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ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

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ビジネスマンなら知っておくべき不適切会計とその影響

会計・簿記 経済・社会 おすすめ候補


こんばんは。

ブログのアクセス数解析を見ていると、未だに『シャープ 減資』『東芝 不適切会計』が競り合っており、関心の高さを感じることが出来ます。

そんな東芝さんですが、株主総会を6月と9月の二回に分けて実施するという、前代未聞の対応を取られるようです。

決算報告も整わない中、株主を集めて何をしたいのか、全く理解に苦しみますね。

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株価については、3月の段階で530円近くあった位置から、一気に380円以下に急落。その後持ち直し、450円を越える位置まで戻してきましたが、未だに完全回復とは言いづらい状況です。

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不適切会計の何が問題だったのか?

今回問題とされた『不適切会計』については、プラント建設などを行う際の『工事進行基準』と呼ばれる会計処理が適切に行われていなかったことが大きなウェイトを占めています。

現在の調査結果によると、正しく処理されなかった結果、過去数年間で500億円の損失が未計上だったそうです。過去の利益を全て出し尽くし、すっからかんのシャープと比べると、毎年コンスタントに500億円の利益を上げる東芝にしては、そこまで大きな金額では有りません。

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実際、500億円程度利益が減少したとしても、ビジネスの将来性に大きく影響が出るほどの規模では有りません。結局、財務諸表の信頼性が疑われ、上場が継続できないリスクが嫌気され、ストップ安にまでなるまで売られまくった、というのが現状です。

東芝は、上場企業として株主から預かったお金で経営しているのですから、『ちゃんと事業が上手くいっていれば、帳簿の処理が多少まずかったとしても構わないじゃないか』とは言えないんですね。

さて東芝については、決算の処理が正しく行われれば問題なく会社は生き残りますが、過去にはそうはいかなかった会社が何社もあります。それらの会社が何をし、どうなったのか個人的にインパクトが大きかった順番に並べてみます。

7位:ライブドア

ライブドア監査人の告白

ライブドア監査人の告白

 

 未だに、『どうしてこの事件でホリエモンが収監される事になったのか?』については、不可解な事件です。一応、『罪状』としては、

  1. 投資事業組合を使った自己株の売却益を資本取引ではなく損益取引として処理
  2. 子会社間での預金付け替えによる架空売上

などが合計80億円の売り上げ水増しがあげられています。ただ、内容を知れば知るほど『はてな』が膨らんでいきます。堀江さんは、これからも活躍されると思いますので、過去の経緯を理解しておくのも良いんじゃないでしょうか。

6位:日興コーディアル証券

法廷会計学VS粉飾決算

法廷会計学VS粉飾決算

 

ちょうど、ライブドア事件と同じ時期に起こった粉飾決算ですね。証券市場のプレイヤーであり、財務諸表については模範となるべき証券会社が、184億円もの利益を会計操作で水増しをしたという事案でした。

当時としては、先進的な考え方であった『委員会設置会社』や『外部取締役』を積極的に取り入れ、コーポレート・ガバナンスの優等生と言われている中の不適切会計として、注目されました。

またライブドアより、社会的影響についてもよっぽど大きいはずなのに、こちらは経営陣が不起訴となったことも記憶に残るポイントです。

5位:日本長期信用銀行

巨大銀行の消滅―長銀「最後の頭取」10年目の証言

巨大銀行の消滅―長銀「最後の頭取」10年目の証言

 

『長銀』とは、預金ではなく債券で集めた資金を元に、大規模なプロジェクト・ファイナンスを行っていた特殊な銀行です。戦後の『傾斜生産方式』を支え、日本の復興を強力に推進しました。国家事業規模の案件を対象としていたため、行員のエリート意識はとても強かったそうです。

しかし、バブル崩壊後の不況には抗えず、不良債権化していた貸し出しについて、3,100億円もの損失(まさに東芝とは桁違いですね)が発生します。にも関わらず、71億円もの配当(いわゆるタコ配)を実施しました。

結局、債務超過の状況に陥るのですが、24兆円もの資産を抱えていただけに、潰すに潰せず、4-5兆円の国民負担を払った上、投資ファンドのリップルウッドにたった10億円で売却。その後、『新生銀行』として再生に成功し、リップルウッドが巨額の利益を得たストーリーも有名ですね。

4位:山一證券 

しんがり 山一證券 最後の12人

しんがり 山一證券 最後の12人

 

『社員は悪く無いですから』で有名な会社ですね。

簡単にいうと、『帳簿に載っていない借金』が沢山膨らみ、隠し切れないほどの金額になっていた、ということですね。 この当時の証券会社は、顧客に『絶対に儲かる』という約束の上で資金を預かり、株で運用(特定金銭信託:特金)していました。

