ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

知的好奇心を満たす『よみもの』 17選

こんにちは、らくからちゃです。

今日もぶらっとネットサーフィンをしていたら、こんな記事を発見いたしました。

よくブログで自慢気に「毎月100冊本読んでます」とか言う奴いるけどさ
俺がそこの何に感心するかって"本を100冊読む努力"より"読みたい本を100冊も探せた事"なんだよね。
前は「少しの知識欲さえあれば読みたい本なんていくらでもできるだろ」と思ってたけどさ。
最近暇ができていざ読書習慣をつけようと本屋行ったら何も読みたい本がないのな。
なんか"胡散臭い政治本" "超絶難しそうな技術書" "胡散臭い自己啓発書"しか眼に入ってこない。
小説という手もあるが個人的に物語は小説より映像派なのであんまり…
ベストセラーコーナーもなんか「ブログにでも書いてろよ…」ってレベルの新書が並んでる。
仕方なく本棚から探していくんだが砂漠でコンタクト探してる気分だ。

分かる!分かるぞ、その気持ち!

職業柄、会計や技術に関する分野の本を読むことが多いのですが、たまには自分の世界を広げてみようと、本屋さんで新しい本を漁ってみても、中々いい本に巡りあうことって少ないんですよね。

『売れてます』みたいな本を手に取ると、『幼稚園児向けか?』と思うような薄っぺらい内容の本だったり、『これ、本当にみんな理解して読んでるの?』と思うような半分著者の自己満足で書かれたような本だったりすることが多い気がします。

いっぱい失敗して自分なりの選び方を身に着けていくしかないような気がします。とはいえ、最初から『ハズレ』ばかりひいてしまうと、挑戦していく心が失われていってしまいますよね。

そこでまずは、個人的に『これは当り』と思った本を色々と列挙してみようと思います。何が自分にとっての『良書』か?は人それぞれ違うと思いますが、わたしの場合、専門以外の分野において、予備知識なしで読むことが出来た上で、新しい領域を開拓できる『よみもの』が好物です。ですので、人によっては『そんなん定番やんけ』というものから、『マニアック過ぎね?』というものもあるかもしれませんが、『よみもの』がお好きであれば、参考になるかもしれません。

いっくぞー( ・`д・´)

経営

新しい市場のつくりかた

新しい市場のつくりかた

新しい市場のつくりかた

 

 まずは軽めのものから。『客がほしいのはドリルじゃない。ドリルで開けた穴だ』というのは経営の世界でよく知られた格言であるが、その意味は変化しつつある。かつて、マーケティングの役割は、市場を正しく分析して経営を行うことであったが、いまの時代は市場そのものを作り出すことが重視される。

ビジネス書の中には、色々な企業の成功事例をまとめたものが多いが、本書にも様々な企業の成功例が出てくる。ただ、本書で取り上げられる多くの企業は、他の本と異なり聞いたこともないような中小企業が多い。そんな中小企業が、『新しい市場』をどのように切り開いていったのかの例が非常に豊富であり、『思わず誰かに話したくなる』ような事例ばかりである。

著者の一貫した主張としっかりしたフィールドワークの結果に基づいた内容で構成されており、『読み物』としても読後感は爽やかである。

ザ・ゴール

ザ・ゴール

ザ・ゴール

 

 お次も定番書から。世界中のビジネスマンにとって、聖書の次によく読まれていると言っても過言ではない(?)名著中の名著。ある『工場』の生産活動の改善を命じられた主人公が様々な人々の利害関係を調整しながら『ゴール』にむかって突き進む物語。

本書の中で解説されている『制約の理論(Theory of constraints)』は、これを教えないビジネススクールは無いと断言することが出来るほど広く普及した内容である。そして、このテーマを、敢えて『教科書』ではなく『小説』の形で解説したことも興味深い。真実を伝えるためには、必ずしも実例でなくとも良いということがよく分かる。

ビジネスの教科書としても、『これ読まへんかったら始まらへんやろ』という名著であるし、純粋に『読み物』としても面白い。

経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

 

