ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

コロナショックによる日経平均・NYダウの下げ幅比率と今は買い時なのかについて

こんにちは、らくからちゃです。

今日は、日経平均株価が一時1000円安となり、終値でも781円安と今年最大の下げ幅を記録しました。昨日のダウ平均株価も、1031ドル安で終わり、これは歴代3位の下げ幅になるそうです。

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ただ歴代3位といっても、わたしが生まれた頃なんかは今の1/10の金額も無かったわけですよ。よって比較するなら、下げた"金額"ではなくて、下げた"割合"で比較しないとあんまり意味がないんじゃないのかなあと思うんですよね。

というわけで、ざっくりこの「下げ幅比率」がどんなもんなのか調べてみました。

指標下げ幅比率比較

あんまり大昔の話を持ち出しても、皆様ご記憶に無いかと思います。まずは近いところということで、直近1年間の下げ幅比率を見ていきましょう。

日経平均直近1年間下げ幅比率

日付 終値 始値 高値 安値 前日比
2020年2月25日 22,605.41 22,949.37 22,950.23 22,335.21 -3.34%
2019年3月25日 20,977.11 21,267.41 21,275.43 20,911.57 -3.01%
2019年8月26日 20,261.04 20,325.44 20,329.01 20,173.76 -2.17%
2019年8月2日 21,087.16 21,211.06 21,211.06 20,960.09 -2.11%
2020年1月27日 23,343.51 23,427.90 23,463.89 23,317.32 -2.03%
2019年10月3日 21,341.74 21,422.22 21,437.74 21,277.36 -2.01%
2019年3月8日 21,025.56 21,339.17 21,359.32 20,993.07 -2.01%
2019年7月18日 21,046.24 21,336.80 21,347.84 20,993.44 -1.97%
2020年1月6日 23,204.86 23,319.76 23,365.36 23,148.53 -1.91%
2019年8月5日 20,720.29 20,909.98 20,941.83 20,514.19 -1.74%

ここ1年辺りだと、今日の下落がトップですね。ちなみに2位の2019年3月25日に何が起こってたのかしら?と思って眺めてみると、アメリカの指標がよろしく無かったようです。

ダウ平均直近1年間下げ幅比率

日付 終値 始値 高値 安値 前日比
2020年2月24日 27,960.80 28,402.93 28,402.93 27,912.44 -3.56%
2019年8月14日 25,479.42 26,035.08 26,035.08 25,471.59 -3.05%
2019年8月5日 25,717.74 26,259.23 26,259.23 25,523.38 -2.90%
2019年5月13日 25,324.99 25,568.06 25,568.06 25,222.51 -2.38%
2019年8月23日 25,628.90 26,134.21 26,320.29 25,507.18 -2.37%
2020年1月31日 28,256.03 28,813.04 28,813.04 28,169.53 -2.09%
2019年10月2日 26,078.62 26,425.86 26,438.04 25,974.12 -1.86%
2019年5月7日 25,965.09 26,276.90 26,276.90 25,789.71 -1.79%
2019年3月22日 25,502.32 25,844.65 25,877.01 25,501.45 -1.77%
2020年1月27日 28,535.80 28,542.49 28,671.79 28,440.47 -1.57%

同じレンジで、ダウ平均の値動きも見ておきましょう。先日の下落が下げ幅比率ではトップなのは同じですね。2位につけている8月14日って何だっけ?と思って調べてみたら、追加関税だの何だので米中関係がギクシャクし、景気の先行き懸念が高まっていたころですね。それに関連して、8月は何度も大きな下落が発生しています。

どうでしょう。たった1年ちょっとのことでも「そんなことあったなあ」と懐かしいくらいじゃないですか?

ただ今回の下げ幅のインパクトを見るには、もう少し長いレンジで見たほうが良さそうです。

日経平均直近10年間下げ幅比率

日付 終値 始値 高値 安値 前日比
2011年3月15日 8,655.00 9,235.00 9,287.50 7,862.50 -10.04%
2016年6月24日 14,952.02 16,333.87 16,389.17 14,864.01 -7.92%
2013年5月23日 14,483.98 15,739.98 15,942.60 14,483.98 -7.32%
2013年6月13日 12,445.38 13,038.02 13,050.11 12,415.85 -6.35%
2011年3月14日 9,620.49 9,575.00 9,817.50 9,520.00 -6.18%
2016年2月9日 16,085.44 16,666.79 16,668.70 16,025.94 -5.40%
2016年11月9日 16,251.54 17,281.95 17,427.71 16,111.81 -5.36%
2013年5月30日 13,589.03 14,072.90 14,098.16 13,555.66 -5.15%
2018年12月25日 19,155.74 19,785.43 19,785.43 19,117.96 -5.01%
2016年2月12日 14,952.61 15,426.27 15,437.22 14,865.77 -4.84%

