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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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軽減税率を考える〜新聞減税で誰が得をするのか〜

経済・社会


こんにちは、らくからちゃです。

皆さん、お魚はお好きですか?わたしは、たまにむしょーにお魚が食べたくなる時があります。そこで、先日、近所の魚屋さんでいろいろ買って、海鮮丼を作ってみました。

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かなり贅沢をしてみたのですが、それでもお値段は

  • スルメイカ ¥190
  • 生しらす ¥300
  • ヒメダイ ¥400
  • サーモン ¥497
  • えんがわ ¥387

で2人分で1,774円、ひとり900円未満。『これ以上は食えまへん(´Д⊂グスン』となるまでお腹いっぱいになれましたので、中々良いお買い物でした。外で食べるのの2倍くらいはあったような気がします。

専門の魚屋さんに行くのは中々楽しいですね。言えばその場で捌いてくれますし、アラ(頭の部分など)ももらえます。よくこれで、家内がお味噌汁を作ってくれたりするのですが、中々美味しい。

しかし、見たことも聞いたこともないお魚の多いこと。いまだに、甘鯛だの姫鯛だのの違いがよく分かっていませんw 大人になれば、こういった食材にも詳しくなれるのかしらと思っていましたが、貧しい食生活を送っているせいかか、いつも新鮮な出会いばかりです。

若者世代の自炊率

 しかし、ここまでちゃんとした晩ごはんを自分で作ったのは久々ですね。先日から家内が都合により実家に帰ってしまってからは、一昨日が松屋、昨日がすき家、じゃあ今日の晩ごはんは吉野家か!?というような日々でございます。(裏をかいてなか卯にしよっかな・・・)

やっぱりなんやかんや外に出て働いていると、自炊をするというのは、時間的にも精神的にもかなりの贅沢のような気がします。実際、わたしと同じような20代・30代の世代がどの程度『自炊』をしているのか気になりましたので、ちょろっと調べてみました。

そこで見つけてきましたのがこちら。

自炊の頻度だけでなく、掛ける時間や費用まで中々広く調べられています。たいへん詳細な調査結果ではありますが、視覚的にするためにグラフにしてみましょう。

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うーん。こうやってみてみると、朝食の自炊率は女性のほうが低そうに見えますね。朝はメイクやのなんやらで忙しい分が反映された結果でしょうか。続きまして夕食編。

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今度は夕食編。こちらは、25歳以降の男性が際立って低いように見えますね。でもいずれの性別・年齢層にせよ、夕食ですら『毎日自炊する』という一人暮らしの若者は過半数に届いていません。

でもこれって、決して『贅沢をしている』わけではないと思うんですよね。以前、こんな記事を書きました。

毎日遅くまで身を粉にして働いている人たちにとっては、まともに自炊をするだけの時間的・精神的余裕は有りません。それなのに、赤坂の料亭で晩ごはんを頂いている感覚で『贅沢だ』と言われましても・・・という思いがあります。

貧乏人は何を食べているのか

さて、先ほどの記事を書いている間に、こんなニュースが入ってきました。

所得の低い人は肉の摂取量も少なく、所得が低い人ほど栄養バランスのよい食事が取れていないことが分かりました。

ふーむ。こちらの調査は、摂取している食品の種類について調べたもののようですね。丁度手持ちのデータに、品種ごとの金額ベースでの統計数値もありましたので、合わせて分析してみましょう。

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このデータは、家計調査(統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103)の結果から、勤労世帯の年間消費額を、世帯人員数で割り、ひとりあたりの金額に直したものになります。『比率』は、最も高所得である845万円以上層の金額を、最も低所得である350万円未満層の金額で割って得たものになります。

それぞれの年齢階級別に、世帯の年齢構成等も異なってくると思うので、簡単に比較することは出来ないと思いますが、高所得者層において、野菜や魚介類、果物といった生鮮食品への消費金額は所得に連動する形で増加しております。

