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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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東芝解体新書(2):社内カンパニー制の闇

経済・社会


こんにちは。らくからちゃです。

シリーズで、東芝の不正会計はどういった背景から生まれてきたのか追ってみたいと思います。それなりに調べながら書かせていただきたいと思いますので、更新は遅くなるかもしれませんが、ご容赦ください。また、あくまでサラリーマンの自由研究ですので、眉に唾たっぷりつけてお楽しみ頂ければ幸いです。

まずは、前回の振り返りから

  • 東芝は大変たくさんのものを作っている会社である。
  • 『電気機器』には、売上1兆円超の会社が沢山あるが、それぞれ個性豊か。
  • 東芝は、『総合電機メーカー』であり、その総合性が個性。

長々と書いてみましたが、ポイントはこの3つくらいですね。(;´Д`) まあ、大学の講義だって初回は簡単な『さわり』から入りますし、初回は具体的な数値や深い話にはいらず、さらっと流してみたとお考え頂ければ幸いです。書き手としては、グラフの切り貼りのほうが楽ちんで良かったんですえどね(笑)

さて、今回はもう少し深いところの話が出来ればなあと思います。

ガバナンスってなんなんす?

 さて、今回の一連の東芝の問題については、『コーポレート・ガバナンス』が機能していなかったというか、全くダメであったといった取り上げられ方を見ます。ところで、 『コーポレート・ガバナンス』って何なんでしょうか。

コーポレートガバナンス [7] 【corporate governance】
会社の不正行為を防止,あるいは適正な事業活動の維持・確保を実現すること。具体的には取締役など業務執行機関に対するチェック-システムとの関連で問題とされる。企業統治。 → 株主代表訴訟

コーポレートガバナンスとは - 時事用語 Weblio辞書

いろいろな不正が起きないようにする仕組み、これを内部統制システムといいますが、そうした仕組みは得てして『偉い人』の力があれば捻じ曲げることが可能です。コーポレート・ガバナンスとは、そういった『偉い人』たちが不正の誘惑に負けず、一生懸命目の前の仕事に取り組むための社内政治の仕組みについて指すことが多い言葉ですね。

内部統制とコーポレート・ガバナンスの関係は、ここの考え方が分かりやすいと思います。あとは、みずほのこちら

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(コーポレートガバナンス|内部統制の要請|内部統制入門Navi

東芝と電機各社のガバナンス比較

さて、東芝の『ガバナンス』の体制ですが、ここで抑えておくべき2つのキーワードがあります。それが『委員会設置会社』と『社内カンパニー制』です。

委員会設置会社

まずは一つ目。委員会設置会社は、『国の法律として定められた株式会社の運営形態のひとつ』です。大きな特徴として、

  • 監査役会は置かない
  • 取締役会の中に『指名委員会』『監査委員会』『報酬委員会』を置く
  • 実際の業務執行は、取締役会の任命する『執行役』が行う
  • 取締役会は、全社的な意思決定と『取締役』『執行役』の監督を

といったことが挙げられます。東芝のホームページでは、下記の記載があります 

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(出典:東芝 投資家情報(IR):ガバナンス体制と仕組み)

(´ε`;)ウーン…むつかちぃ...

これだけ見ても何のことやら分かりませんね。その辺はまた後程しっぽりご説明しますので、ご安心ください。

社内カンパニー制

そしてもう一つ。社内カンパニー制とは『社内の経営組織の運営形態のひとつ』です。『カンパニー』と呼ばれる、組織を作り、そのカンパニーの長は『社長』と呼ばれます。カンパニー社長は、『カンパニー』の中で、独立した会社の社長と同等の権限が与えられます。東芝の組織図を見ると、全部で7つのカンパニーがあります。

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(出典:東芝:会社概要(組織(組織図・経営幹部など):組織(組織図・経営幹部など))

経営幹部一覧を見ると、同じ会社の中に8人(カンパニー7+全社1)も『社長』さんがいらっしゃるようです。なんともまあ豪華な感じですね。

電機各社のガバナンス体制の比較

参考までに、『電機大手8社』のガバナンスの体制について比較してみましょう。

社名委員会設置会社カンパニー制取締役執行役・執行役員
日立製作所 12 61
東芝 16 37
三菱電機 12 23
パナソニック 17 25
ソニー 12 6
富士通 12 54
シャープ 13 25
日本電気(NEC) 11 96

