こんばんは。らくからちゃです。
弊社では、年に1回の昇給の結果が、6月支給分のお賃金から反映されます。野口さん二人分上がっていました(´・ω・`)。どの偉い人が決めて頂いたのかは分かりませんが、有難うございます。
そういえば、最近は、どのニュースを見てもこの件で持ちきりですね。
ちょうど先輩が新幹線で出張にいく予定がキャンセルになったところだったので、『何かよく分からないですけど、キャンセルになっててよかったっすねー』とか、そんな話をしていましたが、まさかこんなことになってたんですね。
勿論、誰かを巻き添えにするなんて言語道断ですが、死人に石を投げるようなことはしたくありません。ですので、その件について触れる気は有りませんが、わたしが気になったのはこの箇所です。
近所の女性によると、林崎容疑者は2カ月ごとに支払われる年金の額について「35年間払っているのに24万円しかもらえない。税金や光熱費を引くとほとんど残らない」とこぼしていた。
ネット上の記事を見ると、この『24万円』について、2つに見解が分かれているように見えました。
- 月24万円で生活できないとか甘え。今の若者の給与所得はもっと少ない。
- 年金は2ヶ月に1回支給。なので、1月12万円なので、これだとさすがに苦しい。
うーん。どちらが正しいのでしょう?上記のご本人様のコメントだけだといまいちよくわかりません。私も、毎月安月給の中から、ゆきち先生3人分ほど年金を支払わせて頂いております。老後の生活も気になりますので、少し調べてみました。
改めて振り返る公的年金の仕組み
わたくし、へっぽこ経済学士ですが、社会保障論の授業はいつも頭を抱えながら聞いていた思い出があります。まずは、公的年金の仕組みについておさらいしてみましょう。
ちなみに、いつも立ち読みばかりしていますが、この本が分かりやすかったかな。(中身検索できますので是非)
よく、公的年金制度は『2階建ての制度』と言われます。まず加入者は大きくわけて3種類に分けられます。
- 一号被保険者・・・自営業者・無職の人。二号でも三号でもない人全般。
- 二号被保険者・・・会社員・公務員。いわゆる勤労者。
- 三号被保険者・・・二号被保険者の配偶者。いわゆる専業主婦。
一号・二号・三号ともに、国民年金には必ず加入しなければなりません。これは、『権利』ではなく『義務』です。また、二号被保険者に該当する人は、会社が厚生・共済年金に加入させなければなりません。
但し、二号被保険者に該当する人は、厚生年金から自動的に振替られます。また、二号被保険者の配偶者で、所得が一定未満の人も、同様です。
この、国民年金の部分が一階、厚生・共済年金の部分が二階ってわけですね。
国民年金は、比較的シンプルなしくみです。全員共通の年金を25年以上加入すれば、加入した年数分年金が受け取れます。現在の年金額は40年間加入して、年間約80万円。月に直して6.6万円です。
厚生年金は、もう一段複雑で、その人の所得に応じて支払額が変わります。当然、支払額が変わる以上、受給額も変わってくれないと困りますよね。だいたい月々、月収の1/3倍くらいが貰えるようですが、早見表を作ってくださっている方がいらしゃるので、こちらをご参考ください。
で、24万円という金額ですが、35年間の加入であっても、独身で月に24万円にするには厚生年金で結構な金額が加算されなければ難しいので、2ヶ月で24万円のほうが正しいような気がします。
年金額24万円は多いのか?
