ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

地元の本屋さんの閉店に思うこと

こんにちは。

最近、twitterでコメントを下さった方にリプライを返していると『シャープの記事も見てました』などと、コメント頂けることが多くなってきました。その一方で、こんなご意見も

はてブ1000越えたら起こったこと―PV数とか収益とか公開します - ゆとりずむ

おー。全部記事読んでたが同じ人だと思ってなかった……

2015/05/27 23:34

b.hatena.ne.jp

うーん。あれもこれも、思いついたことをほいほい書いてるだけだからかもしれませんが、やっぱりよく利用されているテンプレートだと『あ、これ同じ人の記事だ』って認知されづらいのでしょうか(´・ω・`)

というわけでトップのヘッダー部分の画像を、デフォルトから地元の夜景写真に変えてみましたヽ(=´▽`=)ノ アクセス数を見ていると、お昼休みくらいのアクセスが一番多いのですが、元々が黒っぽいテーマだったので、暗いデザインにしてみました。紹介部分もきっちり収まり、なかなか自分の中ではいい感じになったと思いますが、いかがでしょうか?ただ、全体の横幅の設定が怪しいので、そこはCSSを見なおさないと、ですね。

なお、画像はこちらから頂戴致しました。他の写真も素材として無料で使わせて頂けるようなので、神戸っ子にはお勧めです 夜景壁紙写真集-夜景無料写真素材

いきつけだった本屋さん

さて、地元の話を書いていたら『地元の皆さんは元気にしているかなあ』と思い、高校生の頃、いきつけにしていた本屋さんについて調べてみました。

大変残念ながら、14年末をもって閉店されてしまったようです(´Д⊂グスン 今日は、これまでの感謝の思いを込めて、この本屋さんでの思い出について、ちょこっとだけ書いてみたいと思います。

この本屋さん、『ほんやら堂』という名前でした。スーパーマリオをちょっとスマートにした感じの髭もじゃの店長さんと、小柄で(年上の女性への言い方ではありませんが)可愛らしい感じのする奥様と、爽やかな感じの息子さんの3人で営業されていました。

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(画像はイメージです)

お店が出来たのは、10年前。いわゆる『ニュータウン』の真ん中の小さなショッピングモールにありました。確か開店したのは、街開きから15年くらいたった頃。以前あった本屋さんが撤退した後に入居されてきていたような記憶があります。

ほんやら堂が特別な本屋さんだったワケ

傍目から見ればどこにでもあるような『街の本屋さん』にしか見えなかったと思います。わたしの中で、ほんやら堂さんが特別な本屋さんになったのは、高校生の時でした。

高校は、『家から近くて、帰ってすぐにネトゲが出来る』『受験勉強しなくとも行ける』という理由から、偏差値30台の近所の公立校に通っていました。それはそれで愉快な仲間たちがたくさんいたのですが、『多分、資格くらい取ってないと、まともな会社に就職できないだろうなあ』と一念発起し、パソコンはそこそこ得意だったので『初級シスアド』(今の基本情報技術者くらい?)に挑戦してみることにしました。

その時、受験参考書を買いに行ったのがほんやら堂さん。レジに本を持って行くと、店長さんが『え、こんな難しそうなん受けるん!?すごいなあ。』と声をかけてくれました。それがきっかけで、学校帰りに本屋さんへ寄る度、『Mac People』と『Mac fan』ってどっちが売れてんの?とか、本に関係することもしないことも、他愛のない話を何度も何度もしました。

なんとか当時高校生の合格率が10%くらいだったシスアドに合格した時も、運良く偏差値60くらいの地元ではそこそこ名の通った大学に合格したときも、『よく頑張ったなあ』と一緒に喜んでくれたことは忘れられません。

 必要とされるお店とされないお店

思えば、本屋さんって個人情報の塊ですよね。『こどもの名付け』なんて本を買っていれば『赤ちゃんそろそろ生まれるのかなあ』って分かりますし、『介護入門』なんて本を買っていれば『身内にそういったお年寄りがいるのかな』と分かってしまいます。

下手なことをいうと、すぐに怒られてしまいそうではありますが、あのお店でそんなところを見たことはありませんでした。前掲のブログのこのコメントを読んで、やっぱりみんな店長さんのこと大好きだったんだなあと、改めて確認できました。

って、よく見たら、本を買い求めるお客さん……ではなくってさ、手に、一本のバラの花を持った、おばさん、若い女性、子供連れ、おにいさん……たちが、亭主との別れを惜しみ、並んでいたのでした。

(中略)

お客様たちから、黙々と…花束を受け取る亭主の顔は、もうびしょ濡れ。眼鏡が、くもっちゃうくらいで…。

 ほんやら堂さんは、街開きの時からあったお店ではなく、むしろ『新参者』でした。でも10年という歴史の中で、ほんやら堂さんは、着実に『ファン』を増やすことが出来ました。

びっくりしたのは、店長さんとのやりとりを公開していたブログを通して、東京にも神奈川にもファンを広げていたようですね。

こういうのを見ちゃうと、地域に受け入れて貰えるかどうかって、その人個人の素質によるものが結構大きいんじゃないのかなあと思います。

Amazonに負けないお店の作り方

ほんやら堂さんは、『前向きな理由』で廃業されたそうですが、今、地方の個人商店は、Amazonとの競争で疲弊しているとよく聞きます。 

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

ジェフ・ベゾス 果てなき野望

 

 Amazonの快進撃は、創業者が紙ナプキンに書いたたった一枚の『図』から始まりました。

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『本』という商品は、どこで買っても全く品質は同じで、値段も同じ。更に、腐ることもなければ、(岩波とか除けば)売れなければ返品することも可能です。これって、ビジネスとしてはかなり差別化がしにくい商品だと思うんですよね。一方、Amazonは、『検索』と『おすすめ』を駆使し、『ロングテールモデル』という新しい付加価値を創造しました。

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(アマゾンジャパン新卒採用2016より)

たまに、『中小の本屋さんが無くなってもいいのか!?』と鼻息あらくしている人を見かけますが、『必要とされてないんだったら仕方ないんじゃない?』というのが個人の感想です。

『人口減少』『格差の拡大』『高齢化』と、色々な悪条件はある中でも、伸びるお店、沈むお店は分かれます。そんな中でも、ほんやら堂さんは『地域に根付く』という最も王道の経営戦略で、10年間、世の中から必要とされるお店であり続けました。

 

最後になりましたが、店長さん10年間お疲れ様でした。最後に来店してから随分たってしまいましたので、覚えていらっしゃらないかもしれませんが、今のわたしの知識と思考を形作っているもののいくらかは、ほんやら堂さんで買った本から得たものです。また、どこかですれ違うことがあれば、『その後』について色々お話させてください。

 

ではでは、今日はこのへんで