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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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『カジノ法案』の前に『ギャンブル依存症対策基本法案』を作ろう



こんにちは、らくからちゃです。

ここ数日、テレビを見ると毎日のようにカジノに関する法案が取り上げられています。正式には『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案』というそうですが、カジノ法案とかIR(統合型リゾート)推進法案なんて呼ばれ方をしているアレですね。

賭け事には滅法弱いので、やってみたい気持ちは全くありませんが、いつ頃どのあたりに出来るんだろうなあというのは、善良な市民の皆様にも関心のある話じゃないでしょうか。法案を読めば、なにか分かるんでねーの?と思いまして、実際にさら〜っと読んでみました。

●特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案

うん。分からん(゚∀゚)

そもそもこの法律、第一条を見るとこんな風に書いてあります。

第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。

この法律で決めることは

  1. すごーく基本的なこと
  2. 実現出来るように本部を設置しよう

ということですので、あんまり大したことは書いてありません。まずは全体的な方針というか指針のみを決めようとした法律です。この条文だけみると『特定複合観光施設区域』なんて呼ばれ方をしていますが、その実が何なのかについては、第二条に記載があります。

第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。

 えーっとつまり、

  1. カジノ施設
  2. 会議場施設
  3. レクリエーション施設
  4. 展示施設
  5. 宿泊施設

などなどが一体になったものを作ろうぜ!ってことですね。確かにアメリカでもラスベガスって、ハイテク関係を中心とした見本市みたいなものが、すごく多い気がします。

まあ確かに、住宅地の近所に作ってしまうと入り浸るひとも出てくるので、比較的辺鄙なところに作ったほうが良いでしょうし、土地が余っているなら会議場なんかも引っ付けておけば羽目をはずしたおじさん達が大量にぶっこんでくれて、相性がいいような気もしますな。

第一条にもある通り、地域経済の振興にも財政の改善にも役立ちそうなところは有りますが、皆様御存知の通り揉めに揉めています。本案についての各政党のスタンスは

  • 維新・・・(賛成)地元大阪にカジノによる集客を目指すべく最も強い推進派
  • 自民・・・(賛成)維新に恩を売るのと合わせて経済財政対策を進めたい
  • 公明・・・(中立)党議拘束を外して自主投票
  • 民進・・・(反対)審議時間が短すぎる など
  • 共産・・・(反対)依存症患者の増加 など

ってな感じでしょうか。特に『6時間しか審議されていない』というのは、民進党含め、各反対派が口にしていたような気が致します。その6時間にて審議した内容は議事録はまだ出来上がっていませんが、速報として下記の通り出ております。

それぞれの議員の主張の骨子がまとまっておりますが、やはり反対の意見として気になるのが『依存性への対応』ですね。

ギャンブル依存症大国ニッポン

 2014年、共産党のホームページの中にこのような資料があります。

 調査の結果、ギャンブル依存症の疑いがある人は成人男性の8・8%、女性の1・8%で、全体では4・8%にのぼります。研究班は、今回初めて、この有病率から推計の患者数を発表しましたが、男性438万人、女性98万人で、計536万人がギャンブル依存症を疑われるという驚きの結果となりました。

f:id:lacucaracha:20161208084019p:plain

ギャンブル依存症536万人/カジノ合法化に警告

 536万人。成人男女の4.8%が『ギャンブル依存症』の状態であるという、衝撃的なレポートが厚生労働省調査によって判明しました。カジノがある国よりも多い。これ、国民の20人にひとりがギャンブル依存症という計算になります。言い換えれば、

クラスにひとりはギャンブル依存症

といえば、分かりやすいでしょうか。実際の体感として、街に行けば、コレでもかと言うほど宝くじ売場はあるし、パチンコ屋には朝から人が並んでいるし、競馬の場外馬券売り場はいつも満員御礼だし、それくらい居ても不思議はないのかもしれませんね。

軽度のものから重度のものまで様々あるでしょうが、依存症の結果、下記のような自体を引き起こすことにもなりかねません。

1多重債務(経済破綻・生活保護受給・自己破産)
2家族や身内などの対人関係に障害(機能不全家族関係)
3信頼関係の破綻(離婚・無縁社会)
4犯罪(万引き、窃盗、詐欺、着服、横領、強盗、殺人など)
5自殺(次第に追詰められ念慮、企図を繰り返し敢行)

