本ですが記事公開時点でKindle Unlimitedの対象なので980円払えば読めます
会議名にこんな名前を冠するのもおかしいとは思うんだけど、そうじゃないひとに接し続けて萎縮してきたひとが余りに多かったので、皆さん慣れるまではだいたいこの名前で運用中。
それと恐れの感情も、集中力を削いで生産性を下げる場合が多いけど、目を瞑って走れば、崖の下に転落してしまう。ネガティブな側面を直視して受け入れること、それを個人で行うのではなくチームで行うことと、そしてマネージャーはメンバーが何を恐れているのかをしっかりと掴んで共有できる場を作ること。
これも『悪いことほど早めに報告』が会社員としては当然だと思うけど、どうもそれが当たり前じゃない環境に居た人も多いので『ヤバいことは全部言おうぜ!』とタイトルにつけてみることにしました☺
というわけで、わざわざこんな名前の会議を執り行わずに済む職場が理想ではありますが、ちゃんとした案件でも時々変な方向に進むことがあるので、呼び名を変えてみるのも、ひとつの方策としてとってみてはいかがでしょうか?
ではでは、今日はこのへんで。