ちょっと補足を入れさせてもらうと、富士通・シャープ・日本電気については、正式な『委員会設置会社』では有りませんが、それを模した統治機構を持っていましたので『△』としておきました。役員の人数については、ホームページの掲載を適当に指折り数えただけなので、若干誤差はあるかもしれません。

『カンパニー制』については、法律で定められた組織運営の形態ではありませんので、『カンパニー』と名乗っているかどうかで判断しました。そういや、ソニーは昔カンパニー制をとっていましたが、今は違うみたいですね。シャープは、これから導入して再建に役立てるそうですが、役に立つといいのですが・・・。

しかし、日本企業の『取締役』の人数も、だいぶスリムになりましたねえ。島耕作がヒラ取だったころは、初芝電産の役員も40人くらい居た気がします(笑)。執行役・執行役員の人数は、かなり会社によって個性が見られます。権限をどのレベルのところに、どの程度集中させるのかの考え方の違いでしょうね。

委員会はいいんかい?

では次に、『委員会設置会社』とはどういった会社かを考えていきましょう。なお、前段で『指名』『報酬』『監査』の三委員会を置くと書きましたが、ここ最近『監査委員会』だけを置く委員会設置会社というルールが出来ました。(参考:監査等委員会設置会社の選択可能性) なので、正式には、『指名等委員会設置会社』と呼ばなければならないみたいなのですが、長ったらしいので『委員会設置会社』で通させて頂きます。

まずは、委員会設置会社でない会社についてお話しましょう。

取締役のお仕事

さてここで質問です。『取締役』って何をするお仕事ですか?サボっているサラリーマンを取り締まるお仕事?まあそれも入るでしょう(笑)。さて、会社法を読むと、『取締役会』の仕事としてこのようなことが記載されています。

会社法 第三百六十二条  取締役会は、すべての取締役で組織する。

2  取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一  取締役会設置会社の業務執行の決定
二  取締役の職務の執行の監督
三  代表取締役の選定及び解職

 覚えておくポイントは、『取締役』は単独では、『取締役会の構成メンバー』でしか無いことです。さて、実際に『取締役』が色々なお仕事を『取り締まる』には以下の条件を満たす必要があります。

第三百六十三条  次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一  代表取締役
二  代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2  前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

 『業務執行取締役』といいますが、取締役会の決定があって初めて、いろんなお仕事を『取り締まり』が出来るわけですね。会社によって呼び方は異なりますが、日本企業の『重役』の呼称はこんな感じです。

  • 会長・・・取締役会を主催。財界活動など、対外的な活動を行うことが多い。
  • 社長・・・組織運営の長。通常、誰にも指揮されずトップとして業務執行を行う。
  • 専務・・・社長を補佐する女房役。非定型業務を担当することが多い。
  • 常務・・・日常業務を所管し、定型業務を担当することが多い。

専務と常務の違いとか、この中に副社長やら副会長やら入ってきたり、そこは会社によって色々です。『社長』というのは、法律で決められた役割ではありません。普通の会社であれば、『社長の決め方』や『仕事の責任と範囲』について『役員規定』とか色んな『内規』にて決められたもので選ばれます。

さて、『代表取締役』と『業務執行取締役』を選ぶことが、取締役会の機能であることでもわかりますが、取締役には非常に重要な仕事があります。それは・・・

他の取締役を監視すること

です。『代表取締役』『業務執行取締役』を選ぶのが取締役であるのと同様に、彼らがイケてない場合クビにするのも取締役の大事なお仕事です。三越事件とか有名ですけど、最近だと大塚家具とかのほうが皆さんしっくりきますかね?

つまり、今までの株式会社の形態において、取締役は

  • 会社の方向性を決め、誰が何をするのかを決める(業務の決定
  • 実際に決められた方向性に従い、業務を行う(業務の執行
  • 他の取締役がサボってたりおかしなことをしていないか観視する(業務の監督

この3つを同時に行う必要がありました。どうでしょう。大変そう、というのは確かですが、それ以上に、『仕事を実際に行う』ことと『その内容を監督する』っていうのは、両立するのが難しそうですよねえ。

ちなみに、『監査役』って人もいますが、基本的に『法律に違反していないかどうかを監視する』立場であって、監査法人をクビに出来るくらいで、何か取締役の不正を発見しても取締役会の開催を申し出るくらいしか出来ないみたいですね。