 そろそろ変化球を投げてみたい。著者の山田真哉氏は、『さおだけ屋は何故潰れないか』『女子大生会計士の事件簿シリーズ』で有名な公認会計士であるが、今回は敢えて代表作ではない本書をおすすめしたい。

本書は、平安末期の経済環境について前提知識ゼロから読み進める事ができる。『悪役』として描かれることも多い平清盛だが、その経済政策や国家経営観については、今の時代から読み解いてみても中々面白い。

余談ではあるが、神戸っ子にとって平清盛公は、神戸港の礎を築き、海外との交易を積極的に進め、ついでに短期ではあるが都を持ってきてくれた『地元の英雄』の一人である。神戸で育ち、大阪大学文学部で学び、公認会計士となった山田真哉氏にとっては、思い入れのある一冊に違いない。

バトル・オブ・シリコンバレー

バトル・オブ・シリコンバレー [DVD]

バトル・オブ・シリコンバレー [DVD]

 

平氏は瀬戸内海を拠点に据え、瀬戸内海交易、そして日宋貿易を通して経済的な基盤を築いていった。それは、瀬戸内海の海賊達を自らの傘下に組み入れることによって実現したものであった。自由な生き方をする海賊には、現代でも憧れを抱くものは多いようで、トナカイやらロボットやら骸骨やらで構成された一味が、謎の秘宝を求めて旅をする物語は未だに人気が衰えることはない。

かつて、「海軍に入るくらいなら海賊になった方がいい」と語った男が居た。スティーブ・ジョブズ、そしてそのライバルのビル・ゲイツは現代を代表する経営者と言っても良いだろう。本作は、そんな二人の若かりし頃の、挫折と挑戦の日々を描いた名作である。我々が普段目にする『パソコン』がどういった戦略をとって、ビジネスとして成立してきたのかがよく分かる。

うん、本じゃないの知ってるけど、どうせみんな字幕読むから『読み物』でいいでしょ?なお、原題は『Pirates of Silicon Valley』なわけだけど、こっちのほうがかっこよくていいなあ。


Pirates of Silicon Valley - Great artists Steal

科学

コンピュータはなぜ動くのか?知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識

コンピュータはなぜ動くのか?知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識?

コンピュータはなぜ動くのか?知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識?

 

 パソコンの歴史を振り返ってみたが、『コンピュータ』がどうして動くのかを理解しているひとは少ない。せいぜい、『あー、あれでしょ。0と1でいろんな事が表現出来るんでしょ?』というのが一般人のコンピュータに対する理解である。

コンピュータの急速な発展にともない、プログラミングは随分と『機械』から離れてしまった。専門にプログラミングを学んだような人であっても、『メモリ』や『CPU』の役割くらいは知っていても、それぞれの機器がどのような構造を持ち、どのような理屈で演算を行っているのかまで理解しているひとは少ないように思われる

そういった知識が無くとも、日常生活や仕事を行うにおいて差し障りはないし、知っていたとしても役に立つ機会は少ないだろう。だが、普段我々が接しているものが、どういった理屈で動いているのかを知るのは、中々有益であると思う。

眠れなくなる宇宙のはなし

眠れなくなる宇宙のはなし (宝島SUGOI文庫)

眠れなくなる宇宙のはなし (宝島SUGOI文庫)

 

コンピュータに関する知識が、我々の生活に直接恩恵を与えているのに反し、『天文学』は、日常生活において(少なくとも直接は)最も役に立たない分野の1つである。

しかし、空を眺めるという行為は、人類が太古から続けてきた営みの1つである。特に本書は、そんな宇宙に対する見方や考え方、わかってきたことについて、人類の歴史と重ねあわせながら、ひとつずつ紐解いていく

様々なトピックスが取り上げられているが、あまり深入りせず、人類が分かってきたことの順番に合わせて、一歩ずつ進んでいくので読みやすい。ただ、タイトルに有る通り、眠れなくなる可能性があるので、ご注意されたし(笑)

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

眠れない一族―食人の痕跡と殺人タンパクの謎

 

