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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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東芝解体新書(1):東芝は何屋さん?

投資 経済・社会


こんにちは。らくからちゃです。

『ゆとりずむ』のアクセスデータを見ていると、『東芝』に関する記事へのアクセス数が非常に多く、問題への興味・関心の深さが窺い知れます。さて、報道等でも発表されている通り、東芝の過去の決算が『チャレンジ精神』に溢れすぎたものであることが判明致しました。

マスコミの皆さんは、そういった『散文的』な情報については、じゃんじゃか流してくれるのですが、興味がないのかそれとも面倒くさいのか『大きな流れ』については余り説明がありません

また、細かな会計ロジックの説明だけでなく、『東芝』という会社がどういった会社なのか?その背景等についての知識もあれば、より理解が進むのかもと思い、そういったものを書いてみようと思います。

言い訳っぽい感じになりますが、わたしは東芝の従業員でも証券アナリストでも有りません。ただの会社員(28) システムコンサルタント(見習)の書いた『夏休みの自由研究』ですので、ちょーっと勘違いしているところがあるかもしれませんが、そこは優しくブコメを投げて補完して頂ければ幸いです。

ここ暫くの一連の流れ

前置きが長くなりすぎました。 本題に入りましょう。まずは、ここ2ヶ月ほどの株価の推移について見てみたいと思います。

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大きなイベントでいうと、

  • 5月11日:第三者委員会の設置をうけてストップ安へ
  • 5月14日:特別調査委員会(第三者委員会とは別)の緊急調査で500億円下方修正見込
  • 5月29日:決算は出てないけど株主総会するよ?と発表
  • 7月8日:七夕ショック(参考:七夕ショック 中国株が売買停止に至るまで)
  • 7月16日:第三者委員会発表を前に、讀賣・日経等から怪文書的な発表続く
  • 7月20日:第三者委員会発表。総額1562億円に増額(チャレンジ)
  • 7月21日:役員16人中8人が辞任←イマココ(7/24)

という感じでしょうか。はてブのコメントで振り返ってみるとこんな感じ。

一般の反応、という意味ではわたしの大好きな『全力2階建て』からリストアップさせてもらいます。

話は逸れますが、NHKはどうしてこうも早く記事を削除してしまうのでしょうか。時間が経った記事は事実との整合性がとれなくなるのは仕方ないので、その旨をどーんと明記した上で公開は続けて欲しい。その時々でどういった報道がなされていたのかは、資料的に重要な価値があると思いますので、むしろそのままの形で配信して欲しいのですが、難しいのでしょうか。

閑話休題

さて今回の一件、当初は工事進行基準に関する『不適切な会計』として公表されました。その時はまだ500億円くらいの金額でした。

最新の調査結果を見ると、なんと1562億円に膨らんでいます。えらいこっちゃ。第三者委員会の報告資料も要約版で84ページ、全文版で303ページもあります。

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もうこんな長いと読むより先に踊りだしたくなりますね。調査報告書は『要約版』でもかなり専門的な内容です。分かりやすくしようとした後は見えますが、いまいちぴんとこない人も多いでしょう。知らない人が、いきなり『カンパニー』とか言われても、なんだそりゃって感じですよね。そこで、まずは『東芝』という会社が、どういった会社なのかについて見ていきたいと思います。

そもそも東芝って何を作っている会社?

さて皆様、『東芝』と聞いて真っ先に思い浮かべるものは何ですか?わたしの場合、『dynabook*1』なのですがきっとそれぞれ答えがあるでしょう。ひとまず、東芝製品で検索した結果出てきたあれやこれやをまとめてみました。

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お、おう(・д・`;)

いやー、色々作っているんだろうなあと思っていましたが、これはまた中々*2小さいものではマイクロSDカードから、大きい物では原子力発電所まで作っています。また、目に見える物だけでなく、目に見えない粉飾された財務報告鉄道運行システムや上下水道の管理システムなんてものまで作っています。

多いようですが、家電や電子部品についても今でも元気に取り組んでいます。おおよそ、電気に関するところであれば、作るところからはじまり、使うところについては『駆動』『空調』『照明』『通信』とおおよそ関わっていない分野は無いでしょう。

 首都圏を中心とし、全国に多くの事業所を展開し、これらの製品を製造しているようですね。『東芝といえば重工』というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、わたし個人の感想としては、売上高に占める『家電製品』や『電子部品』の比率は、後にご紹介する『総合電機3社』の中でも比較的高く、まだ『製造業を諦めていない』感じがします。

 業界の構造とか

さて、何やら色々と作っている東芝さんですが、上場企業のコード・分類を整理している『証券コード協議会』が決めたおおまかな業種のくくりとしては『電気機器』というカテゴリに入ります。電気機器一口に言っても、その中でジャンルは結構異なってきます。適当に個人の主観で分類してみたのが下記です。