一方、調理食品や飲料については、概ね所得が上がると下がっていく傾向にあります。また、穀類についても所得の影響をあまり受けないように見受けられます。なお、この結果からも『外食』・『酒類』にかける金額は、所得との関係はあまり見られません。

この結果からは、食料品、特に『生鮮食品』への消費税の軽減は、高所得者層ほどその恩恵が大きく得られるということがいえます。一方、外食や酒類においては、所得にほとんど関係はなく、調理食品や飲料においては、これらが軽減税率の対象から除かれる(言い換えれば消費税増税の対象となる)と、低所得者層ほどその打撃が大きくなります。

ついこの間まで、加工食品や飲料は軽減税率の対象から除き、生鮮食品のみを対象としようとしていたのは、相対的に見れば『金持ち優遇』でしか無いんですね。

軽減税率より公的支援の拡充?

さて、軽減税率の話があがると、『そんなややこしいことするより、低所得者への公的支援を拡充したほうがいいよ』という意見を良く耳にします。確かに、軽減税率の導入には、対象の線引をどうするのか?どう経理処理するのか?など、様々な課題があります。

ならいっそ、消費税のもつ逆進性(低所得者ほど負担が大きくなる)への対応であれば、集めるだけは平等に集めておいて、定額給付金を支給するなりしたほうがよっぽどいいというのは実に説得力のある話です。

私自身、へっぽこ経済学士様として、その意見を否定するつもりは有りません。ただ、実現にあたり、『本当に必要なひとに支援は届くのだろうか?』と思ってしまうんですよね。

ところで話は変わりますが、皆様『プレミアム商品券』は購入されましたか?全国の様々な自治体で発売された、『1万円分の商品券を買えば、1万2000円分使える』とかいうアレです。このプレミアム商品券について、いつものように色々と統計データを漁っていると、中々興味深いデータが出てきましたので、ご紹介したいと思います。

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(出典:世田谷区 プレミアム付区内共通商品券アンケート調査結果について - 世田谷区)

こちらは、世田谷区で実施されたプレミアム付商品券を発売初日の平成26年6 月14 日(土)に購入したひとにたいして行ったアンケート調査の結果だそうです。随分と、年齢層が高いように思われます。あれ?世田谷区ってそんなに高齢化が進んでいたっけ?と思い、直近の公表値から作ったまとめがこちら。

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比較的、20代・30代も多く、若者層も多く住んでいます。20代と30代で、28%の居住者がいるにもかかわらず、『プレミアム商品券』を購入したのは9.8%に過ぎません。その理由は何か?世田谷区内でしか利用できない『プレミアム付商品券』への魅力が低かったのかもしれません(しかし、これらの層も利用するであろうスーパーや家電量販店も対象に含まれていたみたいですが・・・)。ただ、気になるのが『情報が全ての人に行き渡っていたのか?』という点です。

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そこで気になったのがこのデータ。『プレミアム商品券の存在をどのようにして知ったのか?を見ると、いま軽減税率の対象になるかであれやこれやと言われている『新聞』が非常に多い。世田谷区のプレミアム商品券では、2割のプレミアムが付けられ、1,000円分購入で、1,200円が利用できたそうです。

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これ、各参加者が自腹を切って勝手にやってくれるのであればいいんですよ。そのプレミアム分がどこから出されているのかというと「地域住民生活等緊急支援のための交付金」(地域消費喚起型)という国の税金の中から補填されているんですね。

国の税金を使ってやる以上、その恩恵に与れたひと、与れなかったひとについては、しっかりとその原因を分析していただきたい。私は、地元のプレミアム付商品券の恩恵に与れなかった側です。存在自体は知っており、ぜひ利用したかったのですが、発売箇所が少なかったことと、そのタイミングに合わせて購入できずに利用を断念しました。

