こんにちは、らくからちゃです。
いや、この記事を読んでていて思ったんですけどね。子供の頃は、高くて中々食べさせてもらえなかったけれど、大人になった今、これでもか!ってくらい大量に食べたくなるものってあるよね。
人それぞれ、『大人買いしてェ・・・』って思う対象は違うと思うのですが、わたしの場合はこいつ。
ヨーグルトレーズン
あのさ、ヨーグルトレーズンってさ、
超うまくね?
食べたことない人がどれくらい居るのか分かんないけど、食ったこと無い人には言わせて貰いたい。きっと近所のスーパーにも売ってるから、今すぐ食べるべき。ちなみに、さっきのAmazonから頼めば、最速今日中に届くらしいぜ!
干しぶどうに、ヨーグルトでコーティングしただけの食い物だけど、ヨーグルトだけで食べるのと、干しぶどうだけで食べるのとではぜんぜん違う。奇跡のコラボレーション。
親が『ポテチとかスナック菓子は、体に悪くていかん』と野菜ボーロだの食べる煮干しだの、子供的にはビミョーと言わざるを得ないお菓子しか食わせてもらえなかった子供時代。そんな中で、こいつだけは人一倍光り輝いて見えた。
いつも、『半分だけですよ!』と言われていたのに、一袋まるまる食べて、怒られていたなあ。とにかく、ヨーグルトレーズンは人を夢中にさせる何かがある。あと、ポテチだの唐揚げ棒だのと比べたら、食べることに対する『罪悪感』みたいなものは凄く少ない。これ、ヨーグルトだぜ?レーズンだぜ?きっとお腹にも優しいし、ミネラルも豊富だぜ!
大人になったいま、アレコレ言ってくるおかんは居ない。もうポテチも食い放題だ!俺は大人だ。自分の金で何でも好きなものを買ってやるわああああああと勇んで、お菓子コーナーでヨーグルトレーズンを探すんだけどさ。
むぅ・・・、高い (;・`д・́)...ゴクリ
近所のスーパーとかだと、1袋200円以上もする。半分しか食っちゃいけねーって言ったおかんの気持ちが分かったね。こりゃ、庶民がばくばく食っちゃいけねー食い物だ。おかんが『食い過ぎんな』と言っていたのも、『食い過ぎると体に良くないぜ!』って話ではなく、『たけーんだから味わって食べろよ』という意味だということが大変良く分かる。
でもなあ、腹いっぱい食べたいんだよなあ・・・。なんでこんなに高いんだろう。
作るのにお金がかかっているのかな
というわけで、わたしも原価コンサルタントの端くれとして、この『ヨーグルトレーズン』という商品について考えてみた。
さて『ヨーグルトレーズン』という商品が、分類上どういったものに該当するのかは分からないが、仮にビスケット類・干菓子ないし、その他のパン・菓子だと仮定した。このカテゴリは、売上高総利益率で見ると比較的高い部類に入る。
(出典:食品企業財務動向調査報告)
売上高総利益率、つまり(売上高-売上原価)÷売上高で見ると、35%を超えている。これがどういった水準にあるのかは、業種別の比較でも見ていく必要がある。
(経済産業省企業活動基本調査 を元に筆者作図)
製造業全体における売上高総利益率が18.101%となっている中、食料品製造業は23.926%となっており、製造業全体の中でも、付加価値額の高い部類に入ることが分かる。その中でも、菓子類の売上高総利益率は高い。
『ビスケット類・干菓子』については、小資本の企業の健闘ぶりも読み取れて興味深い。確かに、いわゆる『駄菓子』を製造しているメーカについては、有名な製品を有するメーカーであっても非上場の企業も多い。
薄利多売かと思われることも多いが、販路をきちんと確保することができれば、大規模化は難しくとも経常的な利益は生みやすい構造にある。市場規模そのものは大きくなくとも、信頼と実績がモノを言う世界であり、何十年とロングセラーを出している商品を握っている企業の社歴は比較的長い。
ぶどうとヨーグルトとTPP
ただ残念なことに、財務諸表が公開される上場企業は少なく、『ヨーグルトレーズン専業』の企業の公開情報を得ることは個人の調査の範疇では不可能であった。おそらく、食品業であることから、特に衛生面への配慮も必要であり、乾燥機等に係る償却費の固定費負担も大きく、原材料費の比率は少ないものと予想される。
とは言え、原材料費は、比較的情報を得られやすい部類にはいるため考察してみたい。
手元にあるヨーグルトレーズンの原料欄を見てみると
- 干ぶどう
- 砂糖
- 植物油脂
- 全粉乳
- 発酵乳粉末
- 乳糖
- ココアパウダー
- フラクトオリゴ糖
- ビフィズス菌
- 乳酸菌
- 乳化剤(大豆由来)
- 酸味料
- 光沢剤
- 香料
とある。なんだかお腹に良さそうだ。さてこの表示順であるが、加工食品品質表示基準により、原材料の占める重量の割合によって表示されることが原則とされている。
食品添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多いものから順に、その最も一般的な名称をもって記載すること。ただし、2種類以上の原材料からなる原材料(以下「複合原材料」という。)については、次に定めるところにより記載すること。
言わずもがなであるが、干しぶどうが最も主要な原材料である。ところで、皆さんは普段口に入れるぶどうが、どこで生産されているのかご存知だろうか?