委員会設置会社

委員会設置会社では、実際に業務を執行の責任者として『執行役』という役職を新たに設ける事になりました。『執行役』は、取締役とは異なり他の『執行役』を任免・罷免する権限はありません。言い換えれば、自分の仕事を果たせば、他の取締役や執行役の失敗の責任まで負う必要は有りません。

一方取締役は、業務の執行は執行役に任せ、会社全体の方向性の決定と、執行役の選任・監督に専念してくださいね。という役割を求められるようになりました。

また、取締役会の機能の中でも、『自律性』が求められる以下の3つの分野について『委員会』を置くことになりました。

  • 『指名』・・・株主総会で時期取締役を推薦する
  • 『報酬』・・・取締役の報酬を決定する
  • 『監査』・・・取締役・執行役の行動を監視する

各委員会は、兼任することも可能ですが、過半数を『社外取締役』とすることが求められています。また、監査委員会は、監査役と異なり行為の差し止めを行える権限が与えられました(会社法第407条)

さて、教科書的な説明はこの辺にして、総合電機3社の『取締役会』の構成について見てみましょう。なお、執行役は◎が代表執行役、各委員は◎が委員長です。

日立の場合

氏名役職執行役指名報酬監査取締役就任社外
勝俣宣夫 元丸紅社長・会長   2011
シンシア・キャロル 元アングロ・アメリカン(鉱山屋さん) CEO
現BP社取締役
        2013
榊原定征 元東レ会長
現経団連会長
    2013
ジョージ・バックリー 元3M会長 現ペプシコ社取締役         2012
ルイーズ・ペントランド

元ノキア上席副社長・法務担当役員
現イーベイ社ペイパル部門法務顧問

        2015
望月晴文 元経産省事務次官
現東京中小企業投資育成 社長
  2012
フィリップ・ヨー 元シンガポール科学技術庁長官
現スプリングシンガポール会長
        2012
吉原寛章 元KPMGインターナショナル副会長
元村田製作所社外取締役
      2014
中西宏明 会長兼CEO     2010  
東原敏昭 社長兼COO     2014  
三好崇司 日立キャピタル会長       2012  
持田農夫男 元日立金属会長       2014  

並び順はホームページのまま。一目見て分かるのが、布陣の豪華さですね。銀河軍団か!って感じ。元丸紅社長がいれば、経団連の会長まで居ます。国際色も豊かですねえ。元3Mの会長やら、シンガポールの科学技術庁長官まで居ます。

執行役は会長と社長がそれぞれ入っているだけで、社外取締役のほうがよっぽど多いですね。それも、お飾りでなくきちんとした人を引っ張ってきている感じがします。

三菱電機の場合

氏名役職執行役指名報酬監査取締役就任社外
山西健一郎 会長         2010  
柵山正樹 社長       2010  
吉松 裕規         2014  
橋本 法知 専務 経営企画・関係会社担当       2009  
大隈 信幸 常務 総務・人事担当   2012  
松山 彰宏 常務 経理・財務担当     2013  
笹川 隆         2014  
佐々木 幹夫 三菱商事相談役       2006
三木 繁光 三菱東京UFJ銀行特別顧問     2007
薮中 三十二 元外務省 現野村総研顧問     2012
大林 宏 元検事総長 弁護士     2013
渡邉 和紀 元新日本 公認会計士     2015

一目見て三菱らしいなあと思うのは、三菱商事・三菱東京UFJからOBが1人ずつ入ってきていますね。(この人達社外取締役になるのか・・・)

あと、会長は執行役に入っていない他、執行役を兼務していない人が2人入っています。執行役は全4名、社長以外の執行役兼任の取締役はみんな『管理部門系』の人たちですね。