依存症による悲惨な現実 | 一般社団法人 大崎大地

生活保護者の増加は、ダイレクトに『財政』に響いてきますし、家族間の関係が悪化すれば子育てや介護などへの影響も懸念されます。その他犯罪の増加は社会コストも当然増えます。そして、出所不明な情報ではありますが、ギャンブル依存症での自殺者は、年間数千人規模にも登るそうです。まあ、536万人も患者がいれば、その1%が自殺してしまっただけでも5万人になりますからね。

厚生労働書の平成26年の調査曰く、糖尿病患者が316万6000人であることを考えても、この人数は憂慮すべき数値です。

まずは『ギャンブル依存症』の存在から認めようよ

じゃあどうしてこんなに多いのか。具体的にどんなギャンブルで依存症になるのか。北海道立精神保健福祉センターの相談件数からその内訳が公表されていましたので、見てみるとこんな感じ。f:id:lacucaracha:20161208080931p:plain

(参照:我が国に蔓延する「ギャンブル依存症」の現状

もう殆どパチンコとパチスロが原因。

536万人という数値について、厚生労働省の見解としてもこんなコメントが上がっていました。

なお、536万人というギャンブル依存症の数字でありますけれども、調査対象にパチンコ、スロット、こういうものを含んでおります。そういう意味からしますと、これをギャンブルと見るかどうかという問題、それから当然、店があるということはやってる方がおられるわけでありまして、世界で、このようなギャンブルというのかどうか分かりませんが、パチンコ、スロットがこんなにある国は日本しかないわけでありまして、当然それだけ多いパチンコ、スロットでありますから、やっている方々がおられれば、それに依存症というものがカウントされてくるわけでありますから、これをもって世界と比べてギャンブル依存症が多いというふうに判断するかどうかというのは、詳細に分析しないと、なかなか一概には言えないものであろうと思います。

田村大臣閣議後記者会見概要 |大臣記者会見|厚生労働省

そうだよね。パチンコは賭博じゃないから、ギャンブル依存症にカウントするのは正しくないかもしれないよね。

んな、アホな(゚д゚) 

パチンコのいわゆる「三店方式」って、法律を曲げてあれこれの辻褄を合わせようとするが故に、こういったデータの収集や実態把握についてもひじょーに迷惑な存在になってるんですよね。

というかそもそも、我が国において『ギャンブル依存症』に対する実態調査はあまりにも遅れているんじゃないでしょうか。今回の法案では、『付帯決議』という形で、15条の追加要望が出されました。『入場にはマイナンバーカード使うようにすれば?』みたいなチャレンジングなものもありましたが、こういうものもあります。

十 ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。我が国におけるギャンブル等依存症の実態把握のための体制を整備するとともに、ギャンブル等依存症患者の相談体制や臨床医療体制を強化すること。加えて、ギャンブル等依存症に関する教育上の取組を整備すること。また、カジノにとどまらず、他のギャンブル等に起因する依存症を含め、関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること。

第192回国会衆法第20号 附帯決議

個人的な意見ですが、カジノ法案自体は『どっちでもいい』と思っています。他に優先すべき課題は色々あると思いますが、競馬や競艇が公的に認められている以上、その手段が多少増えたところで、プラスにもマイナスにも何か大きく変わるとも思えません。

それよりむしろ『我が国にはギャンブルが存在するんだ』ということをきちんと認め、実態をちゃんと調査していくことこそが重要じゃないのかな、と思う次第です。

議員の皆さんは、したり顔で『これ以上ギャンブル依存症患者を増やしてどうするんだ』なんて言っていましたが、違うんです。増やさないことではなく減らすことが重要なんです。

国会の議事録を検索してみましたが、『ギャンブル依存』というキーワードで検索しても、過去50年間で50件しか出てきませんでした。政権を取っていた民主党、与党である公明党、過去にギャンブル依存の問題に気がついていた共産党が、今までずーっと放置してきたテーマですが、この機会にでも前進してもらうのは非常によいことです。

民進党は、やっとこさではありますが『ギャンブル依存症対策基本法案』の党内議論をはじめたようなので、この動きはちゃんと見守っていかないとな、と思う次第でございます。(参考:【参院本会議】カジノ法案審議入り 小西議員がギャンブル依存症への影響や違法性を問題視 - 民進党

ではでは、今日はこのへんで。