ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

物価って本当に上がってないのかな

こんにちは、らくからちゃです。

緊急事態宣言発令とのことで、世の中何やら騒がしくなって参りました。飲食店に加えて、小売店でも営業時間を早めに切り上げるような動きが出てますね。如何ほど効果があるのかはさておき、これくらいの労働量がちょうど良いのやもしれません。

さてこんな世相ですが、コンビニについては、24時間営業を続けて頂けるようです。電車に揺られて痛勤していた頃は、随分お世話になったもんですが、テレワーク生活が始まってからは長らくと足が遠のいておりました。

で、先日久々に寄ってみたんですよ。

どうもスーパーの価格にお目々が慣れてしまったからか、どえりゃあ高く見える。PBの安いカップ麺でも税込みで140円もしますし、チルド麺なら400円台が当たり前なんですね。

それまで「こんなもんかな」と思っていましたが、改めて考えてみたら私がバイトしてた10年前と比べても随分高くなったような気がします。なんか巷では量が小さくなった、みたいな話もよく聞くしね。

もちろん日々品質改善に向けての努力もあるでしょう。またコンビニは、時間を買う場所という要素もあるので、スーパーより価格が高いこと自体には何ら違和感はありません。

ただちょっと不思議なのが、スーパーはずーっと同じ値段でたいして変わらないような気がするのに、コンビニだけどんどん価格が上がっていっている。どうもそんな気がするんですよね。

コンビニ商品どれくらい値上げした?

商品価格を比較をするなら、お弁当やお惣菜みたいに質的に異なる商品よりも、全く同等の商品で比較するのが良いんじゃないでしょうか。というわけで一番分かりやすいのは多分コイツ?

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皆さんご存知「チョコモナカジャンボ」。

スーパーの場合、お値段は店舗によって異なります。安いところで70円台後半、高いところでも100円は超えないような価格帯ですね。コンビニは、定価横並びで売ることが多いと思うけど、そのお値段なんと140円(税抜)でございます。もう倍近い価格差。

おかしいなあ、コンビニでも100円ちょっとで売ってた気がするのに、いつからそんなに高くなったんだろう?と思いググってみると中々パッション溢れるウェブページが見つかりました。金額だけ先に引用するとこんな感じ。

  • 2003年時点  :100円
  • 2008年3月〜:120円
  • 2015年3月〜:130円
  • 2019年3月〜:140円

森永製菓 チョコモナカジャンボの値上げ情報 

ううむ。やはりちょっと見ない間に、ずいぶんキミお高くなったんだなあ。ただ商品規格のほうは、昔から変わらず150mlらしく、そのあたりは良心的なのかも。

値段は変えずに中身のサイズだけ減らす「サイレント値上げ」みたいな話は、ポテトチップスあたりで良く耳にしますが、そのへんの情報も整理してくれてますね。ありがたや。

カルビーのポテトチップスは、

  • レギュラー(100g前後)
  • 食べきり(60g前後)
  • 小袋(30g前後)
  • ビッグバッグ(170g前後)

と4種類のラインナップがあるようですが、軒並み小型化していますねえ(´・ω・`) レギュラーなんて、2割近くダウンサイジングされておりますヽ(`Д´)ノ

お菓子の物価推移

じゃあスーパーの価格はそんなに上がってないの?ホント?というところについても調べたい。ただ「森永チョコモナカジャンボ」「カルビーポテトチップス」みたいな銘柄別のスーパーでの実売価格なんて濃ゆいデータは中々素人には入手が困難です(POSデータでも買えば良いのかもしれませんが)。

で、比較的利用しやすい情報として、小売物価統計調査のデータを見てみました。

アイスクリームは「バニラアイスクリーム,カップ入り(110mL入り),「ハーゲンダッツ バニラ」。ポテトチップスは「袋入り(60~95g入り),成型ポテトチップスを除く」が基準とのことですが、そのへんはご愛嬌。なおポテトチップスはgあたりの金額で処理してくれてる模様です。

で、2000年を100%として物価の推移をまとめた結果がこう。

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(物価統計調査より筆者作図)

20年前と比べてポテトチップスで15%価格が上がった。一時期ぽーんと上がっているのはサイズ改定の影響かな?アイスクリームははここ最近ジワジワ上がってるけど11%しか価格が上がっていない。

無論調査品目が違ったり、スーパーの価格で薄まったりはしてるんでしょうけども、コンビニの価格と比べると、結構なズレが出てるもんだなーって感覚を受けますな。

ちなみにチョコモナカジャンボの定価は17年で40%上がったけれど、これって年率で何%くらい上がった計算になるかわかります?