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売上高ランキングから、売上1兆円を超える企業をピックアップしてみました。あと、各企業についてここ最近でわたしが思っているものを適当にコメントつけて見ました(笑)

エプソンについては迷ったのですが、なんというか目指している方向性的にこっちかなあと思って突っ込んでみました。スペース的にも余裕あったし(コラ)なお、隣接分野として『機械』と『精密機器』も見てみましたが、『精密企業』には売上1兆円企業は無さそうですね。

家電系

いわゆるご家庭で利用頂く電気機器を作っている会社。色々と淘汰が進んだ結果、『白物家電』の大手としては、パナソニック・シャープくらいしか名前を聞かなくなってしまいました。パナソニックだってこのポジションは嫌いみたいだし、シャープは死に体だし、日本の家電は死んだか?と思ったらどっこい、元気に頑張っているメーカーさんも多数いたり。

ジェネリック家電 なんて言い方をすることもあるみたいですが、無印良品あたりにOEM販売したり、価格で攻めて来たり頑張っているようです。有名どころは、アイリスオーヤマ、山善、ツインバード、ドウシシャ、船井電機とかですかね。

ちなみに、何か気がつくことは有りませんか?

大阪の会社さんが多いですね。

大阪人の『そんな機能いらんから、まけて』の精神が、今の世の中にフィットしたのかもしれまへんなあ。また、パナソニック・シャープが蒔いた『町工場』の芽が元気に育っていき、産業として成立し易い状況を作れていたのであれば、経営の神様も浮かばれることでしょう。

まいど!  〜宇宙を呼びよせた町工場のおっちゃんの物語

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 電子・情報系

主に電子機器関連を作っている会社。黒物家電もこの辺りに入れてあげたらしっくりくるかな?代表格はソニー・NEC・富士通ですかね。もう名前を聞いただけで残念な感じがするでしょ(笑)でも、一時は日本を代表する花形産業だったこともあるんですよ?

このへんの皆さんがダメになった理由は多分こいつのせい

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とまあ、それは半分冗談で半分本気なんだけど、『携帯電話』『パソコン』『ウォークマン』それぞれ先端的な分野を切り開くことには成功したものの、一気にコモディティ化していく流れには逆らえず、iPhoneとそこから続くスマートフォンにとどめを刺された感じのする業界。

きっとそれだけじゃなく、複数の企業が蜜にコミュニケーションを取り合い、連携して製品を作り上げる日本企業お得意のインテグラル(すり合わせ)型の産業構造から、製品の仕様をきっちり決め、お互いがその部品を組み合わせていくモジュール(組み合わせ)型への進展を促したグローバル化による産業構造の変革を読みきれなかった部分もきっと大きいんでしょうね。

ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ―ルール、相手、土俵を変える

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部品・産業系

家電・電子を尻目に好調な皆様。経常利益率で見ても、

  • デンソー(8.63%)
  • 京セラ(7.98%)●
  • TDK(6.88%)
  • 日本電産(10.44%)●
  • 村田製作所(22.85%)●
  • オムロン(22.85%)●
  • アルプス電気(7.69%)
  • ファナック(42.75%)
  • ローム(16.32%)●

と大いに絶好調。さて、こうしてリストアップしてみましたが気がつくことは無いでしょうか?条件に該当する会社に●ってつけてみましたけれどね。ヒントは会社の場所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ええ、半分以上が京都企業です。

本日2度目な感じがしますね(笑)。どこもいま、スマホで絶好調の会社さんという共通点もあるのですが、その最先端の製品に関わる部品を供給しているのが、古都京都の会社というのも面白いですね。なんやかんやで『人と人のつながり』を大事にしながら、嫌味を言われないように気を使いつつ、外の世界の変化にも気を配り、大胆な経営をするところは、千年の知恵なのでしょうか。

京都企業の実力

京都企業の実力

 

事務機器系

事務機器っていうと『なんのこっちゃ』という感じもしますが、この業界で『事務機器』と言えば、ほぼイコールで『コピー機・プリンター』だと思って間違いありません。代表格は、キヤノン、リコー、富士フィルム、ブラザーあたりでしょうか。なお、2014年の世界シェアは

  1. Hewlett-Packard
  2. Canon
  3. Epson
  4. Brother
  5. Samsung

だそうで。(参考:2014年第4四半期 世界プリンター/複合機市場実績を発表)

もっとも、カラーかモノクロか?コピー機かプリンタか?色々なドメインに分けて考えればもっと違う結果も出てくるのでしょうが、結構日本企業が奮闘しているジャンルでもあります。あと、結構浮き沈みが激しいんですよね。つい数年前だとこの並び順も大幅に違っていたり(シャープが入っていた時もありましたね)します。

