ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

債券に投資するならアクティブファンドが良い?

こんにちは、らくからちゃです。

わたしはSBI証券、妻は楽天証券をメイン口座として利用しております。為替手数料の安い住信SBIネット銀行でドルが両替できるSBI証券で海外ETFを買って、楽天カードが使える楽天証券で国内投資信託を買うケチケチ運用ですね。

楽天証券って、毎月50,000円分まで楽天カードで投資信託を積立投資することができて、その分がポイント貰えるんですよね。マイナスの購入手数料(笑)。

www.rakuten-sec.co.jp

500円相当のポイントですけど貰えるものは貰っておきたい。折角だから、わたしの分も貰いたいなあと邪な気持ちで楽天証券の口座を作ってみましたが、さーて何を買おうか。

増やすことが目的ではなくて、ただポイントが欲しいだけ。買い付けた後に、値下がりせずに売り抜けて、ポイントだけゲットできるのが理想ですなあ。と思いながら、モーニングスターで最大下落率が低いものを見ていると、こんなものを見つけました。

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「ノーロード明治安田社債アクティブ」という、明治安田が出している国内社債ファンドです。名前の通り買付手数料はゼロで、中身はこんな感じ。

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劣後債中心の実にいかがわしい内容ですなー笑。

国内の社債でリターンを出そうとしたら、こういう構成になるのも致し方ないでしょう。特化型運用のため、その点でリスクはあります。ただこれらの会社の財務状況が大幅に悪化しない分には、大幅な値下がりはなく運用できるんじゃないでしょうか。

他の債券インデックス型投信は軒並み国債メインの運用で、類似の国内社債をメインに投資する様なファンドは中々見当たりませんが、運用手数料は0.243%です。だいたい債券へのインデックスファンドの0.1%代前半ですので、ちょっとお高めですね。

ベンチマークはNOMURA-BPIから金融債、事業債、円建外債、MBS、ABSを抜いてきたものを使うようですが、1ヶ月から短期まで基本的にずっと勝ってますので、手数料分くらいは働いてくれている模様です。

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さて株式では、アクティブ型ファンドがインデックス運用を上回ることは、かなり例外的なケースを除けばほぼありません。一方、債券では結構、アクティブ型ファンドが頑張っている例が見受けられます。

例えば「ボッタクリ」とよく言われるフィデリティ・USハイ・イールドという手数料が1%を超えるファンドがあります。こちらのパフォーマンスを同種のハイイールド債への投資を行うインデックスETFと比較したところ、かなり良いパフォーマンスを上げている例がありました。

www.yutorism.jp

 じゃあ何が違うんだろうね?と思って調べてみると、こんな記事を見つけました。

 

債券は違う: アクティブ運用の優位性

債券と言えばピムコ、ピムコと言えば債券と言えるほど、知らない人はいない会社でしょうけど、運用実績を見てもその座は揺るぎないものでしょう。

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(出典:「世界最大級」の債券運用会社 PIMCO(ピムコ)とは?「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」取扱い開始! | 新生銀行)

ただ最近のインデックス運用の隆盛に焦りを感じたのか(?)こんなことを言い始めたんですよね。

 アクティブ型債券ファンドがパッシブ型債券ファンドをアウトパフォームするのかと聞かれ れば、投資家は「ノー」と答えるでしょう。

「市場のパフォーマンスを上回る投資家がいれば、必ずそれを下回る投資家もいるはず。 アクティブ型運用戦略は手数料が高く、その多くは、手数料の安いパッシブ型運用戦略の パフォーマンスを下回るはずだ」。最近のアクティブ運用からパッシブ運用のファンドへの 資金移動に注目したメディアの報道は、主に株式市場に注目したものとは言え、このような認識を強く印象付けるものです。

しかしPIMCOの調査では、株式はともかく、債券については全く逆の結果が出ています。

冒頭は「キミらがインデックス運用のほうがええと思っとるのは知っとるで」から始まり「せやけどそれは、株式の話で、債券はちゃうんやで」と続けます。

下図は、インデックス運用に勝ったファンドの割合を並べたものです。確かに、株式はインデックスに常に負けっぱなしですが、債券は運用期間が長いほどインデックスへの勝率が上がっていることを示しています。

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もしこれが、たまたまの偶然でなく、本当に市場に勝つアルファを掴んでいるとすれば、その要因があるはずです。裏付ける理由として、レポートでは以下4つが上げられています。