純粋な社外の取締役としては、弁護士・公認会計士の『先生』が来ていますね。

東芝の場合

 役職執行役指名報酬監査取締役就任社外
室町正志 会長     2008  
佐々木則夫 副会長         2008  
田中久雄 社長     2011  
下光秀二郎 副社長 コミュニティ・ソリューション事業グループ分担
営業統括部・コーポレートコミュニケーション部
デザインセンター・支社担当
      2011  
深串方彦 副社長
ライフスタイル事業グループ分担
経営企画部担当
生産性向上プロジェクトチームプロジェクトマネージャー
      2013  
小林清志 副社長 電子デバイス事業グループ 分担
品質推進部担当
      2013  
真崎俊雄 副社長 電力・社会インフラ事業グループ分担       2014  
西田直人 専務 研究開発統括部担当       2014  
前田恵造 専務 財務部担当       2014  
牛尾文昭 上席常務 法務部・人事総務部担当       2013  
久保誠 元東芝モバイルディスプレイ社長       2011  
島岡聖也 元法務部長       2014  
伊丹敬之 元一橋教授     2012
島内憲 元外務省・三井物産顧問     2012
斉藤聖美 元ソニー・モルガンスタンレー     2012
谷野作太郎 元外務省     2014

で、最後東芝ですね。まず、一目見て分かるのは『執行役兼務者の多さ』ですね。半数が執行役兼務です。みてみると、各コーポレート社長・全社の副社長が全員入っています。

社外役員を見ると、外務省出身者2名に、大学教授が1名、元ソニーからモルガンに行った人が1名の4名しか居ません。なんとかこの4名をやりくりして、3委員会の『半数』を確保しているようですね。

ガバナンス上の決定的問題点

皆さん、どう思われます?

有力経営者を外部から招聘し、取締役会の機能を強化した日立。三菱グループのメンバーに加え、ライン責任の無いヒラ取でバランスを取った三菱電機。それに比べると東芝の、

  • 本来、取締役に監督されるはずの執行役が多数を占める取締役会
  • 専門性の薄そうな社外取締役によって構成された3委員会

は、素人目から見てもまずそうです。

取締役は、何か会社の運営に大きな問題を見逃した場合、役職にかかわらず株主から損害賠償を受ける立場にあります。

まだ、旧来型の日本企業であれば『これはやばい』と思った取締役が一定数集まれば、『謀反』を起こされることもありえたのでしょうが、子飼いの役員だけを取締役とし、残りは執行役としてボーディングメンバーから外した上で、残りは業務知識空っぽの社外取締役だと、それも難しそうですね。

なお、ここ最近は、仮に株主から訴訟を受けてもその賠償額を代わりに支払ってくれる『会社役員賠償責任保険』なる謎の保険もあります。便利な世の中だなあ。

仮に、何かおかしいと思っても(実際に今回の東芝の件では社外取締役も『あれ』と気づけるポイントは沢山あるのですが)、『いやー、こんなもんすっよ。先生は、会社役員賠償責任保険もあるので、どーんと気にせず仕事して貰えれば』と言われたら反抗するのは難しそうですね。

東芝は、社外取締役の数を増やすぞ!と宣言しましたが、それなりにちゃんとした人を増やさないと、また『財務・経理に精通したものは居なかった』なんて恥ずかしい報告書を出す羽目になりますよ。あと、社外取締役に拘らなくとも『チャレンジ』をする必要のない、非兼任の役員を増やすだけでも効果はあると思うのですが・・・。

今後、こういった自体を防ぐ対応策としては

  • 執行役兼務の取締役は1/3以下とする
  • 執行役兼務でない取締役の半数は上場企業で3年間以上取締役を務めたものにする

くらいは入れてもいいんじゃないでしょうか。お役人は天下り先が減って残念がるかもしれませんけどね。

カンパニー制はいかんぱにー?

さて、次に『カンパニー制』について見てみましょう。カンパニー制とよく似た仕組みである『事業部制』について比較してみましょう。

 事業部制カンパニー制
責任者 事業部長 プレジデント・社長
単位 プロフィットセンター インベストメントセンター
管理会計

PLを作成し、部門毎の売上・費用を計算。
利益まで計算する

PLに加え、BSも作成し、資金、
社内資本金や社内金利負担も計算する
投資権限 少額の経常的投資のみ認める 多額の設備投資も認める
人事管理 事業部内の下級の人事権のみ カンパニー内の完全な人事権を持つ

事業部というのは、通常『製品』や『地域』ごとに部門を分け、その部門の中で『売上』と『費用』を一致させ、『収益』を計算し、管理する運営形態です。

事業部制でない会社、例えば『販売部』と『製造部』と『管理部』しかない会社であれば、

  • 販売部・・・売上を上げること
  • 製造部・・・費用を抑えること
  • 管理部・・・会社がうまく回ること

といったことに、各トップは責任を持ちます。これだと、販売部は『売れないのは製造部の作るものが高いからだ』といい、製造部は『コストが高いのは、販売部がちゃんと売らないから工場の回転率が上がらないからだ』といい喧嘩になっちゃうこともありますね。『事業部制』はそういったことがないように、『作る』『売る』を同じ責任者が責任を持つ管理手法です。ある程度以上の規模の会社になれば、割りと多くの会社でこういった事業組織を取ります。