次に、『生活できない』と言われていた、『年金額24万円』というのは、一般的な水準かどうかについて見てみたいと思います。
今日の材料はこちら。お年寄りに、『今の生活どうっすかー?』とアンケートした結果からですね。
75歳男性で、12万円というのは、ちょっと少なめかなあって感じですね。グラフでも明らかな通り、国民年金だけだと月に5万円くらい。それが、厚生年金が加算されると一気に増え、75歳から80歳でも19.73万円になります。
このグラフ、ちょっと不思議だと思いません?年齢が上がるごとに、受け取っている額が増えていってますよね。昔の人は、今の人より稼いでいたのでしょうか?理由は、複数考えられるのですが、その正体は、『生年月日に応じた率』の可能性が高いと思います。
不況が長引く現代では、余り感じられませんが、40年も前と今では物価の水準が全く異なります。その為、物価の水準の違いが反映されています。だいたい、直近でお年寄りになった昭和21年生まれの人と、その20年前に産まれた昭和2年生まれの人では、同じ支払額でも1.3倍受給額が違います。(http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/0000028853SlGwAkiWHR.pdf)
その20年の差が、平均賃金の差を1.3倍も広げたのかどうか・・・ですね。そこの検証は他の人に譲りましょう。
国民年金は、定額制で比べてみても面白くないので、厚生・共済あり男性の公的年金額について見てみましょう。
わりと均等に分布していますね。月額12万円 = 年間144万円より少ない割合は、30%くらいでしょうか?(ここには、国保のみが含まれてませんので、高齢者全体ではもう少し多いはずですが)
その一方、月額24万円=年間288万円以上の層は、16%くらい。少ないと見るか多いと見るかは人それぞれですが、個人的には『結構多いかなあ』という感想です。
24万円の生活
以前、こんな記事を書いたことがあります。
『高齢者は家計のレベルで見たら貧乏やけど、一人あたりに直したらたいして他の世代と変わらへんで』という内容ですね。今回も、『家計』単位での構造も見てみます。
えーっと、結構お金持ちに見えますね^^;
300万円以上で半数近い数字です。子育ても、ローンの支払いも終わった後であれば、2人暮らしでも300万もあれば、そこそこ豊かな生活が出来るんじゃないでしょうか。
さて、収入の側面ではなく、支出の側面からまとめたデータも出てきました。前回の記事と異なり、これは『年金受給額』ベースでの支出額です。
うん。グラフよりも表のほうが良さそうですね。
見ていると、結構面白い傾向があるんですね。
まず、どの区分でも基本的に年金額を支出額を上回る状態になっています。勿論、年金以外の収入(配当や家賃などの投資収入や、年金を受け取りながら出来る範囲でのアルバイトなど)も有りますし『預貯金』も支出に含んでますので、イコール赤字というわけでは有りません。ただ、高齢者の支出額はかなり収入額によって変動するということが言えるように思われます。
老い先短い人生なので、ぱーっと使ってもらう分にはそれでそれでいいと思いますが、趣味・娯楽についてはとにかく、衣食住といった最も基礎的の支出についても収入額に依存するんですね。何故、彼らは年金額の減額にそこまで抵抗を示すのか?と考えた時、転職などのチャンスがない中、年金は生活水準を決定づける最重要の要素の一つなんでしょうね。
次に、面白いなあと思ったのが『医療・介護の自己負担』の額です。他の項目が年金額と連動して増加していく中、この項目だけは、受給額200万円代までは下落し、その後上昇していくという不思議なカーブを描いています。
この資料では、『配偶者の有無』や『年齢』についての記載はしておりませんが、金額が少ないところを見ると、恐らく配偶者には先立たれてしまった人たちなんでしょうね。それにともなって平均年齢が高くなっていることは予想できます。つまり、『自宅で介護してくれる家族がいなくなった高齢者は介護費が大きい』というシンプルな結論が考えられます。
では、300万円代から反転して上昇しているのは何故でしょうか?これは、『年金収入が大きいと、外部のサービスが利用でき、家族の手を煩わせることが無い』ってことなのかなあと思います。
社会保障制度は家族の在り方の変化に対応出来るか?
ところで、以前こんな記事を書かせて頂きました。
この中で、日本人の生涯未婚率が男性で20%。女性で10%にものぼっていることをご紹介致しました。現在の『介護保険』制度は、限られた介護スタッフを有効に利用するため、『要介護度』に応じて利用可能な範囲を限定し、ある程度は家庭の中で解決することを求めています。この制度、この『生涯未婚率』の増加をきちんと反映して設計されているのでしょうか?
結婚しない男女が増えれば、高齢者となったときに助けてくれる家族がいない人たちが増えていくことが予想されます。何も、非婚化・少子化は『年金を収めれくれる人が減っちゃう』だけの問題にとどまらないはずです。
若い内であれば、2人暮らしをする直接的なメリットは、家賃や光熱費などの金銭的なものが大きいと思います。一方、年をとってからだと、例えば病院に連れてって貰うだの、話し相手となってボケ予防になるだの、より広いエリアのものとなります。
さて、非婚化が進むとこういったメリットを社会で全体で捨てることになります。勿論、何でもかんでも家庭内で解決しようとしたことへの反省から介護保険は作られたわけですが、介護という『しごと』は、市場の中で全て対応することが大変困難なものです。
また、以前書いた記事への反応を見ていると、ある文章が多くの人に共感を持ってもらえていたようでした。
乱暴なまとめ方かも知れませんが、『実家ぐらしで気心の知れた地元の幼なじみと結婚する層』と『都市で疲弊し、恋愛すら出来ず若い時間をすり減らす層』の2つに分かれてきているというのが、個人の観測圏の中の結果です。
一応、若者の末席として言わせて頂きますけどね。皆さん、若者を使い潰すことのコストとリスクについて、もう少し考えたほうがいいんじゃないかな、と思います。個人の価値観が多様化している中、みんながみんな結婚すべき、とは思いません。ただ、『家庭を持ちたい』といった自然な思いを大事にしない社会は、いずれ大きな費用を負担することになると思います。
そして、それを負担するのは、我々の世代なんです。わたしにできることは、ひとまず書くことだけですが、何かせにゃあいかんなと思う今日このごろです。
ではでは、今日はこのへんで。
続編