102兆ドルのグローバル債券市場のおよそ47%を経済合理性を追求しない投資家が占めています

債券は、中央銀行が為替や金利を操作するケースに売買されるケースがよくあります。つまり経済合理性だけでなく、政治的な目的を持って売買される時には、プレミアムがつく場合があります。また銀行や保険会社なども同様に、自己資本規制などを掻い潜るために、若干損をしても売買するモチベーションがあり、これらがアクティブ運用の利益の一部になります。

債券インデックスの中身は頻繁に変わります

ダウ平均であれば30社、S&P500であれば500社の株価によって計算されますが、その中身はそうそう頻繁に変わりません。一方債券は、満期になれば、組入銘柄から外れざるを得ません。よって、かなり高頻度でインデックス自体の構成が変わり、そのタイミングではインデックスは多少不利でも売買せざるを得ず、アクティブファンドは利益を得られます。

株式と異なり、債券には満期があるため市場での売買が活発となります

もうひとつ重要なこととして、株式市場で新規株式公開がごく稀にしか行われないのに対して、債券は定期的に新発債が発行されます。そして発行した分がきちんと捌けるように、少し割安な価格で放出されます。インデックスは、すでに売られた段階の債券しか扱えないので、この利益を得ることができません。

構造的な戦略傾斜は、安定的な付加価値の重要な源泉です

株式であれば、時価総額をそのまま受け入れれば、それが市場の総意によって定まった最適な投資比率といえるかもしれません。ただ債券の場合は、市場での売買量も株式ほど多くはありませんし、最適ミックスはまた別の結果になります。

すごくざっくり言うと「債券市場は常にIPOが行われているようなもんで、インデックスは新株には投資できないため儲け損なう」というイメージです。

IPOが儲かる、というのは良く言われていますよね。色んな理由がありますが、上場済みの銘柄を買う場合と異なり、すでに行われた取引結果はありません。売出価格が本当に適正化どうかをしっかり分析する必要があります。その分のコストがかかる点や、売れ残るわけには行かないことから、割安な価格で売り出されることが通例です。

債券も同様に、新発債が出されるたびに、金額が妥当かどうかアナリストが分析する必要があります。ただその分、本来の適正価格との差分が加味され、それが経費の源泉になります。

本当に債券はアクティブファンドが良いの?

というのは、あくまで当事者であるピムコの主張にすぎません。じゃあ、実際のところどうなのかね?と思い、パフォーマンスを見てみることにしました。

ピムコ社は、ETFにも、その名も「BOND」というそのものズバリな名前のETFを出しています。その運用実績はこんな感じ。

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(出典:http://www.pimcoetfs.com/Funds/Pages/BOND.aspx)

ETFなので、純資産価格と市場価格で若干の乖離はありますが、どちらも概ね6ヶ月以降はインデックスを上回るリターンを出してますね。

インデックスは、債券ではおなじみの"Barclays U.S. Aggregate"を使っている模様ですが、やっぱり現実のETFと比べないと納得できん!という方も多いでしょうから、その観点からも比較してみましょう。

今回比較する対象と発行元および経費率はこんな感じです。

  1. BOND・・・PIMCO社 0.55%
  2. BND・・・Vanguard社 0.04%
  3. AGG・・・BlackRock社 0.05%
  4. SPAB・・・Spider社 0.04%

見てのとおり、PIMCOのBONDは10倍近く経費率が高いわけですね。で、記録の比較的る最長期間で比較するとこんな感じ。

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経費率をはねのけて、BONDが圧勝の結果になりました。うーん・・・でもこれ、最初につけた差が大きかっただけじゃね?と思い、期間を調整するとこんな感じ。

直近5年だとこんな感じ。

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なお1年だとこう。

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負けとるやーん、と。

PIMCOさんの言う通り、特に短期間だとアクティブ運用の優位性を出すことも難しいのかなあ?と思わんでもないのですが、やっぱり言っていることをそのまま額面通り受け入れるわけにもいけなさそうです。

ただこの一連の話は「インデックスというものがどういうもので、どういう場合に力を発揮するのか」ということを考えるには面白い材料だと思うんですよね。ただ何も考えずに、セオリー通りやりたいだけならば考えるほどのことでも無いと思うのですが、あれこれ考えてみるのが好きな人は、掘り下げて見ると面白いかも知れません。

ではでは、今日はこのへんで。