カンパニー制は、それが更に進化した管理形態です。何が違うのかというと、『資金をどう利用するのか』といったところにまで責任者の権限が与えられます。まあ、『ひのきのぼう』が使えるのか『はがねのつるぎ』が使えるのか、事業部制はそういった装備(資本)は会社から与えられた範囲で戦わざるを得ません。一方、カンパニー制とは『ゴールドを支給するので、武器でも防具でも、やくそうでも好きに調達して、宜しくやってくれ』とする方法です。また、パーティー(人事権)の編成も、より自由にプレイ出来るようにし、プレイヤーの自由度を高めたものです。

持株会社制との比較

まさに、会社の中に『別の会社がある』ように見えるので、『カンパニー制』なわけですね。とすると、『本当に会社を分ける持株会社制とはどう違うの?』という疑問もあるでしょう。カンパニーは、あくまで『社内の管理単位』でしか無いので、法律上の会社を全く分けてしまう持株会社制と比べ、以下のような利点があります。

税務面で損益を通算できる

(連結納税制度などもありますが・・・)会社を分けてしまうと、ある部門の損益がプラスである部門がマイナスの時、損益を通算出来ません。赤字でも税金は0円よりは少なくなりません。その為、赤字の部門を抱えている場合、カンパニー制のほうが納税額は少なく出来るでしょう。また、完全子会社だと『別会社』ですので、『取引の内容』についても税務署に『赤字の付け替えだ!』と言われないよう、きちんと行う必要があります。その分、カンパニー制だと多少は『ラフ』にすることが出来ます。

財務面での信用の向上

銀行等がお金を貸すのは、『個別の会社』についてです。もし、子会社が倒産した場合、債務保証の範囲を超えての親会社の責任は回避できます。逆に言うと、銀行が子会社にお金を貸す場合は、子会社の財務諸表がチェックされます。一方、カンパニー制だと、資金の調達そのものは会社全体で行う為、会社全体の信用力で評価されます。

人事や法務面で面倒が少ない

カンパニーは、同じ社内ですので、例えば『カンパニー間の人事交流は、出向でも派遣でもなく、ただの異動』『会社単位で取得したライセンスは別カンパニーでも利用可能』などなど、個別の『会社』の単位で決められている契約・法的規制にかかりにくくてなります。

でもそれが問題を隠す要因にもなった?

これは完全に私論になります。何かと便利な感じがする『カンパニー制』ですが、その緩さが今回の問題の一部になってたりしないのかなあとは思うところがあります。

  • もし別会社なら、税務署は何か気が付かなかっただろうか?
  • もし別会社なら、銀行はもう少し財務諸表を確認しなかっただろうか?
  • もし別会社なら、従業員の危機感・問題意識はもう少し高くならなかったろうか?

いくらなんでも考え過ぎでしょうか。ちょっと信じられませんけど、平均的な東証一部上場企業のサイズから見ても『大企業』である各カンパニーの中に『内部監査部門が無い』なんて問題が報告書でも挙げられて居ましたね。

別会社になるのであれば、『大会社』となるのは間違いなしなので、それぞれ個別の会社にそれぞれ会計監査人も入るでしょうし、それぞれに一般的な大会社に必要な監査の体制もつくられるでしょう。それがあればあるいは・・・なんて思ってしまいます。

東芝問題を考えるための財務分析

では最後に、次回以後もう少し細かく『東芝』という会社について見ていきたいと思います。まずは、東芝と総合電機3社+GE+SIEMENSで時系列データを見てみましょう。

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これは完全に余談ですけれど、証券コードはそれぞれ日立(6501)・東芝(6502)・三菱(6503)となります。このコードを決めた際の、売上か時価総額のサイズあたりで決めたんだと思いますけれど、現在の売上についてもこの序列ですね。

閑話休題

ただ、利益面については、三菱は相当頑張っており3社中1位。東芝は売上では2位につけているものの、営業利益率では最下位ですね。しかし海外勢は強いなあ。これを見ると、日本企業の営業利益率の低さには何とかならん中と思ってしまいますねえ。