正解は約2%です。

あれ?どこかで聞き覚えのある数字ですよね。そう日銀の物価目標です。コンビニのチョコモナカジャンボは、きちんと目標をクリアしています(笑)。逆に言うと、2%の物価上昇って、これくらいの金額感でモノの値段やお賃金が上昇していくことのことなんですけどね。

物価って本当に上がってないの?

テレワークメインになってから、日常のおやつなんかも近所のスーパーで買うことが増えましたが、改めて見比べてみると随分価格差が広がっているような気がします。ポテチもスーパーだと、さほど小さくなってない。

ついでにいうと、最近お気に入りのデブまっしぐらなアイスもお求めやすいお値段です。(ラクトアイスでないアイスクリームでこのお値段は中々良いと思うんだよねー)

コンビニのほうが店舗運営や物流に掛かる人件費が高く、特に近年の最低賃金引き上げの影響をモロに受けたりしてるのかなー、なんて考えられますけど、そりゃあくまで売り手の論理に過ぎません。この価格は、高くても買って良いと思う消費者がいるからこそ成り立つわけです。

どんどん高齢化の進む時代ですので、足腰の悪いお年寄りは、多少高くても近くて便利なコンビニを使っていたりします。また共働き家庭や独身世帯が増えた結果、日中にスーパーに並ぶのは厳しいといった現状もあるのやもしれませんな。

その理由はさておきとして、コンビニ全体の売上がスーパーに迫る勢いの売上となったのは、値段が高いことは承知の上で利用するユーザーが増えたからでしょう。

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(出典:2020年上期小売業販売を振り返る|その他の研究・分析レポート|経済産業省

ごく一部の特殊な例でだけ特別な価格がついている。ってわけじゃなく、社会構造の変化から、価格を重視する層と、利便性を重視する層への分化が進み、同一の商品でも価格の二極化が起きとる。なんて言えば良いのかしら。

でね、ふと疑問なのは「ここ17年でコンビニで売ってるチョコモナカジャンボの値段が4割上がった」といった事象は、消費者物価指数とやらには適切に組み込まれておるんやろうか、と。(いやチョコモナカは調査品目には入ってないっすけどね。そういう話出はなく。)

そもそも小売物価統計調査にはコンビニって入ってんの?どういう店が対象?と思って調べてみた結果がこんな塩梅。

6 調査対象はどのように選ばれるのですか?

価格調査
 調査対象店舗等は,調査品目ごとに,各価格調査地区内で販売数量又は従業者規模等の大きい店舗の順に,価格取集数に応じた店舗を選定し調査店舗とします。 ただし一部の調査品目については,調査市町村内又は都道府県内に所在する店舗のうち利用者の多い順に,価格取集数に応じた店舗を選定しこれを調査店舗とします。

統計局ホームページ/小売物価統計調査に関するQ&A(回答)

うーん、これをそのまま読む限りは、たいていのケースで規模が大きいスーパーの価格が選ばれ、本当にコンビニしか無いような市町村やコンビニでしか取り扱いの無いコーヒー飲料B(セルフ式コーヒー)でも無い限り、コンビニの価額は計算に入ってないような?

あとね、業態別の調査っちゅーのもやってはいるんだけど、そのくくりはこんな感じ。

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あれ・・・?コンビニなかったことにされてね?全国物価統計調査をやっていた頃は、そのへんも細かく分けて処理してけど、正直このくくりじゃ何か有益なデータが捉えられるとは思えないんだよね。(なんで辞めてしもうたんや。。。)

こうして集められたデータは指数バスケットの比率に応じて組み入れられるはずだけど、業態別の比重がかけられているようにも見えないような?(というかコンビニという業態の価格は集められてないし)

で、流石にマズいと思ったのか、それとも面倒臭くなったのか「POSデータ集めたら早くね?」というようなことも議論しているみたいだけど、中々のんびりしたスケジュール感で進められているご様子ですな。

もはやコンビニは小売業全体の中でも大きな比率を締める業態になっており、その数値が適切な比重で組み入れられてなければ、消費者物価は消費者の体感する数値とは随分と異なる結果になると思うんだよね。(スーパー物価統計調査、じゃないでしょ)

そのへんの比重等も含め改めて計算してみたら、お賃金は上がってないのに物価は黒ちゃんの約束通りになってたりするかもしれないですし、是非調べてみて欲しいなあなんて思う次第です。

ではでは、今日はこのへんで。