この業界を貫くひとつのキーワードがあれば『危機感』だと思います。アナログの代名詞である『紙のデータ』を取り扱う以上、常にデジタル化の恐怖と戦い、逆に取り込むというようなことを志向してきました。

XEROXの作ったパロアルト研究所の創りだしたAltoが現代にまで続く『GUIをまとったパソコン』『どこでもだれでもデジタルエンターテイメントを楽しめる世界』の礎を作った物語は有名ですね。国内でも、富士フィルムが『写真』という祖業の喪失を察知し、デジタル化に邁進していった話にも似たところがあります。

全体的に、イメージングの技術をもとに、カメラなどの光学系を手がけていることが多いですね。最近だと、3Dプリンタにも果敢に挑戦するなどアグレッシブな会社の多いように思いますね。

競争優位の終焉 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続ける

競争優位の終焉 市場の変化に合わせて、戦略を動かし続ける

 

 重工系・重電系

重工系は厳密には『電気機器』ではなく『機械』になるのですが、東芝の環境を理解するのに必要かなあと思って取り上げてみます。日本の三大重工業と言えば、『三菱重工業』『IHI(石川島播磨重工業)』『川崎重工業』ですね。プラントも作れば、鉄道インフラもやるし、必要があれば宇宙にまで行っちゃう感じですね。 

重点を置いている分野は若干違えど、『総合電機』の守備範囲と重なる部分も多くあります。個人的なイメージとしては、メインにつかうものが『電気』なら『電機』で、『エンジン』なら『重工業』なのかなあって勝手に思ってますけれど、厳密にはきっと違う(笑)

また、似たようなヘルメットの似合いそうな業態として『重電系』というくくりもあります。

ざっくりいうと、発電系・送電系・工場系で使われるような高圧の電気を使ったものを扱っている系かなあ。

『東芝』『日立』『三菱電機』が重電
『パナソニック』『シャープ』を軽電

な分け方をする文章を見ることがありますが、あれはあんまり好きではないですね。『東芝』はいわゆる重電もやるし、軽電もやるので、パナソニックやシャープと対比したいなら、『総合電機』と呼んであげるのが正しいような気がします。

ちなみに、総合電機3社に富士電機、明電舎、日新電機、ダイヘン、東光高岳を加えて重電8社になるようですね。どこも、一度は新聞で名前を聞いたことのある大企業ですね。

総合電機

さあて、お待たせしました。やっと東芝の話が出来ますね。東芝を含めた、超有名な電機メーカー3社が『総合電機』と呼ばれます。売上高で並べてみると、

  1. 日立製作所 【売上】9兆6162億円 【営業利益率】5.5% 【従業員数】320,725人
  2. 東芝 【売上】6兆5025億円 【営業利益率】4.5% 【従業員数】200,260人
  3. 三菱電機【売上】4兆0543億円【営業利益率】5.8% 【従業員数】124,305人

ってかんじですね。すごいなあ。全部合わせたら0.6ギリシャ*3くらいはありますねw

さて、ここまで話が長くなったのも、これら3社は、いままで取り上げてきた『家電系』『電子・情報系』『部品・産業系』『事務機系』『重工系』『重電系』その全ての要素を事業分野に含みます。ある意味、そのカバー力の強さが強みですね。その詳細については、また後日しっかりさせて頂きましょう。

 

さて、わたしとしてはまだまだ書き足らないのですが、これ以上書いても読む方のほうが疲れてしまいそうなので今日のところはこのへんで。

書いてみて思いましたけど、全然東芝のこと書いてないですね!(笑)まあ、前段としてこういった話があってもよいでしょう。次回は、本格的に東芝のコーポレート・ガバナンスとか事業構造とかその辺について書いてみましょう。あと合わせて総合電機3社の構造比較とかもできたらいいですね。

ではでは、今日はこのへんで。

続き

lacucaracha.hatenablog.com

 

補足・参考

ところで、今回の記事を書くにあたって、久々にこんなものを読んでみましたけど、改めて読むと中々面白いですね!

会社四季報 業界地図 2015年版

会社四季報 業界地図 2015年版

 

 小学生の頃に読んだ、『昆虫図鑑』とかと同じ香りがします(笑)。投資をやられる方ならお手元に一冊あっても良いかもしれません。

あと、変化の激しい業界なので、3年前の本は『最新』って感じがしませんでしたねえ。変わらないところもあるにはあるので、参考にはなりましたけれども。

 

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この記事を書くのに掛かった時間:たくさん 

*1:今回の一件も含めて、アラン・ケイには謝っておいたほうがええで

*2:大きな会社だけに、毎回何かしらで貰っているようですが、東芝:受賞実績<グッドデザイン賞>をぱらぱらめくるだけでも結構楽しめますね。

*3:七夕ショック 中国株が売買停止に至るまで - ゆとりずむ