ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

カーシェアリングはクルマ離れを食い止めることが出来る?

こんにちは、らくからちゃです。

週末、ちょっくら自然の空気を吸いたくなり養老渓谷まで遊びに行ってきましたヽ(=´▽`=)ノ 場所はだいたいここらへんになります。

 房総半島のど真ん中ですなー。秋は紅葉で有名な場所で、何度か行ったことがありますが、この時期に行くのは初めてです。だんだん蒸し暑くなってきましたので、清流でも見たらちょっとは涼しい気分になれるのかな?なーんて思い、ぶらっと遊びに行ってきました。

津田沼から養老渓谷までは、電車で行くことも出来ます。ただ、二人分の往復額となると6,984円と、結構なお値段になります。また、一時間に一本程度と電車の本数も少なく、非常に不便ですので、レンタカーを借りて行くことにしました。利用するのは、いつものタイムズカープラスさんです。

思いったたのが朝ごはんを食べている途中でしたが、こういったちょっとしたお出かけにカーシェアリングは非常に便利ですね。使ったことがない方向けに簡単に説明すると、Webで予約が出来る無人式レンタカーって感じのサービスでしょうか。

車は、タイムズの黄色い看板のある至る所に準備されています。地図上から選んで予約出来ますが、相当な数で設置されており、またその数もどんどん増えています。

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ただこれだけあっても、土日はかなりの稼働率で殆ど空いていないんですよね。ひとつお薦めとしては、目的地の途中まで電車移動して、都心部の土日稼働率の下がるステーションを狙えば、比較的選びやすかったりします。また、道路が大変混雑する住宅街近くの道路を避けることが出来る効果もあります。(ちょっと面倒ですけどね)

ぶらり養老渓谷の旅

 というわけで、行ってまいりました滝めぐり遊歩道。

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階段を下っていると、川のせせらぎが聞こえてきます。

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なんだかこう、肺の中が綺麗になりそうな気がします。

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小さなお魚が沢山。水も綺麗。

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滝の近くにいると水素たっぷりのマイナスイオン効果がありそうです!!(こら)

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ゴールの粟又の滝までは、だいたい20分くらいでしょうか。結構家族連れもチラホラといましたが、この時期であればまだそこまで混雑しておりません。

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東京に住んでいれば車は不要?

関西に住んでいた頃は、『東京は電車がぎょうさん走っとるから、車なんか無くても全然平気らしいで』と聞いていました。確かに、東京は線路も縦横無尽に走っているし、ほとんど待つこと無く電車がやってきます。田舎の人には理解しづらいかもしれませんが、『時刻表』というものをほとんど意識すること無く生活することも可能です。

都心部へ遊びに行く分には、車なんてむしろ停めるところを探すのが大変なので邪魔なくらいです。でもちょっと郊外へ行こうとすると、車がないと結構不便だったりするんですよね。特に東京は自然が少ないので、森の空気でも吸ってリフレッシュしようかーと思うと、結構な距離を移動する必要があり、電車代も結構高くつきます

今回利用したタイムズカープラスですが、下記のような料金体系となっています。まずは、15分単位で利用できるショート利用。高級車でなければ、1時間1000円以下で利用することが出来ます。

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あとはパックですね。

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6時間以外のものは距離料金がかかりますが、どんな料金プランでもガソリン代はかかりません。ついでに、カーナビも標準装備です。

6時間パック基準で考えると、2人で利用したケースなら、片道1000円以上かかる場所に遊びに行くのであれば、電車より安くつきます。3人なら666円です。運転する手間はかかりますが、座っていくことが出来ますし、荷物を運ぶのにも便利です。

今回のケースでも、電車を使うよりも安く移動することが出来ました(๑•̀ㅂ•́)و✧

カーシェアリングのビジネス上のメリット

ちなみに、予約から利用開始までの手順はこんな感じです。

  1. Webで空いている車を探す
  2. 時間を指定して予約する
  3. 会員証がICチップ内蔵のキーになっているので、タッチして解錠

・・・うん、非常に簡単です。いわゆる『レンタカー』との違いは、完全に無人化されている点ですね。無人化のメリットは、単純に人件費がかからないことだけでは有りません。

まず、人を雇う必要がないぶん、24時間365日営業することが可能です。返す時間を選ぶ必要がなく、利便性が向上する上に、レンタカーでは不可能な夜間時間帯も車を貸し出すことで、回転率を高めることが出来ます。

 もうひとつ、大きなメリットは立地を分散させることが出来ることでしょう。有人の店舗であれば、給料を捻出するためにある程度の売上が必要です。その為に、1店舗あたりで複数台のレンタカーを管理する必要があります。カーシェアリングであれば、スペースさえあれば1台から設置することが出来ます。