とりあえず、セグメント別の売上構成の比較も見ておきましょうか。因みに、金額の単位は、何も記載がなければ1億円です。

三菱電機のセグメント別情報

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 売上高営業利益営業利益率売上高の比率
重電システム 12280 720 5.86% 24.60%
産業メカトロニクス 12820 1450 11.31% 25.69%
情報通信システム 5590 180 3.22% 11.20%
電子デバイス 2380 300 12.61% 4.77%
家庭電器 9440 540 5.72% 18.91%
その他 7400 230 3.11% 14.83%

ん~む。重電・産業系で半分は稼いでいますね。意外と家電も多いんですね。利益率でみると、産業メカトロニクスが大きく、やはり家電はあまり良くない(笑)。電子デバイスも利益率は高いものの、売上構成としては小さいですねえ。

日立のセグメント別情報 

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 売上営業利益営業利益率売上高の比率投資研究
情報・通信システム  20321 1162 5.72% 18.72% 461 690
電力システム 4726 -61 -1.29% 4.35% 240 115
社会・産業システム 16468 847 5.14% 15.17% 380 324
電子装置・システム 11323 695 6.14% 10.43% 189 496
建設機械 7799 547 7.01% 7.19% 205 169
高機能材料 15045 1230 8.18% 13.86% 746 457
オートモティブシステム 9399 561 5.97% 8.66% 774 619
生活・エコシステム 7801 279 3.58% 7.19% 184 118
その他 ( 物流・サービス他 ) 12107 404 3.34% 11.15% 519 80
金融サービス 3555 380 10.69% 3.28% 4931 0

やっぱデカいなあ。比率ベースでみると、どれも満遍なく手がけていますが、一つ頭が抜けているのが情報・通信システムですかねえ。『jp1』とか 『ucosminexus』とか『BladeSymphony』とかもこのへんなのかな?残り二社にないのは、建設機械・高機能材料とかですかね。そしてやはり家電は利益率が低いなあ。電力が赤字なのは、何が要因なのか調べてみたいですね。

ちなみに、投資情報もあったので、こんなものも作ってみました。

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『金融』の投資額については、そのままだとグラフがわけわからなくなるので、ちょっと嘘をつきました(4931→2000)。これは、計算方法をちゃんと見てみないとわからないのですが、売上高以上の設備投資をしています。利益率もトップなので、これからの日立を支える産業にするつもりなんでしょうね。

そういや、GEも金融で稼いでたよなあ。。。

東芝のセグメント別情報

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 売上高営業利益営業利益率売上高の比率設備投資研究開発
電力・社会インフラ 18122 323 1.78% 27.51% 710 610
コミュニティ・ソリューション 13574 519 3.82% 20.61% 333 452
ヘルスケア 4108 286 6.96% 6.24% 105 318
電子デバイス 16934 2385 14.08% 25.71% 1222 1475
ライフスタイル 13138 -510 -3.88% 19.94% 142 348

売上で見ると、電力・社会インフラの占める割合が大きいのですが、利益では、ダントツで電子デバイスが稼いでいます。この辺の『電子デバイスが食わせてやってる』感も、今回の一件の中でどう影響していたかは要チェックですね。家電は赤字ですなあ。

こちらも日立と似たようなものを作ってみました。

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(´ε`;)ウーン… 電子デバイスの強さと、家電の弱さを象徴するようなグラフになりましたね。ヘルスケアは、利益率で見るとこれからの稼ぎどころになりそうですね。もっと投資してあげてください(笑)

 

ざっとこんなかんじで見てみました。各社各様で中々面白いですね。やはり気になるのは『日立の電力』かなあ。次回からは、東芝の事業グループごとに、この3社を中心に、何をやっていて、東芝の不正会計にどう影響を与えたのかなどなど見ていきましょうか!

本当は2回に分けても良かったんですけど、『出し惜しみ』はしたくなかったので、長文最後までお付き合いいただき有難うございます。さて、わたしは楽しく遊んでいるつもりですが、これ以上家内からジト目で見られても困りますので、次回はのんびり来週くらいまでに更新したいと思います。

内容としては、電力系、原発の問題とかその辺も絡んでくる厄介なところですね。その辺を、競合他社との関係も見ながら見てみたいと思います。

 

ではでは、今日はこのへんで

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