こんばんは。今年の6月度の簿記検定は6月9日だそうですね。受験生の皆様は勉強は進んでいますでしょうか?それはさておき、簿記受験生の人もそう出ない人にも質問です。『資本金とは何か』説明出来るでしょうか?
これ、簿記をきちんと勉強した人でも、経営学・会計学の知識が無いと理解することが難しいんですね。何故なら、資本金とは目に見えるものでもなく、会計的な処理によって作りだされ、出資と配当という株式会社制度の根幹と結びついているものだからです。
資本金の正体
では、資本金とは何者なのか。それについて順を追って、考えて行きたいとおもいます。なるべく、簿記も会計学も知らない人にも分かりやすいよう、ゆっくり説明して行きたいので、その点はご容赦を・・・。
簿記の世界では、会社の業績を管理・把握するために、『貸借対照表』という書類を作成します。これは、何も難しいことではなく、左側に会社にある資産を、右側に負債を科目単位に金額を記載していきます。そうすると、資産と負債との間に差額が発生します。これが資本金です。資本金とは、商売をはじめる時に用意した資本(元手)と、そこから底から生まれた利益の合算です。まとめるとこんな感じですね。
事業開始時
さて、これだけだと意味が分からないと思いますが、時系列を追っていけば理解しやすいとおもいます。
まずどんな事業でもそうですが、商売を始める為には、商品を仕入れたりお給料を払ったりするために資金が必要です。この会社では、300万円から事業をスタートしました。まさに、この時『この事業に使うぞ!』と宣言したお金が資本金です。ただし、宣言したお金そのものを資本金というわけではなく、宣言した『金額』を資本金と呼びます。ローンで買ったので、家が2500万円ですが、借金が2500万円あります。というのと同じ感じです。
資本と負債
さて、この金額だと、ちょっと商売をするには心もとない・・・。ということで、銀行から700万円を借りてきます。その際の、貸借対照表は、下のとおりです。さて、これを見てもらえれば分かりやすいと思うのですが、貸借対照表は、資産の合計と、負債・純資産の合計は必ず一致します。(これを、貸借一致の原則と言います。)なお、左側には、どのような形の資産を持っているのか?右側には、何故それだけの資産が存在するのか?が表されています。
資産構成の変更
お金を借りただけでは、商売になりませんので、この資金を元手に商品とお店を買います。ここでのポイントは、資本は一円も変わっていないということです。手に入れた資金をどう使おうと、資本と借金に関しては何も変わりないので、当たり前といえば当たり前ですね。
利益の発生
さて、次に100万円分の商品を売ったところ、300万円になりました。100万円の資産が減って、300万円の現金が増える・・・。差額の200万円は、何かというと、まさにこれが利益です。200万円分の資産を、利益を上げることによって調達することができたので、純資産の『利益』の項目を200万円増やします。
配当の実行
最後に、手許に残った300万円のうち200万円分を借金返済に。残り100万円分は出資者さんの配当に回すことにしました。配当は、社内にプールした利益から行いますので、これで100万円分の利益が会社から消えることになります。配当は、必ず利益から行い、特別な例外が無い限り資本が減ることはありえません。これは、法律で決まっているルールです。何故そんなルールがあるのかというと、資本は事業の為のみに使うことを決めた部分を指します。それが、恣意的に配当に回されてしまうと、会社のお財布とオーナーのお財布の垣根がなくなってしまいます。そうなると困るのが、その会社と取引をしている会社ですね。オーナーの勝手な都合によって、会社の事業資金が取り崩されてしまうと、安心して取引ができません。ですので、配当は利益の範囲内で、ということが法律上も決まっているんですね。
まとめ
どうでしょうか?ちょっとは、資本金がどういうものか分かったでしょうか?簿記3級では、資本金と剰余金(利益)を一緒くたに処理しちゃうので、余計わかりにくくなっているような気がします。さて、ここまでのまとめですが、
資本金とは、目に見えて存在するものでなく、出資時の金額を示すものである。
ということです。なので、資本金分、どこかの金庫にお金があるのかというと、そういう会社もあるしそうじゃない会社もあります。最初は現金だったかもしれませんが、今は形を変えて、商品になっているかもしれないし、車になっている可能性もあります。
皆様のご理解の一助になれば幸いです。
※追記・お知らせ
会計の入門書として、個人的に分かりやすかった本をまとめて見ました。良ければご参照ください。lacucaracha.hatenablog.com