パーク24がカーシェアリング事業を黒字化出来たワケ

ただ、ビジネスを行うためには車両や予約管理のシステムなどの初期投資が必要になります。初期投資を回収するためには、ある程度の規模が必要になりますので、そう簡単に誰でも算入出来る事業では有りません。

なんと、カーシェアリング事業には30社近くが参入したにもかかわらず、現在黒字になっているのはたった1社だけ。それが、タイムズカープラスを運営するパーク24です。パーク24は、街でよく見るコインパーキングを運営している会社です。

『既に車両を設置するスペースがあったから用地取得に時間がかからなかった』ということは大きな要因ですが、それ以上に威力を発揮したのは、『TONIC』と呼ばれるコインパーキングの管理システムとそのノウハウでしょう。

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(出典:タイムズの強み|駐車場経営による土地活用のことならタイムズ24株式会社)

TONICとは、パーク24の基幹システムであり、駐車場の稼働状況の全てを管理するシステムです。このシステムのデータを見れば、駐車場の稼動に関する状況を丸裸にすることが出来ます。そして分析の結果、稼働率が低ければ4つ分の車が止められる白線を、3つ分に引き直したりもするんだとか。

タイムズカープラスは、こういったシステムの土台の上に運営されています。その為、稼働状況の情報などを見ながら、どこに何台の車を配備するのが稼働率を最大化することが出来るのか?といったことを的確に予想しながらビジネスを拡大することが出来ました。

またむやみにエリア拡大を追わず、需要の拡大が見込まれるエリアに集中して車両を配備する計画を行ってきました。ぶっちゃけ、全国向けのテレビCMを行うよりも、需要が予測される駐車場の中で『カーシェアリング始めました』とピンポイントな広告を行うほうが効率が良かったんですね。無闇矢鱈に会員数を伸ばしてしまうと、『うちの近所にもステーションを増やして!』と無駄なコストが発生しかねません。

一定のエリアを着実に攻略しながら『カーシェアリングは便利で良い』というイメージを植え付けるほうが、戦略として何倍も優秀だったのでしょう。

結果として、売上は順調に増加し、利益についても黒字化を実現しました。

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会員数は既に60万人を突破しています。車両1台あたりの会員数は、サービス開始当初は、25人あたり1台であった車両が、41人あたり1台となっています。かなり経営が合理化されている証左になるように思われます。

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(出典:2016年10月期 第2四半期決算説明会資料)

カーシェアリングはクルマ離れを食い止めることが出来る?

いまや一大交通インフラとなりつつあるカーシェアリングですが、これだけ便利なものがあるとみんな車を買わなくなるのでは・・・?と思えるくらい便利なサービスに成長しつつあります。ところが、調査の結果を見ると、案外違った結果が見えてきます。

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(出典:カーシェアリングと若者のクルマ利用)

上記は、タイムズカープラスの会員へのアンケート結果から得られた結果です。若い世代ほど、カーシェアリング利用前からと利用後では大きく『車の購入意欲』が向上しています。この結果について、下記のようなことも述べられています。

今後は、少子高齢化によりクルマに乗る人は減少傾向にあると考えられるため、クルマに乗るきっかけを作ることで減少の度合いをある程度止められればと思っています。カーシェアリングを利用することで、“クルマがあると便利だよね”“やはりクルマは楽しいよね”などと感じてクルマ購入のきっかけになってくれれば嬉しいですね。実際、

タイムズカープラスの会員で退会されている方の約3割は、クルマを購入されたことが退会理由となっています。

カーシェアリングの利用者の中には、そもそもこういったサービスがなければ、車に乗ろうとすら思わなかった層というのはかなり多く含まれているんじゃないかなあと思ます。

『若者のクルマ離れ』と良く喧伝されていますが、免許の保有率だけみると、20代でもその比率は低く有りません。下記は新成人に大して行ったアンケートの結果ですが、都市部でも運転免許保有率は半数近くを超えています。

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(出典:運転免許保有率は意外と高い!?新成人が欲しい車ランキングTOP10|@DIME アットダイム)

都市化の伸展や年収の減少に伴い、そもそも車を維持することが難しくなっているのは事実でしょう。その為、車を利用する機会が減少していることは事実ですが、機会さえあれば、利用者は多いような気がします。

パーク21は、カーシェアリング事業を行うことで車を利用する機会そのものを作り出すことを目標として捉えています。同社の主力はパーキング事業ですので、その利用頻度を向上・維持するためには、何よりも総運転者数の増加が必要になります。

自動車メーカーも、短期的には既存事業とのカニバリゼーションが発生する可能性もありますが、カーシェアリング自体の需要も取り込めますし、『運転文化を拡大する』という長期的な視野を持って本格的に算入してみるのも良いかもしれません。

ではでは、今日はこの辺で。