日経平均がここ10年で最も下げたのは、日本人にとっては忘れられない2011年3月11日、東日本大震災のあとの3月15日のことでした。株式市場が再開した3月14日よりも、その翌日のほうが下げ幅が大きいのは、いよいよ原発が危なそうだとなったからと記憶しております。

3月11日の始値は¥10,350、1ヶ月後の4月11日の終値は¥9,712円。こう見ると案外動いていません。企業の業績に与えるインパクトはもちろん大きかったものの、復興需要への期待も大きく、全体としてはそこまで大きな動きにはなりませんでした。

ちなみに2016年6月24日はEU離脱の影響、2013年5月23日は中銀の介入縮小あたりによるものでしょうな。なお今回の下落はTOP10入りしていません。

ダウ平均直近10年間下げ幅比率

日付 終値 始値 高値 安値 前日比
2011年8月8日 10,809.85 11,433.93 11,433.93 10,779.05 -5.55%
2011年8月10日 10,719.94 11,227.92 11,227.92 10,662.04 -4.62%
2018年2月5日 24,345.75 25,337.87 25,520.53 23,923.88 -4.60%
2011年8月4日 11,383.68 11,893.79 11,893.79 11,365.74 -4.31%
2018年2月8日 23,860.46 24,902.30 24,903.68 23,849.23 -4.15%
2011年8月18日 10,990.58 11,406.27 11,406.50 10,881.60 -3.68%
2010年5月20日 10,068.01 10,440.21 10,440.21 10,042.46 -3.60%
2015年8月24日 15,871.35 16,459.75 16,459.75 15,370.33 -3.57%
2020年2月24日 27,960.80 28,402.93 28,402.93 27,912.44 -3.56%
2011年9月22日 10,733.83 11,121.89 11,122.12 10,597.14 -3.51%

同じようにダウ平均も見てみましょう。最大でも-5.55%ですので、狂気のような日経平均と比べれば随分とおとなしく見えますね(笑)。今回の下げは、過去10年間のワースト9になるようです。

眺めてみると、2011年の8月代に下落幅が上位が何件か食い込んでいます。この頃は、スタンダード&プアーズが米国債の格付けがAAAからAA+に引き下げた結果、世界的に株安が生じた時期になります。

2009年、リーマンショックからの戻しが一息ついた中で、まさにトラウマをえぐり出すような事件でした。

株はいま買い時なの?

ここからは歴史的な事実ではなく、完全に個人の所感です。

株価が急落すると「いまが買い時なのかな?」というのは多くの人が考えることだと思います。急落というと、株価がすとんと落ちて回復していくようなシナリオを期待してしまう人が多いみたいですが、実際はそんな生易しいものではありません。

例えばリーマンショックの場合、

  • ショック前より最大で53.78%下落
  • ショック前の金額に戻すまで5.41年後

でした。全然、買い場だとは思えませんね。

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例えばVIXショックのときのような、金融システムに起因するような下落は、比較的短期に戻します。一方で、今回のような実体経済そのものへのダメージに起因する下落は、そうはいきません。

経済への悪影響がどこまで広がるか分からない以上、急落はしづらく、悪いニュースが出るたびに、徐々に徐々にその事実が株価に織り込まれていきます。たとえ終息宣言が出たとしても、その期間の経済の停滞や、それに伴う消費・賃金の下落の影響は長期間に渡って発生し、真綿で首を絞めるかのような値動きをする可能性があります。

実体経済への影響が、バブルの崩壊のような需要が消し飛ぶタイプのものであれば、中央銀行が蛇口を前回にして資金を流し続ければ回復を加速することが可能です。

ところが今回のように、供給そのものがストップするような事態になると、下手に緩和をすると急速な物価上昇が生じる可能性があります。ただでさえ雇用への打撃が大きい中で、物価上昇は大きな傷みを伴うため慎重にならざるをえなくなります。

金利が下げづらい以上、債券価格も上がりづらくなりますし、信用そのものが縮小すれば商品の価格も動きづらくなる。今後の展開次第ですが、じっくりと体力を回復するために長期のリハビリが必要になる可能性があります。

「総悲観は買い」という言葉がありますが、信用不安からパニックが発生し、実体経済には変わりがないのに大きく売られるような状況下は確かに買いです。一方で今回は、経緯を慎重に見守り、経済への影響をひとつひとつ見極めながら価格形成を進めているような状況ですから、これから先も下げ続ける可能性もありますし、戻しもあまり早くはないんじゃないのかなあというのが個人的な所感です。

実際に、企業の倒産なども出ているようですし、これから更に悪くならないことを祈るのみです。

ではでは、今日はこのへんで。