こんにちは、らくからちゃです。
さて、いつもの通りぼんやりホットエントリーを見ていると、ちょっと気になる記事を見つけました。
へえ。ローマ字入力って『ゆとり教育弊害』だったんだ( ゚д゚)... と、中々楽しく読ませて頂きました。かな入力と言えば、この業界における左利きくらいの少数派ですが、キャリアの長い事務系の方を中心に、一定数存在するのも事実ですね。だいたい、物を書いている時に分かる(特に濁点)のも左利きと似ているかもしれません。
え、私ですか?ちなみに私は
Dvorak入力ですヽ(=´▽`=)ノ
今日は、キー配列論争を、DVORAKerの視点から語ってみたいと思います。
DVORAK配列って何?
まずは、ここからですね。
皆さん、お手元のキーボードを御覧ください。おおよそたいていの方の利用されているキーボードの上から2段目、アルファベットの刻印されている部分ですね。ここを左から順番に見るとQWERTYとなっていると思います。このキーボードの配列が、こんにち世界で主流となっている『QWERTY配列』と呼ばれるキーボードになります。
(出典:Lilapuce - Caractères QWERTY sur clavier AZERTY)
まあだいたいこんな感じでしょう。これが、DVORAK配列だとこんな感じになります。
(出典:Dvorak配列 - Wikipedia)
どうでしょう。全然違いますね!ところで、ひと目で見て分かる特徴があるのですが、皆さんお気づきですか・・・?DVORAK配列の一番の特徴は、最も利用頻度の高い『母音』がホームポジション(中段)で打てるように設計されていることですね。
ちなみに、DVORAK配列を利用するにあたっては、私がプライベートで利用しているMacでは、標準機能で簡単に切り替えを行うことが可能です。ビジネスで利用しているWindowsでは、標準機能では対応していませんので、DvorakJPなどのソフトウェアを利用することが必要になりますが、いずれにせよキーボードそのものを買い換える必要はありません。
Why DVORAK?
さて、私がDvorak入力を習得するにあたったきっかけについて話してみましょう。以前、ちょこっと書いてみましたが、私が大学の卒論で取り上げたテーマは『デファクトスタンダードの成立と性質』でした。
デファクトスタンダードについて乱暴に説明すると、『誰かがそうせよと決めたわけではないけれど、みんながそれを使うことによって世の中の標準のように振る舞われている規格』のことです。まさに、キーボードの配列がそれにあたりますよね。普通の家電量販店で販売されているキーボードの99.999%以上が『Qwerty配列』であるといって間違いないでしょう。
ところで、Qwerty配列について、こんな『都市伝説』を聞いたことは無いでしょうか?
それはまだ『タイプライター』が広く使われていた時代。当時のタイプライターは、複雑な『機械』であったため、あまりに高速で入力を行うと、内部の『アーム』がジャミング(絡まり合う)リスクがあった。それを避けるため、あえて入力速度が早くなりにくく、打ちづらい『Qwerty配列』が生まれたのだ。
この手の論説は、今では広く信じられており、様々な本で引用されています。
「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 (講談社学術文庫)
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しかし実際には、何故Qwertyが世界標準なるまでの経緯については、実は未だに解明が進んでいません。『電報の記号が打ちやすかったからでは?』なんて説もあるみたいですね。
ただひとつ言えることは、『打ちづらいQwertyが普及した』という説はデマであったとしても、統計のデータを見ると『Qwertyは打ちづらい』と感じているのは事実のようです。そこで、卒論作成の一環として、『本当にQwertyは打ちづらいのか』『打ちづらいのに何故普及しているのか』ということについて、実際身を持って調べてみよう!というのが趣旨であったわけですね。
結局みんなと同じがいい
大学4回生当時のわたしが、Dvorak配列を覚える(なんとかタッチタイプできる)までに掛かった時間は概ね1週間、1日1時間くらいずつ練習してのことでした。まあ、大学までの行き帰りまでの電車の中で、頭に浮かんだ言葉を『エアタイピング』していたのも効果があったのかもしれません。Qwerty配列と同じくらいの速度に辿り着くまでは1ヶ月くらい。慣れてしまえば、キーボードの配列を覚えるくらいなんてことは有りません。(皆さんも、初めてQwerty配列でタッチタイプを覚えた時もそんなもんでしたでしょ?)
さて、『何か知らないうちに勝手に広まっていたQwerty配列』から『科学的に計算しつくされたDvorak配列』に切り替えることによって、大幅に生産性が拡大・・・しませんでした(笑)
その要因として、わたしの卒論には以下3つの内容が記載されています。
そもそもDvorakは英語を前提とした配列である
Dvorak配列って、英語の出現する単語と含まれる文字の頻度を調べて、より多く登場するものをホームポジション(真ん中の段)に集中させ、指の移動を少なくするということが発想の前提となっています。例えば、Qwerty配列ではJ,K,Lが真ん中の段にありますが、これは英語では比較的出現頻度の低い文字ですので、他の段に追いやられています。
ところがどっこい、日本語ではKはか行を入力するために必要な、結構重要なキーです。それが、比較的打ちにくい『下段』に移動させられてしまいました。また、ローマ字に入力では、母音は子音のあとに必ず使われる他、単独でも利用されます。その為、左手の負担が非常に大きい。その為、ローマ字での入力については、そこまで劇的に改善はしませんでした。
ショートカットとの相性が悪い
世界で一番有名なショートカットキーと言えばCTRL+CからのCTRL+Vの『コピペ』に間違いないでしょう。これ、不思議だと思いません?Cはcopyの略ですよね。じゃあvは何?PasteならPじゃないの?PrintもPだけど、使用頻度の高いPasteのほうが優先されるべきじゃない?なんて思う人はいらっしゃいますでしょうか?
