とこんにちは、らくからちゃです。
12月だというのに全然寒くありませんね。コートなんて邪魔くさいので、セーターだけ着て通勤してたら、上司のおじさんから「寒くね?」と言われましたが、全く無問題の暖かさですね。
さてニュースを眺めていると、この陽気につられてか(?)随分と氷河期世代への就職支援が増えてきたような印象があります。ざっと拾ってみるとこんな感じかな。
- 厚労省、氷河期世代を10人採用 中央省庁で初 :日本経済新聞
- 就職氷河期世代対象の統一試験実施へ | 共同通信
- 就職氷河期世代限定の求人 2か月で80人が就職決定 | NHKニュース
- 就職氷河期世代の支援、600億円超を投入へ 政府方針:朝日新聞デジタル
- 就職氷河期世代の就労支援に1344億円 3年間で正規雇用30万人増 - 毎日新聞
- 倍率600倍、就職氷河期世代採用に応募者殺到 宝塚市「国や他の自治体も」 - 毎日新聞
倍率が600倍なんて令和のこの時代に氷河期の就職活動を再現したいんやろか?と思う事案もありましたが、どんな形であるにせよチャンスが増えるのは良いことです。
でも今までずーーーーっとほったらかしにしてたのに、なんで今さら?
「汚らわしい人間どもよ我が憎しみと苦しみを知るがいい」みたいに周囲のひとに呪いを撒き散らすタタリ神みたいなことしか言わなくなりシシ神様に救って貰うしかなさそうな人も多く見てきたような気がするけど、お腐れ様みたいに薬湯につけたら何とかなることが発見されたのかしら。
実際にどこまでこの流れが展開していくのかは未知数ですし、地方自治体がメインとはいえ行政主導で動いている点をみると、何か政治的な背景もあるんじゃないでしょうか。
氷河期世代の政治的影響力
表向きの理由としては、安倍ちゃんの謳う「一億総活躍社会」の一員として「ちゃんと働いて年金や健康保険料を払えや」、言い換えれば「このままじゃ社会保障がリアルガチでヤバいからアイツらにももっと稼いで貰わにゃ」なんて前提に乗っかった政策なんでしょう。また裏向きに理由としては、仲良しのパ◯ナへ便宜を図ってるだけじゃねーのかなんて見方もあるでしょう。
政治というものは多数の人の思惑によって動くものですので、その背景も単一ではなく複雑な想いが入り組んだ結果のものになります。答えは常にひとつとは限らず、色んな要素があるわけです。ただ唯一絶対の真理があるとすれば、政治家は選挙に勝たねばなりません。そして選挙に勝つためには、多くの人の支持を得る必要があります。
いわゆる「氷河期世代」とは、2000年前後に大学を卒業したひとたちのことを指します。いまが2020年ですので、いまの年齢でいえば40代前半頃になるでしょうか。
下図は、2019年に行われた参院選における有権者数をバタフライチャートにしてみたものです。超高齢化社会といわゆる昨今、世の中には年寄りしかいないようにも感じますが、人口分布を見てみると40代頃が一番のボリュームゾーンになります。そしてその次の大きな山にが70代の前半です。
70代がいわゆる「団塊の世代」、40代が「団塊ジュニア世代」と呼ばれているひとたちですね。
(総務省|令和元年7月21日執行 参議院議員通常選挙 発表資料より筆者作図)
人数が多く、政治的な影響力も強いはずならば、なんで今までほったらかしにされてきたのか。それを実際に投票に行った人の人数で見てみると、また違った景色が見えてきます。
実際の投票者数では、70代前半が非常に大きな塊になっているように見えます。
シルバーデモクラシーだのなんだのと言われていますが、足腰が悪く投票所に赴くのも難しくなるのか、75歳頃を境に投票率は下落していきます。また寿命による自然減もあるため細かく年齢を刻んでみていくと、普段わたしが耳にするほどには75歳以上の高齢者の投票数は大きくありません。
2019年は、まさに団塊の世代が有権者として最高に脂が乗っている時期といえるかもしれません。
団塊世代が望むもの
となれば、政治家も彼らの望むものを蔑ろにするのは難しいでしょう。
昔から「高齢者と政治」といえば、医療の問題が真っ先に上がるテーマでした。でも今の高齢者って、以前よりもずっと病院のお世話になる頻度は減っているんですよね。65歳以上で入院する人の比率も通院する人の比率も、ピーク時から3割くらいは減っています。
医療の問題は、高齢者にとっていまでも重要な政治テーマであることには変わりないでしょう。ただその相対的な重要度は下がってきている可能性は高いでしょう。
むしろ充実した「生き生きシニアライフ」を送るためには、氷河期世代の子供が頭の痛い問題になっているひとが多いのやもしれません。
「子供部屋おじさん・おばさん」なんて言葉が話題になりましたが、まっとうな職につくことが出来ずに、親元を離れられないひとが一定数いるわけです。「基礎的生活条件を親に依存している可能性のある人」という名目での調査結果がありますが、かなりの規模でいることが予想されます。
(出典:親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年) )
彼らの生活費を負担してきた団塊世代の親たちも、続々とリタイアし年金生活に入ることになり、収入的にも厳しい状況になっています。また第二の人生を送るために、家を売り払って田舎暮らしをしたい人もあれば、逆に都心のサービス付き高齢者向け住宅に入りたいなと思っているひともいるでしょう。
以前であれば「長男の嫁」の代わりに、家で面倒を見てもらうという選択肢もあったのかもしれません。ただ公的介護保険制度を中心に「身近な家族の存在が生存に必須な状況」が発生しないようにしてきた結果、その必要性も薄れてきました。
そういう層にとって、出ていって貰えない子供が重荷になっている可能性は高いんじゃないでしょうか。また自分自身が老いていくなかで、これ以上セーフティーネットとしての機能を果たせないと考える人が増えてきた。こう考えると、このタイミングで支援が増えてきた理由についても説明がつくような気がします。
政治的な問題を考えるときに併せて考えたいこと
支援が広がるのは良いことだとは思うのですが、それがどんな形になるのかはきちんとチェックしていないと、これ結局パソ◯が儲かるだけじゃねーのかみたいな話になったように、本人よりも同居している親が望む形にならないように推移を見守る必要があるのやもしれません。
あとこういう話を書くと「選挙に行かない当事者が悪いんだ」みたいな話になりがちですけど、それもちょっと乱暴だなあと思うんですよね。確かに年齢層だけで括れば、氷河期世代は非常に大きな有権者がいるわけですけど、その中でも今も苦しんでいるひとの人数は選挙結果をひっくり返せるほどのものではないでしょう。
だからこそ、ひとつひとつ、ひとりひとり、個々の問題に対して、みんなでしっかりと考えていく必要があるんじゃないのかなあなんて思う今日このごろです。
ではでは、今日はこのへんで。