ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

制服がアルマーニなことより『小学生越境入学』の実態を検証したほうが良さそう

普段来ているスーツが『小学生の制服以下の値段!』と言われそうで震えております。

www.huffingtonpost.jp

9万円は凄いですねー。わたしの普段のトータルコーディネートの3倍くらいはありそうです。制服に関する議論は、いままで色んな所で行われてきました。

『金額が高い』『自由がない』vs『私服にしたほうが高い』『変に競争が無くて良い』

納得できるかはさておき、どちら側にもそれなりの言い分はあります。ただ今回の件ってこれらとは別の問題なんですよね。ポイントは

『何故これほどまでに高額な制服が公立小学校に必要なのか?』

です。

中央区立泰明小学校はどこにあるのか?

まずは、中央区立泰明小学校ってどこにあるねん。ってところから確認しましょう。

 住所で言うと『東京都中央区銀座5丁目1−13』。有楽町駅からマルイや阪急を抜けて銀座方面に行き、コリドー街にたどり着くまでの間らへんでございます。日比谷公園からもほど近く、まさに都心のど真ん中です。

こんな感じのエリアが学区だそうです。

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(参考:中央区立泰明小学校 » 通学区域 » 地図|Gaccom[ガッコム])

住所で言うと、

  1. 銀座1丁目(2〜10番・11番(1・2号))
  2. 銀座2丁目(2〜9番)
  3. 銀座3丁目(2〜8番)
  4. 銀座4丁目(1〜8番)
  5. 銀座5丁目
  6. 銀座6丁目
  7. 銀座7丁目
  8. 銀座8丁目

だそうです。ほぼ銀座全域。

そんなとこに住んでる小学生いるのかよ!!

って感じですね(;´Д`)。住民基本台帳から見ると、大人も含めて銀座地域に住んでいる人口は、3,529人だそうです。

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(参考:中央区の人口・世帯数(平成30年2月1日現在) 中央区ホームページ)

そのうち小学生が何人いるのか?までは出ていませんでしたが、中央区全体の(ちょっと小学生の範囲から外れますが)5歳〜14歳の人口比率がだいたい7%くらいなので、それと同じ比率で考えれば200人くらい。

とはいえファミリー向けのマンションがあるエリアでもありませんから、実際にはずっと少ない人数になるでしょう。

大都会の小学生の謎

『そんなところに住んでいるお金持ちだから制服が9万円でも気にしないのかねえ?』と思っていたら、どうやら事態はもうちょっと面倒な状況みたいなんですよね。

この山間部の過疎地帯なみに子供の数が少なそうなエリアにも関わらず、各学年に2クラス、児童数は335人も居ます。

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(出典:中央区立泰明小学校 » 児童数生徒数情報|Gaccom[ガッコム])

さて何故か?というと、その理由は、中央区の『小学校特認校制度』の対象として、同行が認定されているからです。

特認校制度とは、この通学区域を前提としながらも、施設に余裕のある学校を「特認校」として指定し、その特認校には通学区域に関係なく、希望により就学できる制度です。平成30年度は4校を指定しています。(全16校から自由に選択できるものではありません。)

小学校特認校制度 中央区ホームページ

ざっくり言うと、『城東』『泰明』『常磐』『阪本』の都心エリアにある4つの小学校に関しては、学区対象を中央区全域にするぜ!という制度です。

中央区全域で言えば、5歳から14歳の人口は約1万人います。勝どきや晴海といった比較的ファミリーでも住める(もちろん超高級ですが)マンションもあります。2kmほどありますが、交通手段も豊富ですし、過疎部ではもっと長い距離を通っている小学生もいるので、通学できない距離ではないでしょう。

たまーに、大都会の真ん中で、ランドセルを背負っている小学生を見かけることがあります。こういう制度を利用している子どもたちなのかもしれません。

越境入学と高級制服

この『中央区の小学校特認校』は、2009年にはじまりましたが、それ以前にもあの手この手で、泰明小学校に子どもたちを入学させていたひとたちが居たんですね。

なーんでそんなことをさせたがるのか?

確かに同校の卒業生を見ると、『島崎藤村』『近衛文麿』『朝丘雪路』と錚々たるメンバーが並んでいますが、ただの公立小学校ですよ。凄く特別な教育カリキュラムがトラれているわけでもない。

それでもなお、ここに入れたい!と思う人がいるのは、きっと『意識高い仲間に囲まれたら、意識が上がるから』といった感じの話でしょう。みんなが中学受験が当たり前の環境で育てば、子供も同じように育つ。そんな願いがあるのかも。

で、そういう層からは、『中央区の小学校特認校』制度は非常に都合が悪い。

 これまで同校には、カネもコネもある層が、裏口から子どもたちを入学させていた。中には、千葉県から越境で入学してきていた人までいたそうです。ある意味で、ブルジョワ子弟のみを受け入れてきたわけですね。

それが今後、中央区全域に学区が広がってしまうと、勝どき晴海あたりに住んでいるプチブル風情()にまでその枠が与えられるようになってしまう。そうすると保護者の平均レベル()が下がってしまう!これはマズい!

よし、制服の値段あげておこう(๑•̀ㅂ•́)و✧

 ってことなのかもしれないと。貧乏人が寄り付かなくなれば、学校の人気も上がるはず!()みたいなお話なのかもしれないですな。

廃校したほうが良くない?

こうやって改めてみると、本件の正解は『制服廃止』『競争入札でやれ』とかそういった話じゃなく、

中央区立泰明小学校の廃校

じゃねえのかなあと思うんですよね。学区外、ましてや裏口で県外からも通学できているのであれば、逆に学区内の小学生は近隣他校に通学することも出来るでしょう。

『特認校』という学校は、全国各地にあります。

基本的には、廃校にしてしまうと通学時間が長くなってしまって物凄く困る学区内のニーズと、できれば少人数学級で勉強させてあげたいと思っている学区外のニーズを一致させる狙いがメインです。

中央区のそれは、『意識高い人たち』が『意識高いサークル』を作るためのような現状になってしまっているのなら、いっそのこと廃校にして土地を売却したほうがええんでねえの?と思っちゃうんですよね。

長い歴史をもつ学校を潰すのが忍びない(江戸幕府の高家制度っぽいですけど)とか、防災や地域コミュニティ的な観点からも学校はあったほうが良いのではというのならば、私立学校に引き取って貰うという手も考えられるでしょう。

それで小学生が幸せになれるかはわかりませんが、いびつな行政構造は多少マシになりそうです。

改めて、『小学生越境入学』の実態とかあり方とかは、深掘りしていってみると面白いかもしれませんね。