 そしてこちらは、本を読んでいなくても『眠れない』病を持った一族の物語。眠ることができず、精神を病みながら命を落としていく。そして、どうやらその病気はある特定の一族に発生する。恐ろしい病の名は『致死性家族性不眠症(FFI)』。近年、科学者達の長年の探求によって、答えが見つかった。それは、細菌でもウイルスなどでもなかった。異常プリオン(タンパク質)だ。

致死性家族性不眠症という病は、非常に珍しいものであるので、耳のしたことはないかもしれないが、『BSE』ならば聞いたこともあるだろう。BSEもまた、異常プリオンによって生じるとされている。

まるでミステリーを読む気持ちで、恐ろしい病の研究の歴史を追っていたはずが、気がつけばすぐ隣に犯人がたどり着いたようで、ぞっとする一冊である。

なお、生物学っぽいものはこちらのほうにまとめてみたのでよろしければぜひ。

歴史

海の都の物語

海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)

 

 眠れない一族は、イタリアはヴェネツィアの一族であったので、お次はヴェネツィアの歴史でも。塩野七生氏の代表作といえば、なんといっても『ローマ人の物語』であるが、ここではあえてこちらを推したい。(ローマ人の物語長いし)

国家の戦略は大きく、『大陸国家』と『海洋国家』に分けられることが出来る。ローマもポエニ戦役後、地中海の広範囲において制海権を保持し、『我らが海』としたが、基本的な基盤は大陸にあった。一方、ヴェネツィアは、その歴史が始まってから終わるまで、常に命運は海とともにあった。

海洋国家の強みは、少ない人口で大きな富を築くことが出来る可能性を有していることだ。これから、ますますの人口減少が進んでいくであろう我が国にとって、有益なヒントは多い。

仁義なきキリスト教史

仁義なきキリスト教史

仁義なきキリスト教史

 

 ヴェネツィアでは、福音書記者のマルコ、つまり『新約聖書の著者の一人』という大変ありがたいお方を守護聖人に掲げていたが、ヨーロッパの歴史を学ぶにあたり、やはりキリスト教の知識は避けて通れない。

聖書の話は、世界で最も広く知られたストーリーではあるのだが、何だかありがたいのか重箱の隅をつついているのかよくわからなくなる話も多い。うーん、この『どうしてそうややこしいことになっちゃったのかしら感』はどこかで聞いたことがあるような・・・とおもっていたら思い出しました。任侠道です。といったようなお話。

全編広島弁の極道物語のような書き口であるが、改めて内容を見ると『キリスト教のたどってきたしょーもない抗争の歴史』の一端がよく分かる。「あいつら、言うてみりゃ人の罪でメシ食うとるんで」というのは名言。

思想

哲学的な何か、あと科学とか

哲学的な何か、あと科学とか

 

 宗教は信じることから始まるが、哲学は疑うことから始まる。そして疑った結果、『どうやらこの辺は信じられるかも』といった知識の体系が科学となる。

普段は、すぐに役に立つ『科学』の知識があれば便利に生きていくことはできるけれども、新しい何かを生み出すには『考え方そのもの』から疑ってかかる必要もある

例えば『意識』の問題。我々の体は、つきつめていけば元素の固まりでしか過ぎない。であれば、全く同じ構成を持った肉体を再現することが出来れば、それは『もうひとりの自分』といえるのだろうか?いや、そもそものところ『意識』とは何なのだろうか?本書の大部分は、インターネット上で公開されているため、この話もこちらから読むことが出来る。

 が、結論については買ってみてのお楽しみとなっているので、ぜひ気になる方はご購入いただきたい。なお、哲学やらなんやらの本は、家内がいろいろとまとめていたのでご興味があるかたはこちらもぜひ。

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

 

 科学における新しい考え方というと、やはり『複雑系』に触れずにはいられないだろう。現代社会は、様々な、人や組織の相互の依存関係によって成り立っている。同じような性質をもつ対象Aと対象Bにたいして、同じような力を加えても、その反応は全く異なることがある。それは、それぞれの対象がおかれた環境、つまりネットワーク上での立ち位置や、ネットワークそのものの構造の違いによっても生み出される。