どうもここ最近、こういった『情報を得る・行動をする余裕のあるひとだけが救われる』ような公的支援が多いように感じられてしまいます。

選挙に行けとは言うけれど

もうひとつ、最近『おかしいなあ』と思っているのが、『ふるさと納税制度とそのお礼』です。

ただ単純に、『好きな自治体に住民税を収めることが出来る』という内容だったらとにかく(それでも問題ですが)、各自治体が納税を目当てに『お礼の品』を目当てに熾烈な競争を繰り広げる状況になっています。そういや、著名投資家のBNF氏が『黄金の手裏剣』も受け取った話もありましたね。(参考:大物個人投資家B・N・Fさん“純金製手裏剣3枚”を入手、伊賀市への1500万円ふるさと納税で : 市況かぶ全力2階建)

こういった『御礼の品』の減資は、まわり回って『みなさまの収めた税金』から出ているわけです。そして、こういった制度を利用することが出来る状況にあるかどうか?によって、その恩恵が受けられるかどうかに大きな差が生まれてくるのは、『なんだかなー』と思うんですね。

思えば、ここ最近、政府が実施してきた政策には、それなりに余裕のあるひとをターゲットとしたものもかなり多いように思われます。

  • 住宅減税
  • 太陽光発電の促進
  • エコカー減税
  • エコポイント制度
  • NISA
  • 『おみやげ付き』ふるさと納税

その一方で、こういった制度の枠からハズレた人には、『消費税増税で得た財源を元に公的扶助の拡充を』って唱えたところで、中々響かないと思うんですよね。多分、一番いいのは定額給付金みたいな仕組みなんでしょうけど、定額給付金も最後まで受給率は100%になりませんでした。

2008年に、麻生政権にて決定された定額給付金の最終的な給付率は世帯ベースで97.7%、金額ベースで99%となりました。(参考:総務省|定額給付金の給付状況)

これを高いと見るか、低いと見るか。受け取らなかった人の属性も見えてこないので、いまいち難しいところですが、もし本当に必要としている人に何らかの事情で届かなかったのであれば、この方式で逆進性対策を考えるのは、慎重に検討する必要があります。

そうそう、本気で低所得者の食費を抑えてあげようと思えば、耳寄りな情報がありますよ。それは、TPPで除外対象とした

  • コメ
  • 牛・豚肉
  • 牛乳・乳製品
  • 甘味資源作物(サトウキビなど砂糖の原料)

の重要5品目の関税を廃止することです。こちらの試算では、消費税に換算して3.8%分もの家計効果が有るようです。(参考:TPP、重要5項目の関税撤廃で食費はどう変わる? | JIJICO [ジジコ] - 毎朝3分の知恵チャージ)

お米に関しては、半額まで価格を下げられるという試算もあります。『やすい輸入品』の価格が下がるのは、低所得者層にとって非常に大きなインパクトを与えるものと思われます。消費税減税3.4%分の引き下げ効果と謳われていますが、特に低所得者層にとってはもっと比率も高いんじゃないでしょうか!?

いかがでしょう!甘利TPP担当大臣さん!

ってもしかして、禁句でした?(^_^;) そうですよね。全国のお百姓さんが猛反対するでしょうね。しかし、こういった情報や議論は、政治に参加することが出来るだけの余裕のある層、それこの新聞を定期購読している人たち中だけでまわり、深夜へろへろになって自炊をする余裕もない層は完全にはじき出されているように見えてしまいます。

みなさん選挙に行きましょう!なんていうのは簡単ですが、政治のことについて考えるだけの余裕もない人たちにまで、必要な情報が届いているんでしょうかねえ・・・。そして、新聞だって営利事業なので、読者が不快に思うようなことを調べたり報道したりするよりは、気分が高揚するような記事を書いたほうが売れますもんね。そうそう、そういった『国民の知る権利を保証する』と自負する新聞ですが、各年収階層別の年間消費額(世帯ベース)は下記のようになっています。

  • 350万円未満・・・13,011
  • 490万円未満・・・18,071
  • 638万円未満・・・22,575
  • 845万円未満・・・28,719
  • 845万円以上・・・33,285

もし、知る権利とやらを保証するつもりがあるのであれば、こういったことも合わせて報道していけばいいんじゃないんでしょうか。

ではでは、今日はこの辺で。