しかし、約束した利回りを達成出来なかった為、子会社等を上手く使い、こっそりした借金で損失を穴埋めしていました。その額なんと2,000億円以上。

これがどうにも返済できないことが明らかになったのですが、旧大蔵省(現財務省)、日本銀行からも引導を渡され自主廃業の道を取ることとなります。四大証券会社の一角の退場としては、あまりにもあっさりしたものでした。

ちなみに、当時涙を流していた野澤社長はその後IT業界へ転身。一時は、あのtwitterに出資し、価格コムの筆頭株主としても有名なデジタルガレージの顧問をつとめました。最終的には、小さな証券会社の社長となった後、今は引退されています。

3位:オリンパス 

解任

解任

 

 当初、外国人社長と日本のボーディングメンバーの『文化がちがーう』案件として扱われていましたが、蓋を開けてびっくり全然マズイ話じゃないですかとなった事案ですね。

ざっくり言うと、バブル期に出した巨額の損失を、その場では表にしづらかったので、そのまま隠し続けて、別会社の買収の際に、こっそりバレないように処理しようとしました。

それを、子会社から招聘されていたマイケル・ウッドフォードさんが『なんかこれおかしくね?』と気がついたところ、『見てはいけない物を見てしまいましたね』と追い出し、余計話がこじれた、という顛末です。

一時期、『上場廃止するかも知れねえからな、ここ』と東証が指定した銘柄に付けられる『監理ポスト』指名されるなど、非常に危うい状態でしたが、何とか持ち直し、今は不正発覚前以上の株価となっています。

2位:カネボウ

経営不在―カネボウの迷走と解体

経営不在―カネボウの迷走と解体

 

いま、日本の大学生の就職人気ランキングを見ると、商社や銀行が多いように思われますが、かつて重厚長大産業として繊維業界の人気が高かった時代もありました。カネボウも、かつてはそんな時代においては人気ランキングの上位常連企業でした。

しかし、時代は移り変わり、繊維産業はどんどん海外とのコスト競争に敗れていきます。 カネボウは、そんな繊維部門の立て直しに遅れ、連結外しから売り上げの押し込みまでありとあらゆる不正な手段を使い2,000億円の不正経理を行います。

カネボウについて注目されるべき点は、そういった会計処理について、本来は厳しく見張るべき会計士が不正に加担したと言われています。その影響もあり、日本の四大監査法人の一角であった、みすず監査法人は解散へと追い込まれます。

実際にそういった指南があったのかどうか、その真偽までは定かではありませんが、『企業と監査法人はどうあるべきか?』について一石を投じた一件でした。

1位:エンロン 

エンロンの衝撃―株式会社の危機

エンロンの衝撃―株式会社の危機

 

やはり、1位には、これを持ってこざるを得ません。世界の証券市場のルールをも変えた、 あまりにも有名な不正です。

エンロンは、東京電力のような巨大エネルギー企業でしたが、更にネット上で各種資源や様々なリスク、排出権にまで値付けをするマーケットを開設し、オールドビジネスからニュービジネスへの挑戦として、非常に注目された企業でした。

しかしながら、成長は正しく会計処理されたもので無いことが徐々に明らかになります。不正の内容としては、

  1. 資産の簿外資産化と費用の資産化
  2. デリバティブの濫用による損失の先送り
  3. 海外での事業失敗の簿外処理

などなど盛りだくさんです。

その後エンロンは、5兆円を超える負債を抱えて倒産し、監査を担当していた当時の五大監査法人のひとつであったアーサー・アンダーセンは解散に追い込まれ、このような事件を二度と起こさないよう、上場企業に強い内部統制を求めるSOX法が制定されました。

まさに、会計・監査の世界において、エポックメイキングとなった事件でした。

番外編:南海会社

おどる民だます国 英国南海泡沫事件顛末記

おどる民だます国 英国南海泡沫事件顛末記

 

 最後に、番外編というか殿堂入りともいうべき会社についてです。南海会社とは、株式会社制度が生まれて間近のイギリスで作られた『植民地を開拓して、奴隷貿易でめっちゃ稼ごうぜ』という会社です。

『会社』となっていますが、現代人の考える会社の概念よりは、どちらかというと『公社』といったほうが近いかもしれませんね。ただその株式は、歳費捻出の為広く売りだされた結果、『新大陸事業まじぱねーよ。買うなら今しかない!』と人気が加熱し、実態から大きく乖離した値段で売買されました。この現象が、世界初の株式バブルとも言われます。

また同時に、この時の反省を元に、公認会計士制度や監査制度、近代的な株式会社制度が形作られていくことになります。

 

出来れば、お勤めの会社が、こういった件に関係しないことを心からお祈り致しますが、過去に何が起こったのかを書に尋ね、その備えをするのも良いかと存じます。

 

ではでは、今日はこのへんで。