ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

株の利益に掛かる税金を確定申告で取り戻す方法と注意点

こんにちは、らくからちゃです。

気づけば年の瀬ですね。給与明細には「なんか取りすぎてたみたいやから返すわ!」と年末調整での還付金がついてきました。貰えるのは大変有り難いのですが、我が家では今年もローン残高が4000万円を超えているため、最大40万円は戻ってくるはずなんですよね。

住民税が減額される13万6500円を加えても20万円ちょっとしか戻ってこない。何やら損した気分ですヽ(`Д´)ノというのも、住宅ローン減税で年間最大40万円ゲットするためには、ざっくり700万円の年収が必要です。

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当たり前っちゃ当たり前なんですが、ローン減税は、支払った税金を返して貰うものですので、そもそも税金を払っていない人はその恩恵に預かることができません。

今年、半年ほど育児休業を取得しましたが、その間受給していた育児休業給付金は非課税です。よって拙宅は390万円ほどの低所得者ということになり、還付される税金もそれに見合ったションボリ金額になります。

以前作った年収・税額早見表を眺めてみると

  • 所得税・・・8.2万
  • 住民税・・・17.4万

ほどでした。

払ってないんだから帰ってくるもんはねえだろと言われればそうなんですけど、なんかちょっと悔しい笑。で、改めて考えてみたら、別のところで払ってた税金が結構帰ってくることに気が付きました。

株の利益です。

株の利益に掛かる税金は確定申告で取り戻せる

NISA口座に入り切らなかった分で「明らかに実態との乖離が大きいよねえ」と思っている株を転がして遊んでいるのですが、去年末あたりに「いくらなんでも安すぎやろ」と仕込んでおいたREITが順調に戻してくれて、そこそこの利益になりました。

株式売買に掛かる税金は、ざっくり20%ほどですが、その内訳は下記に別れます。

  • 所得税・・・15.315%
  • 住民税・・・5%

今年は、そこそこの利益が出ましたので、税金もそこそこ取られております。

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意外と知られてないみたいなんですけど、株の利益に掛かる税金は住宅ローン減税で取り返せます。

善良な一般市民が株式口座を開設する場合、「特定口座源泉徴収あり」という方式を選ぶことが一般的だと思います。利益が出たときに、証券会社で既に税金を差し引いてから振り込んでくれるという方法ですね。お給料の天引きと似たようなイメージです。

既に税金は差っ引いてくれているので、わざわざ確定申告をする必要はありません。ただこれを「敢えて」申告すれば、その年の個人の所得税にすることができて、住宅ローン減税の対象にできます。

株に掛かる税金の種類

「でも確定申告をしてしまって、給料などの所得と合わせたら税金が増えたりしない?」と心配な方もいらっしゃるかと思います。

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(出典:【確定申告書等作成コーナー】-課税方法(総合課税と申告分離課税)

総合課税扱いにすると、配当に掛かる税金は

  • 所得税・・・5%〜45%
  • 住民税・・・10%

となります。

ただ併せて配当控除と住民税の申告不要制度を使うと年収650万円までは、所得税・住民税セットで5%になります。また売買に掛かる利益は変わらず約20%です。

細かい話は下記をご参照ください。

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配当に掛かる税金は、確定申告しておけば大半の人が減るでしょうし、売買に掛かる税金も変わりません。おまけで、住宅ローン減税の対象にもできます。

(というか去年しました)

総合課税にした場合の注意点として、配当と売買の損益合算ができなくなります。

売買損が配当益を相殺するくらい大きい場合、確定申告する必要も無い気がしますが、一応「申告分離課税」を選べば、源泉徴収時と同じ税率が採用され、証券会社に払った税金の金額を確定申告書に載せることができて、住宅ローン減税の対象にできます。

それより注意が必要なのは、住民税の申告不要制度を使うということです。

住民税の落とし穴

申告不要制度をザックリいうと、

  • 所得税・・・確定申告
  • 住民税・・・源泉徴収

にする仕組みです。

確定申告をすると「これで住民税計算しなよ」とお住まいの自治体に伝達され、「これだけ住民税天引きしておいて」とお勤めの会社に連絡が行く仕組みですが、別途「市県民税申告書」を作成して総合課税も分離課税も選ばない(源泉徴収のままにする)ことで、所得税と住民税とで異なる方法を採用できます。

(詳しくはお住まいの自治体名+「申告不要制度」とかでググってみてくださいな)

配当に掛かる住民税は、源泉徴収時の税率は5%ですが、確定申告をして総合課税とした場合は10%となります。そこから2.8%(課税所得1000万以下の場合)が差っ引かれて7.2%の負担になるので、利益に対して2.2%税金が増えます。

とはいえローン減税で帰ってくる金額と比べると大したことないですし、売買益は変わらず5%なので、まあ良いかなあと思われるやもしれませんが、とんでもない。

保育料が跳ね上がります。

(大事なことなので文字でかくした)

例えば、株の利益が10万円出て払った所得税約1.5万円取り戻すぞーと、総合課税か申告分離課税にしたとするじゃないですか。そうすると、住民税ベースで決まるあらゆる仕組みにおいて10万円分だけ年収が高い人として扱われます

更に言えば、お給料の10万円はそこから社会保険料控除やら給与所得控除やらが引かれますが、そうしたもののない株式の利益は見た目以上に住民税を引き上げます。

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保育料の判定に使われる所得階級が1段階あがると、月額保育料が4000円近く上がります。1.5万円の所得税を取り返すために、年間保育料が4.8万円上がったら世話ないですよね。

もちろん、そのビミョーなラインに乗っかるかどうかは極めてシビアなポイントですが、その他いつどのタイミングで行政のお世話になるかもわかりませんが、株の利益を確定申告する場合、精神衛生上(?)も申告不要制度を使っておいたほうが良いでしょう。

ちなみにこの申告不要制度、見直しが議論されているみたいですが、そのことについてはまた後日。

ではでは、今日はこのへんで。