まあ、結論としては『隣の方が使いやすいから』という単純な理由だと思いますが、このCtrl+Cをおしたあとに、そのままとなりのVを押せばいいだけって、結構大きなメリットです。ちなみに、Dvorak配列の場合、Cは右手の上段、Vは右手の下段になりますが、Ctrl+Cをした後にCtrl+Vをするのって結構大変です(;´Д`)
あとはviとか使う時もそうですよね〜。あれって、カーソル移動のショートカットが十字キーみたいになるように並んでいたと思うのですが、Dvorakだとそれが崩れます。このへんはまさに『デファクトスタンダード』の世界で、多数派が利用しやすいように作られています。
パソコンを他人に操作してもらう時にいちいち切り替える必要がある
ちょっと他人にマシンを操作してもらう時に、いちいち元の配列に戻す必要があるという手間も有りましたね。
ただ、逆に言うと『変にPCをいじられない』というメリットにもなります。ちなみに、職場では(うちの部署ではただ一人の)トラックボールも利用していますので、『らくからちゃさんの環境って、キーボードといいマウスといい他人を寄せ付けない鉄壁の守りですよね』と言われたことは有ります(笑)。
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まあ、1番はとにかくとして、2番・3番はまさにデファクトスタンダードが直に効いている世界ですよね。ただ、もっと根本的な問題もあります。
Dvorakerの思うこと
わたしの場合ですけれども、タイプの速度が早くなったところで、文章を考えていたり、推敲をして並び替えていたりしている時間のほうが長いため、結局タイプ速度が早くなったところで文章作成に係る時間への影響は軽微でした。
Dvorak入力については、『なんとなく楽しいから』その後も使い続けていますが、正直そこまで大きなメリットは感じていません。ただ、一度『別のキー配列を覚える』という行為は、試してみるべきだと思いますよ。
やったことがない人にとっては『何か別の言語を覚える』くらいハードルが高く思われているようですが、たぶん普通の人が思っているよりも習得に時間は掛かりません。あと、一度覚えてしまえば他の配列も結構さくさくと覚えられます(きゅうりとか覚えたなあ・・・)
あと余談ですが、他人のPCを操作するときは普通にQwertyで利用します。感覚としては、『標準語になれてしまった関西人が、地元に帰って元の言葉に変わるくらい』のディレイは必要になりますけど、そんなゆーほど大変なことでもあらへんし、別にでけへんことではないと思とります。
皆さんも、是非『ものは試し』でやってみてもええんとちゃいます?
もっとも、身も蓋もない話をしてまうと、そんなちっこいことに拘っとるよりも、『文章の組み立て方』とか、『ムダのない仕事の進め方』とかに投資した方が良えんとちゃうんかなーあ?と思いますけどねん。
あとは、どうしても『入力速度』に目がいってまいますけど、『疲れにくさ』も重要でっせ。かな入力は移動範囲が多なってまうから、その辺はデメリットやなあ。
ちなみに、Dvorakにせよ親指シフトにせよ、ろくに使うたことも無いのに持ち上げる、頭の中身すっからかんがたまにいて、腹抱えて笑いたくなる(笑)
かな入力・ローマ字入力を超える第三の勢力
さて、default languageを戻しましょう。『かな入力』『ローマ字入力』を越えて、今圧倒的なスピードで利用者を増やしている『キー配列』があります。それが、『フリック入力』です。
ここ5〜6年位、わりと『大卒の新入社員であればタイピングくらいは出来て当然』だったようですが、今やそれが崩れつつある状況です。
電車で見ていても、最近の若者のフリック入力早いですねえ。さすがlineで鍛えられているだけあります。いろいろと見ていても分打380くらいは出ているようです。
片手打ちでも215は凄いですね。流石に、これで『コーディング』となると厳しいのかもしれませんが、ちょっとしたメール程度であれば、分打300くらいあれば十分ですので、『体力的な問題』は置いておいて、スピードとしては十分合格点です。
そういや、yahooが3年くらい前に、スマホだけを使う日を作って、問題点とか新しいニーズとか考えてみようよ!という『スマホフライデー』なることをやっていましたね。それについて、数カ月前に結果をまとめていたようです。
うーん。やっぱり、営業さんが大好きな『パワポ』を作るときや、エンジニアさんたちが開発をするのには不便があるみたいですね。
でも、いまの技術発展の速度を見れば、これからどんどんこういった問題が解決されていく可能性は有ります。その昔、『iPhoneなんて日本じゃはやんねーよ』なんて言われていた時期もありましたね。その頃わたしは、W-ZERO3を使っていて『やばい、めっちゃレスポンスいい。今までのスマートフォンは何がスマートだったというのだ』と感激していたのですが・・・。
今のところ、『タブレットでフリック入力でコーディング』なんていったら多くの人が『なにそれ(笑)』となるのでしょう。でも、何かをきっかけに、爆発的に普及していく可能性があります。
その時、『メールが使えないからって、いまどきFAXっすか(笑)』と笑い飛ばされたおじさんたちのように、ならないように心がけたいものですね。
ではでは、今日はこのへんで。