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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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『ラクスル』の正体



こんにちは、らくからちゃです。

先日、職場でぶらっと技術系の調べ事をしていたところ、なんだかおしゃれな感じのブログを発見致しました。

上のバナーは、オフィスの風景なのかなー。いいなあ、うちと違っておしゃれで。どこの会社なのかなあ・・・ふーん『ラクスル』ねえ。どっかで聞いたことがあるような・・・

ラクスル!?( ゚д゚)

最近『和泉元彌さん、チラシの発注までするんかいな』と思わずツッコミを入れてしまったCMを流している会社。CMを見る限り、名刺やチラシを作っている印刷会社のような気がします。更新頻度は低いものの、こんなゴリゴリな技術ブログを書くような会社には思えません。

同社のホームページを見ていると、もっと興味深い記載を発見しました。

まつもとさんやないですか!?(  Д ) ゚ ゚

おそらく、はてなを愛用されているエンジニアの皆様であれば、知らぬ人は居ない日本が誇るエンジニア。同氏は、楽天など数多くの企業で技術顧問をされていますが、まさか輪転機をrubyで動かすわけでもなし(いや、そういうシステムもあるのかな)この会社、ただの印刷屋とは思えません

 その後、ちょっとこの怪しげな会社について調べてみたところ、中々面白かったのでまとめてみます。

『ラクスル』のビジネスモデル

 そもそもこの会社、何をしている会社なのかな?と思って調べてみると、概ねの予想通り(?)基本的には印刷を行っている会社です。

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凄いなーと思うのは、チラシのデザインから配達までしてくれるところですね。こういったお仕事とは余り接点が有りませんので、ぶっちゃけ相場はよくわかりません。ただサイトに記載されている金額を見ると、結構手が出やすい金額に見えます。

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わたしも、ブログに広告を貼らせて頂いていますが、クリックあたりの単価はだいたい35円くらいでしょうか。紙のチラシだと読まずに捨てられるものも多いでしょうから、単純に比較できるものではありませんが、1枚10円や5円なんて水準だったら、かなりお手軽に試せるのではないでしょうか?

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また単純な印刷もかなりお安い。これは、A4両面カラー時の印刷コストですが、特徴的だなーと思うのが、日数で細かく料金がわかれているんですよね。10営業日前に申しこめば、1000部でも一枚2.7円、送料込・税抜 2700円で印刷してもらえます。これだけお安ければ、社内のプリンタを使うよりも安上がりにつくかもしれません。

『ラクスル』の正体

こんなに安い値段で商売が出来るということは、すごく大きな設備で、非常に効率よく印刷をしていたりするのかなあ・・・なんておもいきや、同社は自社では印刷を行っていません。印刷は全て、外部の多数の業者に委託しています。

実はここに、同社のビジネスモデルの『肝』があるのです。同社は元々、印刷.comというサービスを行っておりました。

ざっくりいうなら、『印刷業界のkakaku.com』とでも言えば良いのでしょうか。多数の企業の中から、条件を調べて検索するサービスですね。それはそれで便利なものですが、あくまで取引は検索したユーザーと登録された印刷業者の間で行わなければなりません。

それぞれの会社と進め方の交渉も行いながら進めていく必要もありますし、決済や品質の評価も各業者毎にまちまちな状況になります。また、それぞれの業者が請け負うことの出来る最大部数やスケジュールも異なれば、保持している機械も異なります。

そんなの、一般の消費者に分かるわけありませんよね。その『ややこしいところ』をカバーして埋めることを目的としているのが『ラクスル』のサービスなんですね。

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多くの地場の印刷会社において、一番の経営課題は稼働率の低さです。ラクスルが一般消費者からの注文を取りまとめたあと、稼働状況を全て考慮した上で各印刷会社に割り振れば、採算性は大幅に改善されます。

現在、ユーザーは25万人、印刷会社は2000社が登録されているそうです。

言うなれば、印刷会社の使われていない印刷機を集めて、『ひとつの機械』とみなしてビジネスとする。これらの機械は、そのままだと使われないものだから、大幅に安い価格で利用することが出来る。

こうやってみると、実は同社の事業は『印刷』ではなく『マッチング』であるのですが、その真髄は『消費者にそのことを全く意識させない』ことでしょう。テレビCMでも、こういったことはひと言も言っていませんもんね。

お客さんは『ラクスル』という会社と取引をしている。それは事実ですが、実態としてはその裏にある無数の会社と円滑に取引をするための『システム』を提供するシステム屋だったんですね。 

シェアリングエコノミーの向かう先

それを指し示すように、同社が2015年12月に次に開始したサービスがこちら。

『ラクスル』は稼働していない印刷機をまとめるネットワークでしたが、『ハコベル』はそのトラック版と考えればよいでしょう。稼働していないトラックの情報を元に、仕事を割り振る仕組みを作り上げました。

 

 

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もともとの経緯はわかりませんが、『ラクスル』ではチラシの配送まで行っているとのことですので、運送業との親和性も高そうですね。

またやっていることだけ聞けば、『赤帽と違うんかいな』という気もしますが、ユーザーにも分かりやすく、稼働状況を伝えて人手を介すことなくサービスを提供することが出来るのであれば、コストの引き下げや顧客の利便性の向上が可能です。

そうすれば、今までの運送業とは全く別の次元の使い方ができるようになり、これまでには無かった市場を創造することも出来るかもしれません。

こういった『稼働していない資産を束ねて紹介するビジネスモデル』は、現在非常に注目されている分野です。代表例と言えば、やはりこの2社でしょう。

こういったジャンルを『シェアリングエコノミー』なんていう言い方をするようですが、こういったビジネスの非常に強力なところは、ビジネスとしてネットワークを形作ることに成功すれば、他の追随を許さない圧倒的なビジネスとすることが出来る点です。

シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界

シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界

 

 こういったビジネスについては、過去に何度か書いてきました。例えば、カーシェアリングなんかもそういったビジネスの代表例でしょうし、AWSなんかも近い分野にはいるでしょう。ただ、こういった『自前でネットワークを作るビジネス』は成長に大きな時間がかかります。

一方、SAP社のAribaのように、自身はプラットフォームとなり、必要なプレイヤーには外部から参加して貰う形式であれば、やり方次第で、一気にビジネスのスケールを大きくしていくことが可能です。

こういったビジネスは、今後軽々と国境を越えて世界に広がっていきます。その中で、今まで『非効率』の中で守られてきた既存のビジネスを簡単に破壊する可能性があります。ラクスルのようなサービスも、印刷業に対して破壊的イノベーションをもたらす可能性があります。

私は、民泊や白タクを簡単に認めることについては賛成ではありません。クラウドワークスも、使い方を間違えると、労働市場の破壊にしか繋がりません。しかし長期的に見れば経済成長に貢献する可能性が大きく、特区制度をしっかりと活用して、育てていく必要もあるんじゃないかなあと思います。

さてさて、次はどんなサービスが出てくるのでしょうか?個人的には、直近の政治課題である『保育』『介護』に参入する事業者が出てくれば、面白いかもですね。そういえば、保育についてはもう既に事例がありましたね。

是非頑張って貰いたいところです。

ではでは、今日はこの辺で。