例えば、誰かのある特定の発言が、瞬く間にリツイートされていったり、しょうもない記事が一気にホットエントリーに上がるような『バズ』といった現象も、同じような行為振る舞いであっても、ネットワークの構造の差で全く異なる結果を生み出す。

これは、経済学における『デファクト・スタンダードの形成』といった議論にも繋がっていく。何故Windowsは市場を席巻することが出来たのか?Suicaはどうしてここまで普及したのか?何故アメリカでは未だにヤード・ポンド法を使うのか?その要因分析を学生時代に行っていたが、なかなか楽しかった。関連書籍についても知りたい方はこちらもどうぞ。

ウィキノミクス

ウィキノミクス

ウィキノミクス

  • 作者: ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ,井口耕二
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2007/06/07
  • メディア: 単行本
  • 購入: 10人 クリック: 301回
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 インターネットの世界で広く普及したデファクト・スタンダードには、いわゆるLAMPをはじめ、無償のボランティアたちによって作られたものも少なくない。本書は、そんな新しい時代の、企業や経済的利益を主としない『マス・コラボレーション』について触れた本である。

なーんて書きながら、本書が書かれてからもうすでに10年近く経過しようとしている。本書が書かれた時代は『Web 2.0』なんて言葉が喧伝され、アメリカではオバマ大統領、日本では民主党政権が大きく政治の世界を塗り替えようとしていた。その背景には、急速に力を持ち始めた『ネット社会』の影響も大きい。

勿論、いまでも我々はLinuxの環境を便利に利用しているし、Wikipediaのページはどんどん増えつつある。しかし、本書が掲げた未来と、どうやら違った未来にたどり着いてしまった感は否めない。ネット社会の更なる拡大は、群衆の叡智の更なる拡大には働かず、デマに躍らせる愚衆を大量発生させ、『みんなの意見は案外正しくない』世界に落ち着いたように見える。

なので、本書を取り上げるのは『今更?』といった感はあるが、だからこそあの頃に夢見た未来をもう一度思い出し、これから先すすむべき未来を考えてみるのも悪くなかろう

社会

反社会学講座

反社会学講座 (ちくま文庫)

反社会学講座 (ちくま文庫)

 

 社会の変化について、主観ではなく客観で分析するには統計結果は必須の情報である。にも関わらず、自分の主観で物事を語ったり、統計結果を捻じ曲げて解釈をする人は絶えない。そしてなぜか、そういった人々が『正統派』としてニュースの解説席に座っていることも多い。

本書は、そんな『正統派社会学』に対して『んなことあるかーい』と、データを元に様々な角度で切り込んでいった『統計漫談』の書である。例えば、『少年犯罪増えてない論』など、何故か定期的に持ち上がる話題は、かなりの部分が本書で既にカバーされている。

本来社会学は、経済学や政治学のカバーできなかった社会科学の領域について、丁寧に拾い上げていくことが目的のひとつである。そう考えれば、『こういう社会の見方も出来るんじゃねえの?』とひとつずつ指摘した本書は、最も『正統派社会学』のような気もする

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える

  • 作者: アビジット・V・バナジー,エスター・デュフロ,山形浩生
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2012/04/03
  • メディア: 単行本
  • 購入: 20人 クリック: 943回
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社会の問題を考えるにあたって、やはり多くの人が最も関心を寄せるテーマはお金の問題。最初にお断りしておくが、軽めのタイトルに反して、本書はかなり大真面目な経済学のテキストである。

本書で取り上げるのは、『貧乏人を救うためには何が必要なのか?それを考えるためにも、貧乏人の実態をちゃんと捉えよう』というテーマである。そのため、『経済学』とタイトルにはついているが、社会や政治も含めて、大真面目に『貧乏人』についてとらえている。例えば、ノーベル経済学賞を受取した『グラミン銀行』の例についても、有効に働く条件とその限界について、しっかりとした分析結果が述べられている。

なお余談ではあるが、本書の翻訳は超上級はてなブロガーの山形大先生の手によるものである。たいへん読みやすくて良かった。

「はだかの王様」の経済学

「はだかの王様」の経済学

「はだかの王様」の経済学

 

 貧乏や貧困といった問題は、古くから経済学者がテーマにしてきた問題であるが、やはりこのテーマについては『カール・マルクス』は外せないだろう。ところがあの髭面のおっさん、何が言いたいのやらさっぱりわからない。一度大学の図書館で『資本論』を読んで見たこともあるのだが、わたしには

(゚Д゚)ハァ?

