ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

いつまで被災者を体育館に避難させるのだろうか

こんにちは、らくからちゃです。

世の中には、どうしてそうなっているんだろう?もっと良い方法は無いのかな?と思うことが多数あります。でもその大半は、私よりもずっと賢い人が既にアレコレ考えた結果、そうせざるを得ないか、非効率なようでもそのやり方が最善なため仕方なくそうしている例が殆どです。

外野の素人が、興味半分でブログに「なんか上手いこと出来ねえの?」とぼやいてみたところで「何も分かっていない素人はすっこんでろ」と炎上するのが関の山です。

とはいえやっぱり「アレってどうにかならんのかなあ」といつも思うのがありまして、それが「災害時に体育館に避難させられる一般市民」です。

いつまで被災者を体育館に避難させるのか

悲しいことに我が国は災害の被害に遭いやすい国です。地震、台風、噴火と、大なり小なり、年中どこかしらで、自宅から避難しなければならない災害が起きています。

体育館に避難している被災者をめぐり、膝をついて語りかける陛下のお姿も、なんだか見慣れたものになってしまいました。でもね、よう考えたら令和にもなって何をやってるんだと。夏は暑く、冬は寒い体育館や公民館に、プライバシーゼロの状態で押し込める。屋根があるだけで、野外生活者と殆ど変わらない。紛争地帯の難民キャンプでも、場所によってはもう少しマシかもしれない。

こうした状況を改善するために、東京都は災害時避難所に素早く間仕切りや簡易ベッドを届ける供給協定を・・・

www.asahi.com

って、そうじゃないだろ(゚д゚#)

そもそも心身ともに疲れ果てた被災者を体育館だの公民館だのに閉じ込めなきゃいけない状況が問題なワケじゃないですか。1日2日ならとにかく、それ以上の長期にわたるならば、ちゃんとした場所を用意してあげましょうよ。

まずは公営の国民宿舎。

www.kokumin-shukusha.or.jp

まずはこの種の公的宿泊施設を、被災者に無償提供しない?宿泊予定者には、事前に「災害時には被災者を優先させます」って断りを入れてそのぶん安く提供し、いつでも被災者を受け入れられるようにしておけば、色んな人が捗るような気がするんだよね。

ただこうした施設のキャパには限りがあるし、だいたい景勝地の近所にあるので移動も大変。だったら、もっと身近なところで民間のホテルや旅館と「災害時における宿泊施設等の提供に関する協定」を結んでいけば?という動きは、やった最近になって動きはじめてきました。

千葉県でも今年の4月になってやっとこさ、そうした協定がひっそりと結ばれました。

b2b-ch.infomart.co.jp

これがあったおかげで、今回の水害の時に被災者支援の助けになったのかなあ?と調べてみると、直撃のあった9日からやっと4日たった13日から利用開始。そしてこのアナウンスが出たのはほぼ一週間後の15日でございます。

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(出典:「災害時における宿泊施設等の提供に関する協定」について(令和元年9月15日)/千葉県)

少なっ!

えーっと・・・?千葉市内にホテルって全部で何件ありましたっけ??もともとキャパが少ない分しょうがないんでしょうけど、高齢者や障害者のみに限られ、結局「普通の人」は頑張って自分たちでなんとかしてね!という状況でしょうね。

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(出典:令和元年台風15号に伴う旅館・ホテルの提供について/千葉県

その後、流石にこれはヤバいとなったのか、追加された状況を見ると、随分と施設も増えて対象者の幅も広がっています。それはそれでめでたいことですが、こうした対応はもう少し迅速にできれば良かったでしょうし、本件に関するアナウンスも十分だったのかは是非反省会の項目に加えて欲しいところです。

復旧・復興のために避難都市があっても良くない?

ただホテルも営利事業ですので、事業が成り立つレベルでの代金を請求せねばなりません。そうすると、中長期的に利用するのは資金的にも困難でしょう。

となると必要になるのが仮設住宅です。

台風19号の水害でも、公営住宅や自治体の借り上げた住宅に入居できなかった人のために、仮設住宅が用意されるようです。

www3.nhk.or.jp

しかしですね、この仮設住宅というのも案外・・・というかかなりの費用がかかるんですよね。東日本大震災のときに作られたものについては、寒冷地仕様ということもあり、お値段は解体費コミコミでどーんと800万円となったそうな。(参考:【図解・社会】東日本大震災・仮設住宅1戸当たりの建設費用(2012年5月12日):時事ドットコム

わたしが小学生のときに、ボランティアで遊びに行っていた仮設住宅は、そりゃあもう酷いものでした。夏は暑いし、冬は隙間風が入ってくるし。まあ体育館よりはマシかな?って程度の代物でした。

最近はそこらへんの住環境も改善されてるのかなあとも思いつつ、そんなにお金をかけるんなら、最初から「被災時用に住める住宅」を作っておいて、繰り返し利用したほうが良くね?と思っちゃいますよね。

800万円なら5回転させれば4000万円、ひとり平均3年間住んだとしても15年間。十分ちゃんとしたお家がたてられそうです。

もちろん皆さん仕事もありますし、住み慣れた地域に住み続けたいと思うでしょう。でも、東日本大震災の例を取ってみても分かる通り、インフラもズタボロの中では商売になりませんし、日常生活を送るのも大変です。

ならば日本の何処かに「避難都市」みたいなものを作って、地域コミュニティそのままにそっくり避難できる場所があってもよいように思うんですよね。えーっと、なんか良い土地はねえかなあと思って地図を眺めてみると、なーんかちょうど良さそうなものがあるじゃないですか。このへんに。

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2020年の東京オリンピック開催後の選手村跡地は、晴海フラッグとして高級住宅エリアとして売り出される予定です。その価格の高さに反して、デベロッパーへの売却価格は公示地価の9割引というスーパー玉出もビックリのお買い得価格となっていることに疑惑を抱かれています。

いまとなってアレコレ言うのもですけども、やっぱり「選手村跡地」だからこそ、もっと未来につながる使い方をしたほうが良かったんじゃないのかなあと思うんですよね。

総戸数は5000戸ほどだそうですが、うち半分を被災者の仮住まい用、もう半分は5歳未満の子供の居る家庭用にでもして、流動性が高く、多くの人との出会いが生まれる「仮住まいの街」にしても良かったんじゃねえのかなあと思うんですよ。

日本全国すべてのエリアへアクセスするためのインフラが整っている東京であれば、被災地との行き来もしやすいでしょう。議員や官僚も、永田町や霞が関から話を聞きにいくには便利な位置です。いまの晴海フラッグの価格を考えれば、贅沢なのかもしれませんが、いいじゃあないですか。災害で経済的にも精神的にも傷ついた被災者に、多少贅沢な住まいを提供するくらい。

もし今回のオリンピックを「復興五輪」と位置づけるのであれば、傷ついた被災者を都心の真ん中に抱えるような優しさを示しても良かったじゃない。

何にせよ、これから先もこの国では至るところで災害は発生するでしょう。そのときに、「まだ被災者を体育館に避難させているのか」とため息をつかなくても済むように、しっかりと考えていかにゃなあと思う次第であります。

ではでは、今日はこのへんで。