国内に限っていえば、山梨が大きく他を引き離して1位になっている。しかし、ぶどうについては、ここ最近その輸入量が急増している。
ここ10年間で、1万2千トンから2万2千トンへとその輸入量は急増している。ここまで大量の輸入品はどこからもたらされたのだろう?
国内のぶどうの輸入元は、その多くが『チリ』『アメリカ』であり、両者で98%にもなる。特に注目すべきは、1位のチリである。近年『チリワイン』も随分市民権を得てきたが、世界でも有数のぶどうの生産地である。2007年、チリ国と我が国の間に、『ぶどうの輸入』について、大きな変化が起こった。EPAの締結だ。
現在、我が国におけるぶどうの輸入に係る関税は、
- 毎年3月1日から同年10月31日までに輸入されるもの ・・・ 20%
- 毎年11月1日から翌年2月末日までに輸入されるもの ・・・ 17%
とされている。国内の生産シーズンに合わせた『配慮』が取られた関税であるが、チリについては、2015年現在、8.5%と2.1%とされている。これは、2007年に結ばれた『日本チリ経済連携協定』により、ぶどうの関税を段階的に廃止することとなったことに由来する。
ちょうど、同協定が結ばれたのと、時を同じくするように、その輸入量は増加している。現在、TPPに関する議論が行われているが、個人の感想ではあるが、主に生産者の視点にたって議論されているように感じられる。TPPが結ばれ、アメリカやカナダ、オーストラリアといった各国からの輸入品の関税がすべて撤廃されれば、一般市民の生活に生じる影響は非常に大きい。
無論、ぶどう輸入量の増加のすべてが、チリとのEPAだけで説明出来るものではない。ただ、何らかの影響を与えるものであったのは事実であろう。このぶどうの輸入量からも、TPPの締結は我々の食生活にも大きな影響を与える事象であることを、十分に理解すべきなのである。
しかし、国内の生産者に与える影響も考えなければならない。しかし、それは悲観すべき点ばかりでもない。
前掲のグラフでは、最下段の折れ線が輸出額を示したものであるが、ここ3年でぶどうの輸出額は3倍に増えている。主な輸出先と輸出額は下記のとおりだ。
お隣の台湾や香港の比率が高いが、ここで注視すべきは、単価である。輸入品の5倍以上の価格で輸出しているのだ。今後、各国の市民の生活への意識が高まるとともに、食品への求める水準は向上していくだろう。安心安全だけでなく、我が国の高い消費者の水準に応えるべく、培ってきたノウハウにより、国際的な競争の中でも、十分に戦う事のできる生産者も多い。
我が国の生産者は、付加価値の低い、大量消費用の生産から、『メイドインジャパン』ブランドの高付加価値型農産物の生産へとシフトすることにより、より所得の水準を上げることの出来る可能性もある。
農産物と一口に言っても多種多様であり、ぶどうのような果物は比較的輸出に強いのも事実である。しかし、一辺倒に『保護』を打ち出すのではなく、攻める戦略に切り替えていかなければ、国際的なプレゼンスの低下していく中で生き残ることは出来ない。
一方、ヨーグルトレーズンのもうひとつの原料である『ヨーグルト』。つまり『乳製品』はTPPにおける主要5品目の対象となっている。この選択が、我が国の酪農業の今後より一層の発展にあたり、吉と出るか凶と出るか?どの程度、長期的な国家戦略も交えた議論が行われたのだろうか。
我が国の農業の歩んできた歴史は、多様な自然をもつ国土の姿と合わせて、独自の発展を遂げてきた。それは、一朝一夕に盗めるものではない。美しい自然と『麗しき田園風景』、あと庶民の食卓を守るために何を選ぶべきか?TPPの議論において、『非参加者』は、誰ひとりとして居ない。
(参考:果物ナビ)
参考
ヨーグルトパフェについて語るね? - 今日はヒトデ祭りだぞ!
- [あとで言及する]
言及するか。
2015/10/03 13:59
とか言っておきながら、スルーしていたので、今更言及。なんか、同じようなこと書きたかったつもりなんだけど、何か似ていないなあ。あれええ?