という残念な感想しか抱くことが出来なかった。

本書は、そんなマルクスの主張の中から『疎外』というテーマに対して『はだかの王様』を例にとって、『資本という存在は、本質的に自己増殖の性質を持っており、ほっといたら創りだした人間すら支配されちまうぞ』という文脈で語っている。

本書については、山形先生他、色んな方が『ツッコミ』をいれてはいる。ただ、議論の厳密性やマルクスが本当に言いたかった話かどうかはおいておいて、単独の『よみもの』として読めば、なるほどねぇと思うところも多く読みやすい。

現在官僚系もふ

[まとめ買い] 現在官僚系もふ

[まとめ買い] 現在官僚系もふ

 

マルクスの提唱した社会主義を標榜した国家は、その多くが20世紀中に消えてなくなった。 良く『社会主義の駄目な理由』として、頑張らなくとも所得が変わらないため『勤労意欲』が低くなったという言い方をするひとがいるが、それだけではなかろう。その理屈が正しいとすれば、我が国でサービス残業が根絶されないのは何でやねん、という話になる。

資本主義国家では、需要と供給は市場によってコントロールされる。一方、社会主義国家では、官僚によってコントロールされる。その官僚たちの能力が、処理すべき情報に追いつかなかったため、生産がどんどん非効率になっていった要素が大きいのではないかと思う。(データがないためあくまで個人の感想です)

社会主義を直接標榜しては居ないものの、我が国は『最も成功した社会主義国家』なんて言われることがある。それは、社会主義の肝である官僚たちが、なんやかんやでそれなりに優秀だったことが大きいのではなかろうか。そんな日本の官僚の中でも、予算編成という最も強大な権力を司る財務省は非常に大きな権限を持つ。

本書は、そんな財務省に、うっかり一種国家公務員として入り込んでしまったいわゆるFラン大卒生の奮闘記を描いた物語である。勿論フィクションではあるが、農水省や経産省、外務省、県庁、さらに税務署まで各関係機関と財務省との関係が描かれており、中々興味深い。

中央省庁の仕事についての物語は、そこそこあれど、漫画となるとかなり少ないと思う。勿論、丸飲みにするわけにはいかないが予算ができるまでや、中央省庁の仕事についての『雰囲気』を掴むには中々良いと思う。

まあ、DVDも入れたんだし、漫画も良いよね?

古典

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)

 

これで最後だ。最後に何を持って来るべきか、かなり悩んだが、ここはあえて古典を選んだ。著名な学者の書いた本といっても様々だ。たいていは、専門的で高度な知識が求められる。そうでなくとも、その時代や地域での『知ってて当然』といった知識が求められる。本書にはそういった要素が比較的少ない。

『アダム・スミス』の名前は、高校の教科書でも出てくるくらいだから、比較的多くの人に知られて居るだろう。『神の見えざる手』という言葉を聞いたことがある人も多いはずだ。しかし、原著である『国富論(諸国民の富)』まで読んだとなると数は大きく減るだろう。

古典というと、とっつきにくい印象があるかもしれないが、本書は『ピン工場の例え』など、現代でも十分に通用する一冊だと思う。時を越え、場所を越え、すべての経済学の基礎となり、批判され、語り継がれてきた一冊なので、経済について学ぶのであれ、ぜひ手にとって見ても良いだろう。

 さーて、いろいろ書いてみましたが、いかがでしたでしょ〜か!何やら色々と突っ込みどころも多そうな気も致しますが、みなさまの豊かな『読書ライフ』の何らかのお役に立てば幸いです。